2008年2月10日

奈良県 川上村 下多古川

 

Nikon D300  SIGMA APO 50-150mm F2.8 II EX DC HSM  

 

井光川沿いの林道を下り、さて帰るかと思ったが、そうだ琵琶の滝も行けるかもと下多古に向かう。

林道に入ると、こっちの方が雪が少ないようだ。陰になっている場所には多くの雪が残っているが、慎重に通過し、結構快調に上っていく。

しかし、だんだんと雪が増えてきて、ついに轍も消えてしまう。そこからは、猛者らしき方の深い足跡が真っ白い雪の上に続いている。

 

また林道歩きかといやになるが、空転する足を必死で動かして登山道入り口に向かう。ようやく登山道に続く階段に辿り着き、登り始めるが、思ったより雪が深く容易には進めない。先へ行くと雪はますます深くなり、先の方の足跡がなければとてもルートが分からないような状態になってきた。

 

流れが緩やかなところは川面が凍り、壁にはいくつもの氷柱が垂れ、一面の雪景色、深い大峰の冬を全身で感じる。時間も無いのでどんどん進むと吊り橋に到着。ここから琵琶の滝展望小屋までの最後の登りを行くが、雪が膝の上まで埋もれる程深くなってきた。

途中、琵琶の滝の凍った姿が高い位置に遠望で見え、期待感一杯で雪を漕ぎながら一気に登っていく。

 

Nikon D300  SIGMA APO 50-150mm F2.8 II EX DC HSM  

 

琵琶の滝は、素晴らしい姿を見せてくれた。

上段の落ち口から凍っていて、氷柱が胸の前で手を曲げる幽霊のようにも見え、不気味だ。下段は完全に氷結し、流れは全く見えない。末広がりに雪が被さり巨大な景観を型作っている。

 

この後、時間も無くどうしようか悩んだが、せっかく来たのだからと思い、展望小屋から斜面沿いに足跡だけを頼りに中の滝を目指した。

滝上から右ルートを行くと、三脚を持った足跡の猛者らしき方が下ってこられた。「今から行くんかい、もう遅いで」「中の滝まで行きます」「あんまり凍ってへんで」「せっかくやからがんばります」と挨拶を交わし先を急ぐ。

 

簡易アイゼンが全く役に立たなくなってきたので、三脚を伸ばし杖がわりに斜面を登る。雪でルートは見えず足跡に感謝するばかりだ。

僅かな距離が雪に阻まれ、なかなか前に進むことが出来ない。大きな斜面をゼーゼー言いながら巻いてようやく中の滝が遠くに見えた。

川床まで降りると気力もここまで、深い雪を前に滝にはとても近付けそうにない。

 

Nikon D300  SIGMA APO 50-150mm F2.8 II EX DC HSM  

 

しかし、またまた素晴らしい眺めである。

中の滝の黒々とした岩肌を水が滑り、積もった雪があたりを包む。

音は何も聞こえず、静なる時が過ぎていく。

 

Nikon D300  SIGMA APO 50-150mm F2.8 II EX DC HSM  

 

突然、ブーンブーンという音がしたかと思うと、大きな赤茶色の鳥が、静寂を突き破り飛び立っていった。時間を確認すると17時を回っている。帰りを急がねばならない。走るように、斜面を転げ落ちるように登山口を目指す。

 

幸いにも一面の雪のおかげか、こんな時間にもかかわらず谷には明るさが残っている。

林道に戻り、今日も無事であったことに感謝して歩いていると、左の斜面をカモシカらしき動物が駆け上がって行った。