滝とカメラとGH3・・・



デジタルカメラは、何処へ行くのだろうか。フィルムカメラを隅に追いやって勢力を伸ばしてきたが、理解できない点も多い。多彩な機能を搭載し、あれも出来ます、これも出来ます。と宣伝しているが、基本的なことができないカメラが氾濫している。

ケーブルレリーズが使えない。縦構図での撮影を考えていない等々。何故このようなカメラが普通に売られ、売れていくのか。デジタルな世代の人は縦構図で写真を撮らないのだろうか。



上の写真は、OM-Dの宣伝を拝借。縦構図でもこうすればチルト液晶を使えますと言いたいのかもしれないが、こんなことをすれば、首と目と頭がおかしくなって、とても使えない。

Panasonic L10と共にE-3で鳴り物入りで登場させた液晶をOM-Dでは何故かやめてしまった。「もう、撮れない世界はない。」「世界を変える。」大げさだが、かつて掲げた素晴らしいキャッチフレーズ。





OLYMPUSさん、撮れない世界が増えたカメラでいいんですか。
PanasonicもGX7でやってしまっている。変えた世界をまた戻すのですか。



フィルム時代から続くデジタル一眼レフは、ライブビューでも撮影をすることができる機種が多いが、光学式ファインダーたるカメラは、ファインダーを覗いて撮影してこそ価値がある。したがって、一眼レフに可動式液晶は全く必要ないし、従来からあったアングルファインダーを装着すれば、可動式液晶より撮影がしやすい。一方で、レフの無いカメラにはアングルファインダーが付かない。アングルファインダーを付けるようにすることなど簡単にできるのに、このような考えは技術者の頭にはないようだ。

フィルムカメラでは難しいが、デジタルならではの特質として実現できることにマルチアスペクトがある。しかし、これも殆ど無視されているのが疑問。普通にできますよと言うかもしれないが、それはJPEG生成時にトリミングしているだけで、マルチアスペクトではない。

ところで、巻頭の写真を見て、おやっと思っただろうか。GH3のRAWをLightroomで現像(ホワイトバランスはカメラ設定の太陽光)したものだが、空の青や木々の緑に対して、岩肌のパープル、マゼンタかぶりが酷い。残念だが、GH3は、滝撮影に向かないかもしれない。

ホワイトバランスを変えてみると、今度は滝の水が濁ってくるし、青空は緑かぶりしてくる。大きく占める右の明るい岩肌の色は改善されているが、何より左のシャドー部等のパープルかぶりは取り切れない。



GH3とG5の絵が同じような感じになるようにLightroomで現像してみると、微妙な違いはあるが、似たような感じに現像することができる。(現像設定は大幅に違う)


G5



GH3


ところが、シャドー部をよく見ると、左のGH3にはパープル、マゼンタかぶりがある。G5にはグリーンかぶりがあるとも言えるが。



GH3のセンサーは、優秀なSONYセンサーらしく、ダイナミックレンジやノイズレベル等がパナセンサーより良くなっているらしい。たしかに白飛び耐性は、G5よりも良いのがハイライトの飛び具合を見ただけでも確認できる。

下の写真は、Lightroomでの現像画面をスクリーンキャプチャしたものだが、完全に白飛びしているところに赤い警告が出ている。GH3は、ダイナミックレンジは広いかもしれないが、やはり、滝の左右の岩肌が紫っぽいのが目立つ。


G5


GH3


SONYセンサーが、白飛び耐性よりも素晴らしいとされるのが、暗部の耐性。明暗差が非常に大きいことが多々ある滝撮影では、滝の流身を白飛びさせないように撮影すると、結果として下の写真のように中間部から暗部が真っ暗ということも珍しくない。(作例は比較的フラットな光線状態だったので、滝が暗くなりすぎてます。あくまでテスト用です。)


G5


GH3


このように撮影してから暗部を持ち上げる訳だが、こうするとG5はややグリーンにかぶるが、まだ素直。それに対してGH3のパープル、マゼンタかぶりは、より顕著。もちろんバランスを調整して直すことはできるが、普通にすればグリーンがおかしくなる。

RAW現像をしない人には驚きかもしれないが、それぞれ上と同じ写真。


G5


GH3


Lightroomとの相性があるのかと思いSILKYPIXでも現像してみたが、結果はあまり変わらない。


GH3、SILKYPIX


適正露出のコマから現像すると、どちらも同じような感じに現像できる。高性能とされるGH3のSONYセンサーの方が手間がかかり、G5のパナセンサーでも全く困らないとも言える。


G5


GH3


最後は、GH3とG5のJPEG撮って出し(風景モード)。普段JPEGでは全く撮らないが、テストで撮ってみた。(上のRAWと同じ写真)

リサイズしているので分かりにくいが、GH3は乾いたタッチと解像感で、いかにもデジタルっぽい仕上げ。G5は、しっとりとしていて記憶色寄りの色調。この違いはオリジナルではよりはっきりしている。

メーカーが違えば、もっと違うだろうし、JPEGな人は、世間を騒がすカメラの性能よりも仕上げが好みに合うかどうかを気にした方がいいように思う。


G5


GH3


NikonとCanon、デジタルカメラにおける二大メーカーのセンサー性能では、SONYセンサーを主力に使うNikonに対して自社センサーを使うCanonは、どうも分が悪い。DXOmarkでは、CanonのAPS-Cセンサーは、今やGH3やOM-Dのマイクロフォーザーズにも劣るとされている。しかし、悲観することは全くないと思う。RAW現像において、上記のような問題が少なく、最も素直で破綻がないのが、Canonセンサーな感じを受ける。

D800を頂点とするSONYセンサーを積んだ他メーカーのカメラにも、今回示したような問題が潜んでいるかもしれない。撮影された写真を暗部のパープル、マゼンタかぶりという目で見ると、GH3だけでなく、同じような問題があるように見える。

デジタルカメラは、未だにフィルム時代の呪縛から抜けることができない。動き物にピントを合わせるという点においてレフが必要だが、開発を続ければ、それが必要でなくなる時が来るだろう。

レフが無いと、レトロフォーカスでない広角レンズも装着することができ、画質面での恩恵は計り知れない。富士のXマウントが近いが、真にそのようなレンズはまだ生産されてないようだ。テレセントリック性の問題だと言うかもしれないが、その欠点さえ補う可能性がある。

NikonとCanonは、溢れるレンズ資産を無駄にできないので、レフ機が高級という図式を造り上げて成功しているし、市場のニーズもそれにマッチしてうまくはまっているようだ。メカニカルな部分が多い方が、写真ではなくカメラが好きな人にとっては、魅力があるのだろうが、写真としての結果を重視するならノンレフ機により可能性がある。SONYが何かやってくれそうだが、SONYでは力が足りない。NikonとCanonに本腰を入れてもらいたいが、それはとても難しいだろう。

さてさて、ちょっと持ち出す気にならなくなってしまったGH3、どうしたものか・・・