2009年4月18-19日

奈良県 上北山村 古川

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

急峻…

 


今回は、S君の他K君も参加、日帰りの沢をロープワークなんかも練習しながら、沢泊でゆっくり遡ろうと、古川支流の岩屋谷を選んだ。ところがところが、二本の大滝の巻きがかなりの手強さで、一筋縄ではいかず、波乱万丈の開幕となった。

 

Panasonic Lumix DMC-FT1

 

不動橋から見る不動滝の流れは、もう少し水量があると期待してきたが、かなりしょぼくてちょっと残念。池原側の踏み跡より入り、銚子滝とさらに上流のまだ見ぬ大滝に想いをはせ進んで行く。支流に降りると小滝を懸けて谷が枝別れしているが、右に大きく曲がって二段20m程の滝となり上に続いている。

 

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下部を少し直上して右岸を巻くのがよさそう。簡単そうだが、傾斜が強いので練習がてら早速ロープを出して私がトップで行く。適当にランニングビレーをとってK君に感じをつかんでもらう。登ってみると予習通り不動滝の落ち口、水量が少ないながらも落ちて行く飛沫が美しい。

 

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狭い谷間を堰堤や小滝を越えて進んで行くと二股、両方とも立派な滝が落ちていて、なかなかの景観。右の本谷の15m滝は、整った姿で美しい釜も印象的だ。

 

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この滝の突破は、左岸の細いルンゼを登り、途中からトラバース気味に滝頭の方へ近付いて行く。上流も連瀑帯となっていて、その先には、もう銚子滝が見えている。

 

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どこに降りるか分からないので、行けそうなところを懸垂で降りてみると、前方には岩が詰まった滝、水流の中を行くか、岩の下の穴を空身で登るかと思案するが、どっちも楽ではない。先を見に行っていたS君が戻ってきて「こっち、こっち」と呼ぶので、登り返して少しいくと銚子滝対面の台地状の岩から簡単に滝下に降りれた。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

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70mの銚子滝は、水量が少なく迫力不足だが、その圧倒的な岩盤が素晴らしい。下部は、ちょっとした裏見の滝になっている。

 

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撮影していると、後ろでK君が懸垂下降とプルージック登攀の練習中、冬の間、何回か三人でクライミングジムに通いトレーニングしてきたが、実践で役立つかはまだ未知数だ。

 

銚子滝の巻きは、どっちからでも行けるらしいが、より安全な左岸から行く。落石しやすい急斜面をゼーゼーと登り、岩壁にあたった所から滝の方へトラバース、ここからさらにモンキークライムで壁を登ると空間の開けたナイフリッジの下部に到達、滝頭はすぐそこだが、壁が立っていて回り込めない。銚子滝の上も深いゴルジュに落ちる滝が続いている。

 

この際どいナイフリッジを登るしか手は無さそうで、私がロープを付けて登り出す。背後のダム湖がスコーンと見えて高度感のある登りだ。途中、張り出し気味の岩の乗り越しが微妙で、ハーケンを一枚打とうとしたが、うまく決まらないので、バランスをとって気合い一発乗り越した。上部の木にビレイし笛で合図を送る。続いてK君の番、ロープがビンビンと張って、ゴボウで強引に登ってきた。S君は、「高度感ありますね~」と言いながらも簡単に到達。

 

予定では、次の大滝を越え飯場跡の辺りで幕営しようと考えていたが、銚子滝でゆっくりしすぎたのと、この巻きにえらく時間を食ってしまったので、大滝までの間に適当な場所を見つけようということになった。

 

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ところが、谷床に戻ってみるとゴルジュが続いていて、とてもそのような所はなく、それどころか、大滝が行く手を阻んでいる。

 

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狭まった壁を乗り越すと40m大滝の下、水量が少なくてもこの滝の姿は圧倒的、それとともに周りを壁に囲まれ、今ある事態の深刻さが浮かんでくる。

 

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右に見えるルンゼを登る

 

滝右の急峻なルンゼを登らなければならない。うかうかしていると日が暮れそうだ。そそくさと撮影を済ませ片づけていると、S君とK君はもうルンゼに取り付いている。追いかけて登ると、途中でK君が詰まっていて、S君が上からロープを降ろしK君を引っぱり上げた。このルンゼはどこまでも続き果てしない、もう大滝は遥か下だ。際どい部分では、S君が何回もロープを出して、K君を助けながらの厳しい登攀が続く。

 

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このルンゼはどこまで続くのか

 

いよいよ日暮れが迫ってきたので、偵察の為、二人を追い越し先に行くと笹藪になってきた。下では、K君が狂ったように訳の分からないことを叫んでいる。笹藪を越えると、ようやく少し落ち着いた所に出たが、どっぷりと日が暮れてしまった。

 

ヘッドライトを点けて辺りを見ると、わずかに獣道のような感じの跡が続いていて、少し辿ってみると何とか行けそう。戻って呼びかけようとすると、下から声が聞こえてきた。二人は、暗闇の笹藪を進んでいて、上からライトで照らすと、こっちに登ってきた。

 

大きな岩のある少し広い所で休憩し、K君に「危機は脱した」と言うと少し落ち着いたようだ。さてさてどうするか、杣道を探して下山することも考えたが、下山ルートも不明瞭らしく危険と判断、上流に向け植林帯を降ると10mの滝があるらしいので、トラバース気味に降って10m滝の上に何とか出ようということになった。暗い中、斜面をどんどん降っていくと沢音が大きくなり、やがて穏やかな流れのところに出た。うまく滝上に降りれたかもしれない。

 

ここは、テン場として悪くは無いが、もう少しよいところがあるかもと少し上流を探索、そして沢が右に曲がり、ライトの光に白い流身が浮かび上がった。そこにはV字に落ちる滝が立ちはだかっていた。

 

しかたがないので、先の場所を今宵の宿と決め、荷物を下ろす。ちょっと起伏があって完全ではないが、さっきまでの状態と較べると天国、テントも張れそうだし、何より乾いた炊き木が豊富で、瞬く間に大きな火が上がった。

 

三人とも何もする気が起きず、食事の準備をするでもなく焚き火に張り付いたままだ。S君はいつものようにワインに舌鼓を打つが、大の酒好きのK君は「今はいらん」とさすがに疲れた様子。暖まってきたので飯を炊いて肉を焼いて宴会タイム。明日は、あのV字滝を越えれば終わりだ。ゆっくり起きてゆっくり出発しようと日付が変わっても宴は続いた。

 

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目が覚めると今日も良い天気、いきなりのV字滝の突破から、巻きはもう勘弁して欲しいので、滝右のリッジを登ることにするが、事前予習によると上部がかなり悪いらしく、ここはもちろんS君の出番、ロープを引っ張って登っていく。ハーケンを打つ軽やかな音が谷にこだまし、しっかりとランニグビレイをとって登り切った。

 

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S君のリード

 

タイブロックで確保してK君が登り、最後に私の番、上部に達すると岩が全部手前に傾斜していて、しっかりと持てない。こういうのを逆層というのか。二枚目のハーケンを回収したところで、手がかり足がかりがなく困っていると、「ロープ持って登っても大丈夫ですよ」と上からS君の声、しかし、何とか自力で登りたいので、岩に張り付いたまま考えていると、右上方にちょっとしたホールドを発見。少しずつ右へ体重移動し、じりじりと手を伸ばす。少し指先がかかった。そして足に力を込めると、フワッと体が浮いたような感覚をもって上に抜けた。ジムでのトレーニングが大いに役立ったような、気のせいかもしれない。

 

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滝上は穏やかな渓相が続いている。すぐに左岸に飯場跡が現れたので、そこから踏み跡を辿ると下山に使う杣道に出た。この道は明瞭だが、人があまり通ってないのか藪に覆われていて、歩きにくい。やがて落石ごろごろのルンゼの辺りで何かが大きな音をたてて逃げて行った。「熊ちゃうか」と冗談を言ってルンゼを降っていくと、皮を剥がされた木を発見、まだ新しい。この後もこのような木が数本あった。

 

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熊?

 

崩れたルンゼをどんどん降っていくと道が現れたり消えたりするが、やがて明瞭な石の階段となりT字路を左にとって不動橋に戻った。

 

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苦しかった昨日を思い出し、三人で堅い握手を交わす。古川岩屋谷がこんなに急峻で厳しいとは思わなかった。ちょっと選択を誤ったかもしれない。でも、クライマーS君は満足そう。ロープを出したり直したり、際どい滝を登ったり、いつも以上の活躍、ありがとさんです。ウェイクボーダーK君には、初の沢で厳しい思いをさせてしまったかもしれない。にもかかわらず、その頑張りは見事で、強い根性を見せてくれた。