2009年5月1-2日

奈良県 天川村 川迫川 神童子谷 犬取谷


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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


単独の夜…



これまで、やりたくても出来なかったこと、それは一人での沢中泊、深い森の孤独な夜を考えると、それだけで恐怖が襲ってくる。装備も全て一人で担がなければならない。冬の間に試行錯誤を重ね、撮影機材をはじめ全ての装備を軽量コンパクト仕様に。そして、いよいよ決行の日がやってきた。


川迫川に沿って進んで行くと、弥山川コースの入り口である熊渡にはすでに数台の車が止まっている。大川口から神童子谷林道に入り落石等を心配するも終点に到着、こっちには一台も止まっていない。林道は思ったよりも高い位置にあって、さてどこから降りるのか。林道の奥にかけて踏み跡があったので、そっちに行き、際どいところを降りて行くと壁が立っていて大失敗、下の方に鉄の桟橋が見える。初っぱなからの登り返しがきつい。


戻って手前のなだらかな斜面を降りて行くと石の階段があり、その先には、さっきの桟橋。この桟橋は、所々崩壊しているが、奥に続いているので、これを辿って行く。桟橋が切れてから河原歩きを経て両岸狭まる行合、これがへっついさんか、噂通り砂利で埋まっていて問題なく通過。


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すぐに谷が左に曲がって赤鍋の滝、奥のゴルジュから勢いのある水が大きな釜に注いでいる。左岸にも水量が少ないながらも大きな滝が同じ釜に落ちている。


PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


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つるつるの左岸をへつって赤鍋の滝を越え、奥の淵を泳いで右岸に這い上がるのが常道らしいが、濡れるのが嫌なので、右岸から巻き越えた。小尾根を登って上流方向にトラバースしていくと、明瞭な踏み跡がある。


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この後は、穏やかで平坦な流れを遡って行く。一ヶ所綺麗な淵があった程度で何も出てこない。そして、ようやくという感じで大きな釜があり、釜を境に谷は右に曲がっている。


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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


そこには、二条に落ちる小さな滝、美しい、あまりに美しい。逆光線が新緑を透過し、その光りが差し込んだエメラルドグリーンの水に息を飲み、呆然と立ち尽くした。写真的には、明暗が非常に強く難しい状況だが、デジタルのメリットを最大限生かせるよう考えて撮影した。


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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


右岸から小さめに巻いて上に出る。傾斜が比較的あるが、踏ん張りが利いて容易な巻きだ。滝上は、ノウナシ谷との出合、右のノウナシ谷も面白そうだが、今回は本谷である左の犬取谷へ。


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二の滝


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二の滝


またまた穏やかな流れを進んで行くと二の滝、そこから少しで一の滝、どちらも左岸から巻いて行く。


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一の滝


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徐々に傾斜が増してくる中、小滝を越えて快適な遡行が続く。そして壁に囲まれた犬取滝の登場、なかなかの滝姿で迫力がある。久しぶりに望遠レンズで水の躍動を狙ってみた。


PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II


PENTAX K20D smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED


右岸を小さく巻けば、上段の滝下に出れるかもと思ったが、登ってみると壁に遮られてとても無理だ。それどころか壁に沿って下流方向へどんどん追いやられる。結局、かなりの大巻きで谷に戻ると、上段の落ち口らしく、深いゴルジュに水が落ちて行くのが見える。犬取滝、上段と下段の間に距離があり、別の滝のようにも思える。


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犬取滝上段落口から


この後も悪場の無い遡行が続き、小滝を境に谷が右へ曲がると上部に最後の滝、二段60mのジョレンの滝が見えてきた。ここまで来ると新緑もまだまだで、ちょっと寂しい風景だが、おかげで上段の滝もはっきりと見える。山深きところに人知れず落ちる秘瀑の雰囲気満点だ。


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左岸には裏見の滝と呼ばれる滝も懸かり、太陽の光を受け、虹を浮かび上がらせている。


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ジョレンの滝の突破は、どっちかでも行けそうだが、右岸から取り付いた。途中、上段の滝下へトラバースで近付けそうだったが、落ちたら下まで一直線で、確保なしでは危ないので断念。そしてテープに導かれて今度も大巻きだ。


谷に戻ると両岸に台地が広がる絶好のテン場、荷物を下ろそうかと思ったが、まだまだ早いので、上にも一人くらい寝る場所があるだろうと、さらに谷を詰め上がって行く。しかし、良い場所は見つからず、しかたがないのでさっきの台地まで戻った。


すると焚き木をたくさん置いてあるところがあり、誰かの置き土産らしく、遠慮なく使わせてもらうことにし、ここで一夜を過ごすことにした。もう焚き火も手慣れたもので、たちまち大きな火が上がる。明るいうちからの焚き火は、煙だけが目立ってちょっと変な感じ、米を水に浸けてテントを設営し準備完了。タープだとさらに軽量化が図れるが、夜や雨を考えると、やっぱり囲いが欲しいのでテントを選択した。


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テントは、Black Diamond OneShot、防水透湿性素材EPICを使ったシングルウォール、サイドの出入り口が全開し、対面も大きく開くので通気性もよい。荷物を放り込んでも一人なら十分な広さがある。元から軽量だが、カーボンポールに変更し、総重量で1kgに満たない。


飯を炊くと、これまでで最高の飯が炊き上がった。チタン鍋での炊飯は、結構難しく、これも自宅で何回も練習した。最後のチョロ火でこげくさい匂いがしてきたら炊けた合図だが、ここからあと少し我慢したのがよかったみたいだ。


飯を食って満腹になった頃、いよいよ夜の帳が下りてきた。焚き火にあたって、インスタントコーヒーでくつろぐ。広いテン場のせいもあるのか、以外にも全く怖さはなく快適そのもの。することもないので、寝袋に潜り込むとすぐに寝てしまった。


しかししかし、夜中に強烈な寒さで目を覚まし、「なんでこんな寒いんや」と考えながらテントの中で今度はカフェオレタイム。換気をしながらでも湯を沸かすと、テントの中はすぐに暖かくなる。服を着込んで寝直すと、朝になっていた。


焚き火を起こし直してゆっくりと準備、記念すべき一夜に感謝して出発。源流の雰囲気の中、二股を左に行って、次の二股を右へ、すると上に人が歩いているのが見えたので、なだらかな草地の斜面を登って登山道に出た。


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登山道を西へ行くと、すぐに稲村小屋のある山上辻、ここから洞川に降って、タクシーを呼んで神童子谷の車の所まで戻る予定。公園のような快適な道を登ってくる人達と挨拶を交わしながら降りて行く。洞川に着いたのでタクシーを呼ぶが、これがあまい考えだったようで、GWで予定一杯でこれないらしい。


お先真っ暗になり、「あそこまで歩いて戻るのか~、暗くなる頃には着くかなあ~」などと考えながら洞川の町を歩いて行くと、橋を越えた所にバス停があった。そして15分後にはバスが出る時間、とりあえず天川まで行こうとバスに乗って、天川村総合案内所に駆け込んだ。


タクシーの件を相談すると、やはり無理とのことだったが、20分後に下市からバスで来るお客さんがあり、その方がタクシーを予約していて行者環の登山口まで行かれるので、相乗りを頼んでみればと言ってくださる。結果、皆さんのご好意のおかげで、大川口まで戻ることができた。


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神童子谷林道を歩いて行くと、川の流れがきらきらと輝いている。オソゴヤ谷の出合にさしかかると、小さな滝からの流れと今芽吹いたばかりのような新緑が美しかった。