2009年5月20日

奈良県 川上村 上多古川 上谷 

 

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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

幽仙境…

 

 

一日ぽっかりと時間が空いたので、S君と沢へ行こうということになり、比較的近場で遡行距離も短い上多古の上谷に向かった。上谷は、馬の背滝から牛呼滝までの連瀑帯が見物で、土地の人が幽仙境と呼ぶ秀渓らしい。比較的初級といわれるこの谷だが、牛呼滝の巻きは結構な難所で、苦労したという報告が多く今回もどうなることやら。

 

林道奥のカーブのところから沢登うんぬんの看板を見なかったことにして、いざスタート。ゲートを越えて、林道終点からしばらく杣道を辿り、最初の鉄橋を過ぎ大岩の辺りから入渓。斜瀑を進んでいくと傾斜が増してきて三条に落ちる滝が現れる。

 

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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

奥にも細いながらも滝が見え、なかなか美しい眺めだ。右岸から巻いて細いルンゼを降ると、また滝の前、これが馬の背滝か、枝谷から落ちる滝と合わさって同じ釜に落ちている。

 

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Panasonic Lumix DMC-FT1

 

左岸に渡って斜面を登るとふたたび杣道。すぐに二つ目の鉄橋があり、小滝が連続して続いている。

 

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Panasonic Lumix DMC-FT1

 

杣道を伝い巻き登っていくが、何かじゃまくさくなってきたので、そのまま杣道を行くと、谷からどんどん高く離れていく。あれよあれよと進んで、何やら下に大きな滝が見える。しまった、どう見てもこれは牛呼滝だ。今来た杣道をどんどん戻って、谷が見えるところから穏やかな流れに降りて仕切り直し。

 

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Panasonic Lumix DMC-FT1

 

少しいくと左岸箱谷から滝が雫状に落ちている。谷を明るく照らす光線が降り注ぎ、何とも言えない清涼感のある所だ。

 

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Panasonic Lumix DMC-FT1

 

そして4段20m滝の登場、直登できそうにも見えるが、全身ずぶ濡れは必至、安直に右岸から巻き越えた。小さい斜滝を越えると、目の前にまたまた3段20mの滝、最下段が二条に別れる整った美瀑、近付くと豪快な流れも見せてくれる。

 

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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

この滝も巻けば簡単だが、登る練習をしようということになり、安全の為にS君が一旦途中まで巻いてトップロープを設置した。下段の滝をへつり登って、ロープを付けて壁に取り付くが、思った以上にヌルヌルで、逆相の丸まったホールドは、今にも滑りそうだ。ツルッといくのが怖くて膝がブルブルと震えてくる。微妙な微妙な体重移動で10分程かけてようやく登り切った。

 

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Panasonic Lumix DMC-FT1

 

続いてS君が登り始めたので、スリングを繋いでセルフビレイを延ばし、激写するが、う〜ん、ブレてる。この後、最上段の横を通過中にちょっとしたハプニング、何故かS君が滝壷で行水しているので、お助けヒモを降ろした。

 

まだまだヌルヌル壁が続いていて際どく、強引にモンキークライムでもう少し上まで登って滝上に抜けた。そして、大岩を潜って細い流れを登ると牛呼滝の登場、両岸壁に囲まれ、谷が右に曲がった奥に落ちる牛呼滝は、暗くて陰湿だ。

 

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K20D smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

 

滝裏にポッカリ空いた空洞と急激に方向を変えてくの字に落ちる流れとで類稀な形をしている。滝前の少し広くなっているところは、幸いにも日が差して暖かい。湯を沸かしてカップ麺を食べてゆっくりとくつろぐ。そうこうしていると、やがて驚きの光景が出現した。

 

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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

暗い谷間に太陽の光が降りてきて、陰湿で凄みのある牛呼滝が微笑んでいるようだ。しかし、この幻想極まりない眺めは、長くは続かず消えていく。ほんの少しだけ訪れた神秘なる瞬間であった。さあ、牛呼滝の突破だ。左岸は全くダメ、右岸のズルズルスラブ壁を目で追うとなんとか登れそうだが、さらに上部には垂壁が見え隠れしている。登っても詰まる可能性が高い。安全を期し、大岩の下へ流れを懸垂で降りて、そこを登ろうということになった。

 

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PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

懸垂で降りていくと、そのままでは大岩の横の淵にはまってしまうので、振り子気味に降りるが、ロープの操作がなんとも微妙。おまけに回収時にロープが流れに巻き込まれて、あせりまくって大岩の下に戻った。

 

ここも逆相壁だが、乾いた白い壁で登りやすい。ロープを引っ張って下部を抜け、樹林帯の立ち木でピッチを切った。S君も登り、念のためアンザイレンでそのままいくと、すぐに杣道が現れた。牛呼滝から上はたいした滝もないらしいので、杣道を降ってあっという間に林道へ戻った。

 

上谷は、杣道がすぐ横を通っている為か、やや人臭い面もあるが、短いながらも美しい渓相が続き、滝が連続する様は思った以上に素晴らしく、一見の価値があるように思う。