2015年8月9日
蓮川 奥ノ平谷 


56_8095077


魅惑のゴルジュ・・・



ゴルジュ、廊下、そんな言葉を聞くだけで、困難なルートの突破の喜びを連想する者、また渓谷美を愛する者は、その独特の造形に触れてみたいと思う。臆崖道さんと山ノ神さん、パンダと小さいパンダ、それぞれがそれぞれの想いを胸に秘めて・・・

いやいや、今回は、おそらくそんなには方向性が変わらないだろう四人で、サスケ滝までの日帰り作戦。


01RIMG0599


林道ゲートを越えたところから踏み跡を辿って川に降り、ゴーロを少し歩けば、大きな釜に最初の滝が落ちる。これが、初音滝とされる滝だろうか。


02RIMG0617


いきなりの泳ぎになるが、嫁さんは何時もながらに嬉しそう。


03RIMG2507


穴潜りではなく、滝身から強引に登ってみたが、思ったよりしんどかった。この後、力を使う場面があるはずなので、ちょっと失敗。


04RIMG0622


側壁が狭まってきて怪しげな雰囲気。いよいよ始まりか。


05RIMG2519


さっきより大きな釜に小さな滝。この奥に魚止滝があるのだろう。


06RIMG0626


さてさて撮影。まだとても暗いゴルジュの中、光が十分に届かないが、PLフィルタとレンズを通った光をスローなシャッターでセンサーに集光させる。


07_8094798


戻滝という名のごとく、どうせ戻ってくることになるのだろうが、前進前進。魚止ノ滝を見ない訳にはいかない。

山ノ神さんのラッコ泳ぎにはびっくり、足が前にあるにも関わらず安定した泳ぎで前に進んでいく。


08RIMG0677


魚止ノ滝。暗く閉ざされた静かな世界。早くも突破できない閉塞感が極まる。


09_8094853



10_8094866


それでも、しばらく見ていると、何となく登れそうにも見えてしまう。おくがけどさんに見てきてくださいと言うと、ロープを引っ張って颯爽と泳いで行く。しかしながら、やはり簡単には登ることが出来なさそう。


11RIMG2566


諦めたのか大の字になって天を仰ぐと、山ノ神さんが、すかさずロープを引っ張って引き寄せる。おお〜っと、素晴らしい連携プレイ、何時もやってるのかな。


12RIMG2573


予定通り泳いで戻るが、この行って戻っては、苦労というより早くも面白さ満載といった感じ。嫁さんはラッコ泳ぎを真似てるつもりだが、それ方向が逆やで。


13RIMG2585


右岸巻きルートの取り付きの壁は、下部が抉れている。残置ロープを使って空身で登り、新たなロープを使ってザックピストンから全員が登る。


14RIMG0779



15RIMG2591


魚止滝の落口。なかなか良い眺め。


16RIMG2617


沢に戻ると、直ぐにまた滝。


17RIMG2606


奥ノ平の無名滝には、松阪山岳会が名を付けたとされるが、これは淵滝で間違いないだろう。


18RIMG2633


水量が多くはなく、突破は容易。


19RIMG2648



20RIMG0799



21RIMG2674


そして沢が左に急転回し、目の前には素晴らしい世界。斜めった岩峰が聳え、両岸触れ合わんばかり。何時も思うが、こんな独特の造形は如何にして生まれたのか。


22_8094891


この奥が仙人滝か。僅かにしか見えない白泡が、冒険心をかき立てる。


23_8094904


突入突入。不気味極まる狭きゴルジュ。


24RIMG2678



25RIMG2684


突き当たりから今度は右へ屈曲。


26RIMG2693


どこから出てきたのか、ずっこけてる嫁さんを見て、おくがけどさんがスルスルとお助け紐を降ろしてくれる。


27RIMG2702


下段?を登った上には、滑り落ちる美しき滝、これが仙人滝か。

滝として水量が多いだけが良いとは思わない。美しい軌跡と澄んだ壺は、この程度の水量ならでは。大水量では、透明感のある壺を決して見ることはできないだろう。


28_8094913


山ノ神さんトップで取り付く。嫁さんのショットだが、なかなか決まってる。


29RIMG0844


ところが、支点がとれないままの左岸直上は危険。左〜と叫ぶが、水流で聞こえないのかもしれない。突破ルートが脳みそに叩き込まれている私が追いかける。


30RIMG0856



31RIMG0868



32RIMG0882



33RIMG2713


嫁さんは途中から右岸に渡ったが、おくがけどさんは中央突破。


34RIMG2727


上から見下ろしても素晴らしい造形。


35RIMG0896


直ぐ上にも滝が続いているが、この滝は何滝?

この切れ込んだ沢にも、ようやく光が届きだし、何時もながらに嬉しい瞬間。


36RIMG2738


少し進むと明るく開けたところで、またまた谷が右へと急転回し滝がかかる。

光を浴びて輝きまくるこの滝は、双曲滝か双頭滝か。法螺貝滝の一つ下流の滝とすれば、この滝は双頭滝。もしそうであれば、双曲滝は、どの滝なのか。仙人滝からここまでは、仙人滝直ぐ上の滝以外に顕著な滝があった記憶がなく、滝があったのなら撮影していたようにも思うが、覚えてないだけかもしれない。

う〜ん、考えれば考えるほど難しい。


37_8094930


落水は美しい壺へと白泡をたてて飛び込み、何故か不思議な色を伴い溢れゆく、その途切れのない営みを見ていると、とても癒されるが、一方で暗く狭いその先も気になる。


38_8094936


左から巻き上がり落口。


39RIMG0919


続くゴルジュの中は、下から見ていたよりも明るい。小滝がかかり、この滝にも名前があるとすれば、また違う考察ができるだろう。但し、これらの名も無き滝達に土地の人ではなく山岳会が名付けをしたのなら、あまりこだわる必要はないのかもしれない。


40RIMG2761



41RIMG2771


側壁だけでなく前方も壁に塞がれ行き止まりとなるが、お決まりのように右へ曲がってゴルジュの中に落ちる滝が登場。


42RIMG0923


法螺貝ノ滝。これまた凄い造形だが、それは同時にこの先への前進を困難なものにしている。それでも、光と影が作る眩い世界は、威圧感を感じることなく、美しさで魅せてくれる。

おくがけどさんは、泳いで右岸に乗り込み、頑張って撮影していたが、私は、ここからのキラキラとした眺めで十分に満足。


43_8094946



44RIMG0950


45_8094967


法螺貝滝の突破は、ゴルジュの入口まで戻って右岸巻き。右岸からの巻きルートには、驚くことに古い感じのテープが、ちょこちょこと付いていた。

懸垂もなく沢に降りると、穏やかな渓相。前半と違う明るい遡行が気持ちいい。


46RIMG2778



47RIMG0965


しかしながら、またゴルジュっぽくなり、泳いで中へと入っていく。


48RIMG2798


すると、右岸からの支流滝と奥の暗いところに落ちる滝が合わさる美しい光景に出会う。


49RIMG1010



50_8094983


そしてそして、大きな壁が囲むように立ち塞がり、今日のクライマックスを迎える。


51RIMG2816


鎌滝が落ちていたのは、壁が抉れた大きなドームの中。


52_8094996


ドームの中の僅かなスペースに立てば、その異次元空間に言葉も出ない。ぐるりと取り囲む側壁は、見上げるばかりに高く、まるで鎌滝を守るように隠すように圧倒的。

僅かな隙間から降り注ぐ光が、壺に湛えられた水の揺らぎを美しく照らし、神秘なる水の深みへといざなっているよう。そこに落ちる白き水、優しいながらも大ホールに響き渡る滝音。まさかまさか、これほど素晴らしいとは、これ程に美しいとは。

その夢のような世界に打ちのめされる。


53_8095013


見た目の美しさとは裏腹に、滝頭とその周辺は、これ以上ないように輝き、写真的には白飛びとハレーション必至の困難な状況。時間をかけてシャッターを切るが、撮ることができたのは、ほんの数カット。


54_8095114



55_8095136


嫁さんが釜で泳ぎだし、気持ちよさそうにぷかぷかと浮かぶと、それを見ていたおくがけどさんも、たまらなくなったのか追従。深い谷間に至福の時が過ぎていく。


56_8095077


鎌滝は、左岸巻き。おくがけどさんが垂らしてくれたロープを使い小さく巻き上がる。お次に現れたのは、岩が鎮座する中岩滝か。


57RIMG2825



58RIMG2830


右岸支流黒滝谷にかかる滝にも行ってみたかったが、時間がかかりそうなので諦める。


59RIMG2834



60RIMG2836


大石滝が見えてくる。


61RIMG1055


滝前にある大きな岩が大石滝の名の由来か。

そこに乗っかってホッと一息。鎌滝の後では、ちょっと気の抜けた撮影になってしまった。


62_8095153



63_8095158


左岸から巻き上がると摂津道からのルートに合流し佐助滝へ。

三年前の春、初めて対面したサスケに較べると、随分と水量が少ない。しかしながら、滝に被さらんばかりに茂る緑は、その時には見ることができなかったもの。豊かな自然を感じる今日のサスケは、とても美しく、どちらかと言えば、より魅力的だと思う。

欲を言えば、これに豊かな水量を伴う姿を見てみたいものだが、その静かな佇まいは、ここまで遡行して到達したことを祝福してくれているようだった。


64_8095178



65_8095206



66RIMG1072



67_8095211


帰りの摂津道は、一度歩いているので問題ないと思っていたが、これが大間違い。往復ではなく遡行後に片側から見ると非常に分かりにくく、飯場跡までかなり時間がかかってしまう。この後、暗くなってしまい、小さな沢やルンゼを跨ぐ度にお決まりの不明瞭なポイントが現れるが、何とかこなして無事帰還した。

奥ノ平谷は、この界隈の例に漏れず、歩いていると僅かながらも泥や砂の影響を感じるし、紀伊半島においては極上な渓相と言えないかもしれない。しかししかし、屈曲を繰り返しながら突き上がっていく狭き廊下は、大自然の驚異そのもので、素晴らしい造形美に満ちていた。

滝メグラーの間では、紀伊半島といえば、大瀑、豪瀑の宝庫という認識。だがそれは、紀伊半島のほんの僅かな面を見ているに過ぎす、紀伊山地に刻まれた渓谷に落ちる美しくも素晴らしい滝を代表する姿では決して無い・・・

尚、奥ノ平谷の読み方は、紀峰山の会、宮田俊英さんの2002年の記録によると、地元役場への問い合わせで「おくのひらだに」と確認されたそうである。

臆崖道さん、山ノ神さん、どうもありがとうございました。



撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO

RICOH WG-4 GPS
RICOH WG-5 GPS


撮影機材データ

撮影機材データ