2015年8月23日
前鬼川


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夢の中へ・・・


今シーズン最大の目標、いや、これまでずっと暖めていた滝に挑戦する日が、やって来た。

その滝は、大岩壁を切り裂いて落ちる迫力の大瀑でありながら絵に描いたように美しく、清冽極まる白き瀑水が、いくつもの美しき壺を越えていく。その滝は近いようで遠く、簡単には人を寄せ付けない。

さてさて、その懐は、どんな処なのだろうか。アタックや挑戦などという言葉があまり好きではないが、高ぶる気持ちは抑えようがない。

影に支配された前鬼川に降り立つ。まだ暗い中にも僅かながらに光が届き、久しぶりに見る前鬼の水色にほっとする。


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不動七重F1。無事ここへと帰ってこれるのか、重くのしかかってくるのは、期待感以上の不安。


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遊歩道を利用して回り込み、先ずは主瀑であろうF5途中のテラスへ。


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水量は少な目だと思うが、それでも凄い迫力。元々は、二日かけて全段滝壺を狙うつもりだったが、今回は一日だけになってしまったので、このF5から下へと下降する計画。

壺の無い滝の直下を滝壺と呼ぶのは、やめて欲しい。不動七重は、F1からF7まで、その全てに美しき壺がある。


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F5直下は、瀑水と爆風が予想され、懸垂で壺へと着水し泳ぐと、その後に襲ってくる寒さが強烈そう。そんな訳で、下流側へと戻り別ルートを探す。すると、うまく降りることが出来そうなところがあり、そこから下降していく。


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降りたったところは、まだ高いが、ここもちょっとしたテラスになっていて良い眺め。大きな壺へと差し込みだした光が、美しき水の透明感を際立たせていく。


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ここからF5の壺へは、ロープなしで降りることができそうだが、そこから先も、うまく下降できるかは全く未知。

直で懸垂していく以外のルートを探ると、岩のリッジの下流側にルンゼが走っていたので、そのルンゼの頭あたりまでトラバースでして状態を見に行く。そして、そこからも下降できそうなことを確認してからロープを抜いた。

いよいよ一方通行の旅の始まり。


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辿り着いた大きな壺の前は、思った通りの夢の世界。遠望ながら見慣れたはずの水色は、より美しく、心まで溶けてゆく。


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しかしながら、こちらも予想したように爆風、瀑水に絶え間なく叩きつけられ、泳ぎを避けたにも関わらず、その寒さは結果的にあまり変わらないかもしれない。


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右岸側は、明るい光が降り注ぎ、乾いた岩肌を見ると居心地が良さそう。早くあそこへと渡りたいが、波立つ大きな釜を泳ぎ切らねばならない。

ここを確保なしで泳ぐのは自殺行為、ロープを岩に回してのボディビレイでも問題ないかもしれないが、やはり支点が欲しいところ。何も無いツルリとした岩に支点を構築するのは難しく、ようやく出来たときには、かなりの時間が経っていた。

この美しき釜を泳げる喜びと吸い込まれてしまう恐怖が交差するが、自分を信じ、ひこさんのビレイを信頼し、壁を蹴った。

泳ぎ出してみると、水の勢いは一点に集中するのではなく、丸い釜を回り込んでくる水流と直進してくる水流等々が、複雑に絡み合っているよう。そのぶつかり合う流れが弱いところを捕らえて、うまく対岸へと到達。続くひこさんもロープの手繰りが間に合わない程のスピードで泳いで来た。


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右岸側は左岸とは比べものにならない別天地。素晴らしすぎる主瀑を心ゆくまで楽しむ。


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美しき水を湛えた大きな釜は、何時の間にか光で満たされ、そこへ迫力の落水が突き刺さる。波立つ水面も、その釜の大きさ故か美しさを損なうことはなく、どこまでも透明。強固に取り囲む壁は乱れのない環境を形成し、それらが合わさった素晴らしき景観は他では見たことがない。正に完璧なる滝姿。


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さあ行こう。滝と釜が続く大きなスケールの中を降って行く。


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F4〜F3、生命力漲る水を感じ、身を委ねる。


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素晴らしい眺めの下、F3の釜へと着水。


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F2は、ちょいとでかい。ひこさんが一段降りたところで下を確認すると、60mロープで先端が水面ぎりぎりだと言う。


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続いて懸垂していくと、横から見るF2が美しく、ロープにぶら下がりながら撮影。


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ぎりぎりのロープをどうやって抜くのか。水面で泳ぎながら力を入れるが、体が引き戻されるだけで簡単にはいかない。僅かながらに動くロープを徐々に引っ張ってなんとか回収。

大きな釜に向かっての懸垂下降は、何時もとは勝手が違う。バックアップを付けると着水後の解除に手間取るし、ロープがきりぎりだと、先に降りたものがロープを引っ張って後続者に何かあった時に備えるのも難しい。

下降ロープと回収ロープを別にし、下降ロープは水面ぎりぎりか、やや上くらいの長さにセット、それに対して回収用のロープを長くセット。こうすれば、着水と同時に確保器からロープが自然に抜けるだろうし、釜に上がってからゆっくりとロープを回収できるかもしれない。あるいは余裕を持った長いロープを使い、着水から後も確保器を滑らせて釜を泳ぐ。

いろいろな方法が考えられるが、とにかく分からないことだらけで課題が多い。


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F2滝壺、ここも是非とも立ちたかったところ。上でゆっくりし過ぎて影ってしまっているが、日本離れしたダイナミックな眺めに感無量。


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本当に本当に素晴らしい。これ以上の滝風景は無いとさえ思えてくる。


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これで最後、立ち去りがたい想いを胸にF1の下降に向かう。


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F1も思ったよりでかく、出来るだけ下に支点をセットしたが、ロープが届いているようないないような。


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最後の最後まで素晴らしき眺め。


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F1右岸下部には、ちょっとしたスペースがあり、そこでロープを回収して釜へと飛び込む。


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F1の釜の水流も複雑。右岸沿いを流されていくと、巻き戻るような水流を感じたので岩を蹴って下流への流れに乗ったが、先に泳いでいったひこさんは、右岸の窪地へと押し戻されてしまう。釜から上がってもひこさんが窪地から出てこないので、カウボーイのようにロープを投げられるかなと考えていると、うまく脱出してきた。


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ここまで来ると、余裕を持って寛げる。F1だけでも素晴らしい滝姿。


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後は得意の立ち泳ぎで流されて戻るだけ。


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不動七重ノ滝、この滝に迫ることは、長年の夢であった。圧倒的なスケールと圧倒的な美しさに打ちのめされ、この日もまた忘れることができない一日になったのが嬉しい。

残念なことに、この素晴らしき滝のことは、多くの滝メグラーが忘れてしまっている。しかしながら、落差、迫力はもちろん、美しき水の流れと壺を持ち、何より乱れの無い滝姿は、奇跡の滝と呼ぶに相応しい。これ程までに全ての要素を兼ね備えた滝は、殆ど無いのではないだろうか。いや、私が知る限り無い。

また、一般的に100mとされる落差は、とてもそんなスケールでは収まらず、まだ見ぬF6〜F7だけでも60m?、F5は80m?、F1、F2は、それぞれ30m。そこにF3、F4を加えると、少なく見積もっても200m級であり、あまり落差に拘らない私でも驚くばかりだ。

F2の釜へのベストな陽当たり、F1にも陽が届くのだろうか、滝壺に行くのが、とても難しそうなF7、大きく美しい釜を持つらしいF6、残された課題とともに、さらなる夢は膨らむばかり・・・

ひこさん、どうもありがとうございました。



撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R

RICOH WG-5 GPS


撮影機材データ

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