2009年10月24日

三重県 大台町 大杉谷


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PENTAX K-7 smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

敗退・・・

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大杉谷への想いはずっと持ち続けていたが、何故か縁がなく行くことができないでいた。そうこうしているうちに2004年の台風で登山ルートは大きな損傷を受け、40mの吊り橋の流失、大規模な岩盤崩落を含む計43カ所で崩壊し完全に寸断されてしまったらしい。


5年経った現在でも全く復旧されていないが、そろそろというか、ようやくというか工事が始まるとの話もあり、そうなれば最低でも5年はかかるだろう。工事前の最後のチャンスかもしれないと思い大杉谷へ入った。


計画では、鶴橋を20時前に出る近鉄特急に乗り、三瀬谷からタクシーで宮川第三発電所まで行ってテン泊、翌日谷中で一泊して大台ヶ原へ抜けバスで帰る予定だった。ところが仕事の都合で間に合いそうになく、堂倉滝までの往復覚悟で夜中にS君の車で現地を目指した。


長~い道程を走り、ようやく到着かと思っていたら発電所手前で工事の為通行止め。もう朝の5時だが、少しだけ仮眠タイム、眠れるはずもなく直ぐに夜明け。空はどんより曇っていて、飯を食っていたら雨が降ってきた。今日一日は持つと思っていたのに早くも戦意喪失。どうしようかと迷っているうちにどんどん時間が過ぎていく。せっかくなので様子だけでも見に行こうと出発したのは、8時15分頃になっていた。


林道を発電所まで30分程かけて歩き、鍵のかかっていない木の扉を開けて登山道へと入っていく。少しでいきなりの障害が現れるが、ザックを投げ渡したりしながら慎重に越えて通過。ここからは、大日ぐらをえぐって作られた狭い登山道、景色は一変し大きなスケールと流れる水の色にびっくり、たちまち大杉谷の魅力に引き込まれていく。


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Panasonic Lumix DMC-FT1

始まったばかりの紅葉を眺めながらどんどん奥へと進み、能谷、地獄谷を綺麗な吊り橋で越えていく。吊り橋からは、浮遊した感覚の眺めが独特で何とも言えない心地よさ。


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Panasonic Lumix DMC-FT1

登ったり降ったりと巻き進んでいくと頭上から落ちる千尋滝が見えてきた。落差135mと言われるその滝は、全景は木々に隠れてよく見えないかもしれないが、尾根の頂上付近、もう何もなさそうなところから落ちてくるその姿は独特で、大台ならではの巨大な滝だ。


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PENTAX K-7 smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL WR

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PENTAX K-7 smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

登山道が起伏を増し巻き進んでいく途中、眼下に次々と現れる淵の美しさは比類がない。蒼から緑へ、そして青へとその色を変えながら続いている。


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Panasonic Lumix DMC-FT1

道が河原に降りるとその先がシシ淵、深く澄み切った水を湛えた淵はまるで鏡のよう。しんとした静寂感と奥に見えるニコニコ滝と相まって神秘の景観が漂う。夏なら狭まる行合いを泳いで越えたくなるだろう。


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PENTAX K-7 smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL WR

シシ淵からは、左岸に入る枝沢に沿って巻き登っていく。鎖が懸かっているが、傾斜の強い濡れた岩盤は滑りやすく慎重に通過。そして狭い道の途中からニコニコ滝の全貌が見えてくる。


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シシ淵の巻き途中、良い水場

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PENTAX K-7 smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL WR

130mのニコニコ滝は、これまた圧倒的。シシ淵から見えた優雅な姿とは違い水量豊かで堂々とした滝姿。千尋滝と同じように天空から落ちてくるように感じる。千尋滝の懸かる千尋谷、ニコニコ滝の懸かる加茂助谷、滝上がどうなっているのか非常に興味がそそられる。


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PENTAX K-7 smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

雨脚が強くなり暗くなってくるが、さらに先へ進むと巨大なコンクリートの塊が傾いて横たわっている。何か変だと思いながらもこの塊を乗り越えて進むとだんだん道が不明瞭になり沢登りの巻きみたいになってきた。そして道は消失、左岸前方には巨大なぐらが見え、無理に進んでもとても超えられそうにない。


まてよ、この巨大なぐらは平等ぐらで、さっきのコンクリートの塊は流失した吊り橋の基部ではないか。ようやく気づいて戻ると対岸にもコンクリートの塊が見える。


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Panasonic Lumix DMC-FT1
右中央上にコンクリートの塊

対岸のコンクリートの塊から続く道があったはずだが、斜面が大きく崩壊していて道は全く無い。降りられそうなところを探してズリズリと下まで降りてみると、大きな岩が谷を塞ぎ先の様子はよく分からない。


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右岸の大きな崩壊と岩で埋まった谷

少し進んでみるが、雨が強くなり濡れた岩を登山靴で越えていくのはかなり危険になってきた。出発が遅かったので、時間はもう午後の1時30分になろうとしている。食料や泊装備はあるものの、どこまで行けるか分からず、途中で詰まっても大変だ。

S君と協議の結果、残念ながら戻ることに決定。4時30分頃、最初の関門に到着し雨具がひっかからないようにまたまた大騒ぎで越えた。


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木々の間からニコニコ滝、ここからも美しい

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鎖の付いた際どいルート

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雨とガスの谷を名残惜しく振り返る

大杉谷、そこは無数の鎖場からも分かるとおり一般道としては極めて危険で厳しいルート、滑りやすい岩盤上の通過も多い。しかし、安全を期せば、歩いた満足感の高いなかなかの行程。


何より大きなスケールとそこに流れる水の美しさは、言葉で表現するのは難しい程の素晴らしさ。目的は果たせなかったが、心に残る山行になった。でも、このままでは終われないかも・・・