2010年2月21日
奈良県 大峰山脈


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終わらない旅・・・

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岩とアイスのミックス」、冬の大普賢を代表するこの言葉は、そんなところに行ったことのない私にとって、あまりにおっかなく魅惑的。今回は単独で登るつもりだったが、ここまで一緒にやってきた嫁さんも行きたいと言うので、ほっていく理由はない。「ダメなら直ぐに引き返すぞ」と嫁さんに言いながら自分自身にそのことを叩き込んだ。


今回は、珍しく早起きして6時40分に登山届けを出してスタート。和佐又の鞍部辺りからは、朝の光に照らされた大普賢の雄姿がのぞき、期待感が高まってくる。


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新しい雪が降ったのか、薄いながらも柔らかな白いトレールが気持ち良く、今日も森が輝き出す。


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氷柱の懸かった壁を見て指弾ノ窟、朝日窟を過ぎ、前方の巨大な壁に向かって登って行く。


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指弾ノ窟

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そして笙ノ窟に到着、だいぶ細くなってしまっているのだろうが、無数の氷柱と氷の芸術が独特で見事だ。


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笙ノ窟


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大岩壁沿いにさらに進むと鷲ノ窟。


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鷲ノ窟、役行者と前鬼、後鬼


そして、氷と雪の混じった急なルートを慎重に登ると日本岳の鞍部、一息つけるよい所だ。


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ここからアイゼンを付けて石ノ鼻を目指す。梯子の懸かった急登だが、日当たりのよい所は雪が溶けてしまっていて、アイゼンを引っかけないように通過。


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石の鼻の岩にヒョイっと登ると素晴らしい展望が広がる。湧き出した雲に包まれる日本岳、吸い込まれていきそうな水太谷、反対には小普賢とその向こうに目指す大普賢が聳え立つ。


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岩場に梯子の付けられた急登をこなし、いよいよ小普賢岳のトラバース。ピッケルを突き刺し、慎重に一歩一歩進でいく。古い雪に新しい雪が乗った斜面は、ズルズルと崩れ安定しない。「ピッケルをもっとしっかり刺せ」「アイゼンをもっと蹴り込め」と前を行く嫁さんに大声を張り上げる。落ちれば地獄谷まで真っ逆さまだ。


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小普賢の肩に達し、木々の間から覗くと大普賢も近い。


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小普賢の肩、何故か壊れたワカンが・・・


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しかし、ここから鞍部に向かって急降下、岩に氷と雪の乗ったルートを降っていく。そして、急峻な岩場のルートを一気に登り返す。


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急なルートを慎重に下降


この辺りから必死で記憶が定かではないが、細尾根に付けられた桟橋や岩を巻く階段、雪に埋もれたり現れたりする鎖や梯子を慎重に慎重を重ね登っていく。アイゼンを引っかけたり、つまずいたりは絶対に許されない。


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ピッケルはもちろん空いた手も突き刺して必死で登る


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九十九折りに踏み跡の付いた急斜面を登ると傾斜が緩み、少しで奥駈道に出た。


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ここからはもう安心、気がつけば、雲一つない青空が広がっていて、喜びいっぱいで最後の尾根筋を登っていく。


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青空の下、最高の気分


山頂は貸し切り状態、この冬に頑張った弥山、八経や稲村を眺め、「やったな!」「やったね!」、と静かに感動を分かち合った。


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稲村方面


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弥山、八経から続く稜線


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しかし、危険なのは下山だ。さすがに嫁さんを先に行かせる訳にはいかないので、私からゆっくりと降りていく。


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いやがおうにも切れ落ちた谷間が見え、その感覚はなんとも心地悪い。転んで少し滑っていくと、その先の絶壁から跳び出して遥か下まで落ちていくだろう。嫁さんに「無理と思ったら絶対動くな、いつでもロープを張るからな。」と声をかける。梯子はもちろん後ろ向きになって降りるが、斜面に付いている梯子に乗り込みながら向きを変えるのも一苦労、着地はさらに難しい。アイゼンを蹴り込んで足場を作り、下から支えてたりしての下降が続く。もちろん、写真を撮る余裕は全くない。


それでも継続すると事は進み、やがて笙ノ窟に到達。そして、アイゼンを外し、カップ麺で腹ごしらえ。暖かい日差しが降り注ぎ、時折落下して弾ける氷柱が、もう春が近いことを感じさせた。


ピッケルという山道具は、なんとも微妙で難しい。石ノ鼻から上は、ほとんど使用する状態だったが、そんな中で軽量ピッケル(CAMP CORSA NANOTECH)では、たびたび力不足を感じた。特に凍った斜面を叩いたり(下降時にフラットな足場を作る)打ち込んだりがうまくいかない。嫁さんは、CAMP CORSAが持ちにくく使いにくいとBlack Diamond RAVEN PRO(これも軽量ピッケルだがピックやブレードは、かなりしっかりしている。)に変えたが、試しにこれでやってみると、その破壊力の違いにびっくり。やはりもっとしっかりしたピッケルが必要かもしれない。


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冬の大普賢、その厳しい山の頂は、釈迦の時と違い歓喜の登頂ではなかった。しかし、初心者の戯言かもしれないが、深く静かな喜びともっと大きい何かを掴んだように感じる。


それは、達成感の中にあるものかもしれないし、さらなる冒険のはじまりかもしれない。「Never Stop Exploring」、この素敵なTHE NORTH FACEのキャッチフレーズが好きだ。これからも安全でときめくような山旅を続けたい・・・



撮影機材

Panasonic Lumix DMC-GF1
Panasonic G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.