2008年6月1日

奈良県 下北山村 北山川 摺子谷

 

PENTAX K20D  smc PENTAX DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDM 

 

摺子谷、左俣に200m、右俣にも120mの大滝を懸けるという。水量が期待できるこの時期を狙い出撃したが、迎えてくれたのは大滝ではなく試練だった。

 


R169小口橋のところから林道に入り、ボート降場の少し手前に駐車、今日はいつもより早く7時30分に出発。林道を少し歩き、摺子橋のところから左岸の踏み跡を辿っていく。落ち葉でやたらに滑るし蒸し暑いしで調子が出ないが、どんどん進んでいくと完全にルートを見失ってしまう。

 

斜面を登ったり降りたりして、踏み跡を探し回るが見つからない。しかたがないので谷に降りて沢沿いを行こうと思い、斜面を降って谷底に着いた。谷沿いを進んでいくと、左岸に一本の長い斜滝となって谷が合わさっている。直進する谷はガレガレの岩で埋った急傾斜の涸れ谷だ。

 

本谷と思われる右の滝の上に出ようと、急傾斜のガレガレを登り斜面を際どくトラバースして、水音に引き寄せられるように落ち口付近に行くが、斜滝上にも15m程の滝があり、休憩がてら軽く撮影。この滝を右岸から高巻いて越えると、また20m程の滝が懸かっている。この滝の巻きは一寸厳しく、岩や木を掴んで大きく巻いていく。ふとふり返ると、正面やや左に左俣大滝と思われる大瀑が見え素晴らしい眺めだ。

 

高巻きにかなり疲れたが、大滝を目指して小滝やチョックストーンを越えどんどん進んでいく。しかし、大滝が現れるどころか水が涸れてきて、これはどう見ても源流だ。しまった、ルートを誤ったようだ。遥か下の直進する涸谷が正しいのか。

 

気を取り直し、降りれそうな谷筋を探して何とか最初のガレガレ付近まで戻る。ガレガレをもう少し登ると水が現れた。やはりこっちが正解かと、いくつもの滝を越えながら進んで行く、時間も過ぎ、焦る気持ちから何も考えずに必死の思いで登って行くが、さっきと同じように水が涸れ、稜線に達した。

 

ようやく本流ではなく支流を登っていたことに気付くが、どうしようもない。とにかく本流に降りようと、ルートを探してまたまた降っていく。どこをどう降りたのか分からないが、最初の斜滝らしき滝を左に見て、さらに降っていくと明るく開けた谷が見えてきた。本谷に違いない

 

枝沢から枝沢へ、いったい何処をうろついていたのかも分からないが、時間はもう2時になっている。ザックの中の食料にも手を付けず、谷の水だけ大量に飲んだ。高巻きや降下を繰り返し、体力的にも限界に近い。しかしこの明るい谷は水量も多く、位置関係からみても本谷に違いない、ここを行けば大滝は直ぐのはずだ。

 

PENTAX K20D  smc PENTAX DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDM 

 

この谷を少し遡行すると右岸の高い岩壁を割ってV字溝の中に落ちる独特の型をした滝が登場、ガイドブックによると右俣大滝の手前にも水量が少ないながらも大きな滝があると書いてある。この滝がそうに違いないと期待に胸を膨らませ、さらに進んでいく。しかし、10mの滝が行く手を塞ぐ、これを登ったら絶対降りれないかもと考えるが、大滝迄行けば巻き道で帰れるはずと登って行くと、また滝があり、もうやけくそで登って行く。

 

PENTAX K20D  smc PENTAX DA★16-50mmF2.8ED AL[IF]SDM 

 

結局、最後迄大滝が現れることは無かった。全身が脱力感に満たされていく。しかし、帰らねばならないので、ルートを考え降りれそうもないところを何とか降りていく。何処まで行っても先が見えてこないので、この時点でヘッドランプでの帰還を覚悟し少し休憩する。甘い物が食べたいと思い、菓子パンがあるのを思い出して、初めて食べ物を口にした。

 

午後6時30分、少し広い河原に到着した。本流と思われる流れは、左に曲がって奥に続いている。道を見つけたので、それを辿るとまた河原に戻ったが、石で固められた明瞭な道が谷沿いに続いているので、そのまま行き、堰堤を越え、あっという間に摺子橋に戻った。摺子橋からの少しの林道歩きが途方もなく長く感じる。途中でふり返ると薄暗い中に左俣大滝の白布がはっきりと見える。

 

午後7時15分、何とか何とか車に到着した。試練の一日だったが、名も無い多くの滝と出合った。その中でも、あのどこか分からない枝沢のV字溝に落ちる滝は秘瀑中の秘瀑かもしれない。