2012年5月5日
銚子川 二ノ俣谷




あぁ〜、16時間・・・


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ゴールデンウィーク後半は、ひこさんと前から温めていたことをやってしまおうと相談していた。距離があるので、一泊で行くつもりだったが、天気の回復が遅く、出発予定の4日も天気が悪そう。そんな訳で、雨の後で絶好の天気になりそうな5日に日帰りで突貫しようということになった。

今回は、なが〜いこと山に入ってない嫁さんは、「がんばるわ〜」とやる気満々。私とひこさんは、ようやくこの日が来たかと、気合い十分。そこへ、もとなかさんも予定を変更して来てくれた。

林道は、発電所を過ぎると、けっこう荒れていて、清五郎橋まで車で入れないかもと心配したが、慎重に走ってなんとか到着。それでも、ここから長い林道歩きが待っている。

予定より少し遅くなってしまった5時20分、とりあえずスタート。



小谷小屋谷は、勢いよく水が流れ、辺りに爆音を轟かせている。今日は、清五郎も凄いことになってそうだ。

深く切れ込んだ谷を見下ろして滝を探したり、支流から落ちてくる綺麗な滝を見たりしながら林道をトボトボと歩いて行く。



そして、一時間程で期待の「集合解散場所」に到着。昔の山仕事の起点だったのか、どこから集合して、どこへ解散していったのだろうか、赤い立派な灰皿が健在で、私とひこさんは、いっぷくさせてもらったのは言うまでもない。



さらに進むと支流から見事な滝が落ちていて、ちょうど日が当たりキラキラとしているのが奥に見える。この滝だけでも十分な素晴らしさに思えるが、先を急がねばならないので近づくのは、断念。



そしてそして、前方遙かに遠く黒滝の登場。



立ち塞がる壁を落ちる巨大な白が、あんなに遠いのに迫力満点。その姿を見て、男三人何を想うのか。



今も残る営林小屋も楽しみだったところ、中に興味を示す者、示さない者とその行動の違いが面白い。





小屋を過ぎると川床が近付き、降りるかどうか迷ったが、奥へ伸びる林道をそのまま歩いていく。支流を渡る広い河原でひと休み。素晴らしい天気と眩い新緑に最高の気分。(7時30分)



この後、林道が高く離れていくので、どうしようかと思案。何時ものようにもとなかさんが、「見てきます」と、まだ続く林道を走って探索に行ってくれる。少しして戻ってくると、林道を奥へ行っても谷へは降りにくく、この先のガレなら大丈夫とのことで、そこを慎重に降って、二ノ俣谷に降り立った。(8時30分)



流れる水の美しさは言うまでもなく、光を受けて輝き躍動する様を見ていると、何故か感慨深く、久しぶりに出会ったような気がしてくる。岩がゴロゴロしているが、傾斜が緩く難所もないしで、しばらくは快調な歩み。







谷中からも黒滝が見えてくるが、それは、まだまだ遠く高い。よく見ると上にも斜めに滑り落ちる滝が続いていて、合わせるとさらに大きな滝なのが分かる。





どこからか湧き水が流入しているのか青みがかった水がますます美しく、気持ちの良い遡行が続く。でも、高いところに悠然と落ちる白布は、なかなか近付いてこない。











大きな支流が右から入るのを見送ると、谷が急傾斜になってきて、なにかありそうな雰囲気。





そして、ついに吹き出す滝に行く手を遮られてしまう。(10時30分)



両岸とも垂壁に近い壁で、巻くという選択肢はありえない。例によって、もとなかさんが、右へ左へと濡れながら抜け道を探してくれるが、どこも簡単ではなさそう。



滝のカーテンをズブ濡れになって潜れば、上部に出口があるかもしれないが、それも全くの賭けになってしまうし、滝に突入していくところが、やや悪そうで、滑り落ちると終わってしまう。行くか行くまいか、考えているだけで、どんどん時間が過ぎていく。

どうやら、突破口は左の壁際しかなさそうで、上部に岩が詰まってハングしているが、ひこさんなら大丈夫だろうと登ってもらう。ところが、途中から動きが止まって、次の一歩がどうしても出ない感じ。支点を1カ所かけただけで降りてきた。私も少し取り付いてみたが、ここの岩、白っぽいカビのようなものに覆われていて、全くグリップせずに滑りまくる。もとなかさんも直上ルートに活路を求めるが、やっぱりダメ。ああ〜、ここで終わってしまうのか。

何か方法がないものかと上を見ながら考えていると、詰まった岩の後ろに僅かに隙間が見える。落ちていた木の枝にロープを結び、その穴に祈るような気持ちで通していく。しかし、結び目が邪魔になってうまく通らない。そこに、何故か輪ゴムが登場し、それで固定したロープは、なんとか穴をすり抜け反対側に現れた。

もとなかさんが、良い考えがありますと、岩を通したロープと最初に作った支点から伸びたロープの両方をハーネスに結び、空身で登っていく。両サイドからずり落ちないようにビレイというより下から引っ張りながら登るという感じだ。



そして、なんとか被さった岩を越えて上に抜けていってくれた。



次は、嫁さんの番、上から固定したロープにぶら下がり、タイブロックをジリジリとズリ上げて、最後は、もとなかさんにお助けスリングを出してもらって突破。

私もロープを頼りに登り出すが、最近太り過ぎで体がとても重く感じるし、さっきからトライしていた腕がパンプしていてかなり苦しい。途中で大休憩し、力を振り絞ってなんとか越えたという感じ。

最後のひこさんは、大木に確保器をセットして上からのビレイで登ってもらう。



ようやく全員が登りきったが、ここを越えるだけで、2時間以上かかってしまった。遅くとも午前中には滝下に達したかったが、しかたがない。(12時40分)

さあ行こう。両岸立った逃げ場のない谷は、さらに急傾斜となり、まだ見えぬ巨大な壁へと突き上がっていく。









さっきまでは、濡れるのを気にしていたが、もう溢れる水の中に突入して行くしかない。













そして、左上方に大きな大きな白い流れが見えてきて、歓喜の瞬間が訪れる。



13時15分、ついに巨大な滝の下に立った。太陽光が透過した滝は、黒滝というより、光滝と呼ぶのが相応しいように輝いている。光と風と飛沫が交差し、水煙が千変万化に変化、どこへともなく拡散していく。

その荒々しく凄まじい姿に、ただただ、それを見上げるしかなかった。





我に返って撮影を開始するが、容赦なく舞い散る飛沫に、レンズを拭いて直ぐにシャッターを切っても、ツブツブ写真の連続で嬉しい悲鳴。



右俣にも大きな滝がかかり、黒滝の左に回り込めば、これまた素晴らしい絶景を拝むことができる。

黒滝は男滝。共に落ちる右俣の滝は、女滝と呼ばれる。男滝の「男」が、いつの間にか間違って「黒」に変わったのか、真相については、分からない。









気がつけば、もう15時になろうとしていて、名残惜しいが帰る時が来たようだ。

水が少ないとどうってことないのだろうが、足場が見えにくく、もろく剥がれやすい岩に慎重なクライムダウンが続く。



例のポイントは、もちろん空中懸垂。もとなかさんが、エイト環を上に伸ばして、バックアップをとったセットで降りていく。ところが、体が宙に出た瞬間にエイト環とロープが岩に接触してしまい、どうにも動きにくそう。

それを見ていた私は、注意して降りていくが、やはり同じ状態になってしまい宙ぶらりん。なんとか体を持ち上げ、テンションを抜いてエイト環を下に送って無事着地。「また課題が増えましね。」と研究熱心なもとなかさん。

詰まった岩を見上げると、よくぞ越えることができたという感じ。





安全地帯まで降りてきて、ホッとした嫁さんは、黒滝をバックにキンゴさんポーズをとって満面の笑み。



林道からの下降点に着いたのは、写真がないので正確な時間は分からないが、18時30分頃だったか。もう慌てても仕方がないので、大休憩。ガレガレを登り返して、後は暗くなった林道を歩いて行くだけだが、これがまた長い。21時を少し過ぎた頃、清五郎橋に到着し、黒滝への突貫が終わった。

中ノ滝、西ノ滝の素晴らしさは、多くの人が認めるところだろう。それに対して黒滝は殆ど無視されていて、その存在すら知る人は少ないかもしれない。しかし、その姿は、中、西に勝るとも劣らない素晴らしいものだった。

情報が殆どなく、行けるかどうかも全く分からなかったが、到達することができたのは、何よりの喜び。それは、彼らの力なくしては、とうてい無理だったように思う。柔軟な身体能力で、いつも嫌な顔せずにトップを行ってくれるひこさん。もとなかさんは、溢れる体力を源にルート探索から突破、そして周りへの気遣いまで、真にリーダーと呼ぶに相応しい。今回は、嫁さんのサポートでも大変お世話になりました。

生活環境が変わってしまい、これまでよりは機会が減ってしまうかもしれないが、また共に滝に挑んでいきたい。

ひこさん、もとなかさん、どうもありがとうございました。



撮影機材

Panasonic Lumix DMC-GH2
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH/POWER O.I.S.
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6

Panasonic Lumix DMC-FT2
Panasonic Lumix DMC-FT3