2008年2月3日
RICOH Caplio GX100
カメラや写真に興味のない人や写真に興味があってもデジタル世代の人には、全くなじみの無い物かもしれない。しかし、その小さなフイルム上に写しとめられた世界には、見た者だけが知る驚異の小宇宙が広がっている。
初めてリバーサルフィルムにルーペを置き、そっと覗いた時の感動は、今も忘れることが出来ない。
昔、写真集や写真雑誌をを見ていると、そこには何とも色鮮やかでコントラストの高いクッキリとした写真が良く掲載されていた。そのような写真を目指し、せっせと写しては同時プリントに出し、その度に落胆した。
店の焼き加減で上がりが全く違うことを知り、同じ写真を何軒にも出したりもした。
しかし、写真集等の写真とはそのタッチが全く違い、どうやっても満足が出来なかった。
当時、プロカメラマンやアマチュアでも凝った人に流行っていたのが、RVPと呼ばれるフジクロームのベルビアだった。
これを使えば、綺麗な上がりを得られるかもと思うが、露出が難しいだのなんだのと書いてあり、写真雑誌でも露出の記事が毎号のように載っていた。
たしかに実際に使ってみると、ネガみたいにはいかないが、決して難しいことはなく、何よりその素晴らしい上がりに打ちのめされ、多少の手間や難しさは全く問題にならなかったと思う。これ以降、ネガフィルムを使うことは全くなくなり、その深い世界にどんどん引き込まれていった。
リバーサルフィルムの中でも使うのはベルビアばかりで、本当にお世話になった。
ポートレイトから風景まで、何時でも何処でも何でもベルビアで撮りまくった。
ベルビアのおかげで、露出やピント等すごく勉強になったし、カメラや写真の理解がかなり深まったと思う。
RICOH Caplio GX100
そしてデジタル時代、デジタルで撮られた写真が掲載された雑誌等を見ても何か違和感があり、ずっとその世界に足を踏み入れずにきた。
しかし、今私はデジタルの世界にどっぷりと浸かっている。まだデジタル歴は1年未満だが、多くのことを学んだと思う。
カメラが吐き出すJPEGではとても満足出来ないので、Raw現像に拘り、その現像ソフトにも拘っている。
そしてベルビアとデジタルを何度も何度も比較し、今後はデジタルでいくことを決めた。
一部のプロが扱う上では、まだデジタルはリバーサルを越えれないと思う。
しかし、高画質なドラムスキャナ等が普通には使えないアマチュアが扱える範囲では、デジタルに分があるのではないか。
RICOH Caplio GX100
一昔前は、鮮やかな記憶色とクッキリ感の強いベルビアがもてはやされたが、デジタル時代の今は、どうも逆方向が流行りのようだ。
私は、いまだに鮮やかでクッキリとした写真が好きで、Raw現像時にどうしてもベルビアをベースに考えてしまう。
ベルビア、この素晴らしいフィルムのことを決して忘れることはないと思う。