2008年10月25日

奈良県 上北山村 東の川 シオカラ谷 

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

絶景…

 

 

大台ケ原ドライブウェイに入ってしばらくすると一面の霧に覆われてきた。直前しか見えないのでとろとろ走りだ。今日は、自宅を1時30分に出て、久しぶりの真夜中のドライブ、駐車場が一杯になるらしいので早く出てきたが、さすがに車は一台も走っていない。濡れた落ち葉の積もる道をどんどん上って行くと、やがて霧が晴れてきて駐車場に到着。多くの車が停まっているが、みんな寝てるのか非常に静かだ。空いている場所に停めて外に出ると空には星が輝き、いやがうえにも期待感が高まってくる。でも、かなり寒いので車に入ってシュラフをかぶった。

 

気がつくと、もう明るくなっていて、なんやかんやで7時30分のスタート、絶好の天気と思っていたが、何故か曇っていてちょっと冴えない感じ。冷たい空気の中、シオカラ谷に向け遊歩道を降って行く。

 

PENTAX Optio W60

 

PENTAX Optio W60

吊り橋から

 

西大台方面の色づいた山肌を見ながら進んでいくと、遠くに大きな滝の吹き出しが見える。中の滝だろうか。シオカラ谷の吊り橋のところからそのまま左岸沿いを行くと東の滝の落ち口、美しい紅葉がシオカラ谷を下っていくのが見える。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

ここから先が迷いやすいらしいが、デジマンさんのレポを参考に斜め上、斜め上と唱えながら進んでいくと、うまく滝見尾根に乗ったようだ。廃道とは思えない良い道をどんどん降って行くと、中の滝が木々の間に見えてくる。やがて滝見台と呼ばれる大きな岩の上に到着、中の滝245m、西の滝150m、二本の長大な白布が、大きな大きな景観を作り出している。千石ぐらから続く大岩壁の紅葉も誠に素晴らしい。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

撮影を済ませ、さあ出発と思ったら少し青空が覗いてきた。慌ててカメラを再セットするも、写そうと思ったら曇ってくる。なんとか雲の切れ目の青空をカメラに収めたが、えらく時間をくってしまった。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

 

ここから先の道にはびっくり、明瞭に続いているが物凄い急勾配で、歩くというより落ちていく感じだ。大量に茂る笹藪を掴んで、ずり落ちながら西の滝直下に立った。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

 

いやいや物凄いスケールだ。「関西随一」とか「日本中探しても無い風景」とか賛辞にことかかないこの場所は、まさに絶景中の絶景。大迫力の西の滝、下部しか見えないが、これまた大迫力の中の滝、大岩壁とそれを彩る紅葉、大きなV字溝の底に別世界が広がっている。ここでも天候に翻弄され、うまく撮影できずに時間ばかりが過ぎてしまう。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL II

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

中の滝前へ右の滝を直上し、大岩を越えて近付いていく。さらにシオカラ谷を遡行すべく登って行くと水が無い。しまった、シオカラ谷はもう一本南だ。中の滝前から続いていると大きな勘違いをしていた。尾根を越えようかと登ってシオカラ谷を見るが、やはり危険なので戻って回り込み、シオカラ谷に入っていった。

 

PENTAX Optio W60

 

PENTAX Optio W60

 

シオカラ谷は、ちょっとした家程もあろうかという大岩が堆積している。右か左か真ん中か、単独ではルートを見つけるだけでも時間がかかる。また、結構水量が多く、何度も進めそうにない岩に阻まれる。ホールドを探して何とか登って行くが、水流の中しか弱点がないところも多く、途中から全身ずぶ濡れになってしまう。

 

PENTAX Optio W60

遡ってきたシオカラ谷

 

PENTAX Optio W60

紅葉と千石ぐら

 

豪快で大きなスケールの谷は、やがて前方に300mはあろうかという千石ぐらの大岩壁、ここでも紅葉が見事で美しい。この大岩壁を登るクライマーがいるというから驚きだ。千石ぐらを過ぎたころから谷は狭く薄暗くなってきた。

 

PENTAX Optio W60

高倉滝

 

さらに滝や岩を越えていくと高倉滝が登場、事前の予習で左岸から巻くとなっていたのでルートを探すが、よく分からない。右岸は立っているように見えたが、もう一度近付くと何とかなりそう。そのまま登り出すと、これが容易な登りで簡単に滝上にでた。

 

秋の日は短い、急いで東の滝を目指す。遠目に見えてきた岩を割って落ちる東の滝の姿は、なかなかの迫力、前衛の滝を攀じ登り、もう日の落ちる頃ようやく東の滝直下に達した。

 

PENTAX K20D smc PENTAX DA12-24mmF4ED AL[IF]

 

さあ、最後の東の滝の巻きが待っている。谷を少し戻って斜面に取りつく頃には、完全に暗くなってしまった。滑りやすい水の滴る岩盤をヘッドライトを頼りに慎重に登って行く。もっと容易なルートがあるかもしれないが、暗くてよく見えないので右のハング状の部分を際どく乗り越えて上に達した。最後のナメはもちろんパス、道を辿って吊り橋へ戻り一安心。

 

真っ暗な中、たった一人の大休憩。腹が減ったが、途中で食料を全て流されてしまい何も無い。濡れた体が冷えてきたので遊歩道を駐車場に向けとぼとぼと歩き出す。途中ザザッ、ザザザーと音がするのでヘッドライトで照らすと、暗闇に浮かぶ多くの目、「ガオー」と威嚇するが、微動だにぜずこっちを見ている。どうも鹿の群れに囲まれているようだ。しかし、その光る目は宇宙人にしか見えなく不気味極まりない。

 

駐車場に戻ると、ささやかな宴会中の人達がいて、ヘッドライトを点けて暗闇から現れた私の姿にちょっと驚いているようだった。

13 コメント

  1. ヒロ

    東の川は20年以上前に下流から遡ったことがありますが、巨岩の連続で一向に前進できず撤退した苦い経験があります。当時は沢登りでも撮影でもなく、アマゴ釣りが目的だったので沢装備もありませんでしたしね。
    谷底から見上げる岩峰の不思議なカタチ、驚くほど広い川幅、今でも印象に残っています。
    どのお写真も色鮮やか、そして大迫力ですね!
    上流部はこんな感じだったのですね。まるで錦のような美しい山肌に白い滝の飛沫が美しいですね。
    相変わらず精力的に撮影に行かれているご様子、敬服いたしております。私の今シーズンの沢は終了しました。これからは花粉症との闘いです。来年、花粉症の症状が治まった頃、また沢のシーズン開始です。

  2. パンダ

    ヒロさん
    今日も一人寂しくちょこっと行ってきました。
    以前から渓流釣にも挑戦したいと思っていますが、まだ未経験です。
    シオカラ谷に入るまでの東の川本流は、巨岩がさらにすごくて大変なところのようですね。
    大台ケ原のクラを割って流れるこの辺りは、思った以上にスケールがでかそうです。
    花粉症ですが、ご存知とは思いますが、症状のでる前から治療を始めると少しは楽に過せるそうです。

  3. K2

    こんにちは。
    大台の圧倒的なスケールと絶景が写真から伝わってきます。紅葉のピークは今週、来週頃ですかね。源流釣りにも興味がおありのようですが、パンダさんのいつものルートですと、釣りをプラスすると、ほぼ山中泊になりますよ。ちなみに、大台の深部・東の川、逆川他、坂本ダムに流れ込む北側の川は支流も含め、全て永年禁漁区です。坂本ダム側からのアプローチは非常に厳しいので、天然の要塞になっていますが、大台ドライブ・ウェイからだと容易に入れるので、密漁が絶えないと聞きます。写真のような素晴らしい風景とそこに住まう在来の生き物たち、できる限り、そのまま未来に残したいですね。しかし、鹿の異常繁殖は植物生態系の破壊で大台を荒野化している元凶で、深刻な問題のようでうね。

  4. パンダ

    K2さん
    そうなんですよね。この上、釣り道具まで持っていくと大変なのと時間的な問題も多く実現にいたっていません。
    それと大台の深部は永年禁漁区でしたか。知らずに密漁していたなんて許されないので、きちんと調べる必要ありですね。ちょこちょこ、人のあまり入らない奥地では、「簡単に釣れる可能性あり」というような事を言われるので、多くは望みませんが、ビバーク時のささやかな1品になればと考えてしまいます。
    帰りに囲まれた鹿の群れは、数十頭はいる感じでした。昼間は賑わう遊歩道沿いです。異常繁殖や立枯れ等も人間のせいという説もあり、難しい問題ですね。

  5. Sakai

    トップページの写真更新ですか
    大岩壁から二筋の滝がすごいですね。
    紅葉だからまさに絶景。

    パンダさんの写真を見ると
    近畿の山もアルプスと負けず劣らないんだと!
    高いだけが山じゃないですね。

  6. パンダ

    Sakai さん
    245mの中の滝や大台ケ原を形成している300mのクラを登るルートがあります。
    千石グラのサンダーボルト、サマーコレクション等で検索するといろいろでてきます。痺れますよ〜

  7. デジマン

    バンダさん お疲れ様でした。
    シオカラ谷遡行とは、相変らず凄いコースの滝めぐりで驚きですね。
    中ノ滝と西ノ滝を下から見上げる風景は別世界の様だったと思います。
    今年は紅葉も出来が良いし、水量も多めだし素晴らしい写真が撮れましたね。
    私の方は、しんどい滝めぐりはちょっと引いてしまっている現状です。(笑)

  8. パンダ

    デジマンさん
    御船の滝でご一緒した時に、デジマンさんの「西の滝、中の滝直下は想像を絶する特別の風景」というような言葉を聞いて以来、秋には必ず行くと決めていました。思った以上の水量と紅葉に恵まれ良い滝行ができたと思います。
    滝見尾根へのルートもデジマンさんのレポのおかげで、迷わずうまく行けました。どうもありがとうございました。

  9. しゃけ

    本当に絶景ですね!私は滝見屋根
    より先には進めませんでした。

  10. パンダ

    しゃけさん

    滝見尾根の遠望点より下は、最後の方以外は明瞭ですが、かなりの急角度で降っていきます。
    一般的には、とてもお勧めできないです。
    ただ、一度は見ておきたい良い眺めなのは間違いないところで、難しいですね。

  11. しゃけ

    う~ん、行ってみたいですけど、私には
    滝見屋根より先はちょっとムリそうですね。

  12. 臆崖道

    この記事の最後の部分を、もっとしっかり読むべきでした。
    東の滝の巻きを、ルート100の遡行図にあるように4m滝上の釜の右上に残置が見えたので、ここから登れば鎖とかが出てくるんやろうなぁ~と、安直に登って→登攀→ビレイ必要→涙目→氏ぬ一歩手前。

    私ってなんでこんなにダメダメなんだろう・・・

  13. パンダ

    臆崖道さん

    いえいえ、滝から出来るだけ近いルートをとるのが沢屋の真髄でしょう。
    なんにせよ無事に戻られて何よりですし、素晴らしい絶景を楽しまれたことでしょう。

    でもでも、東の滝の巻きは、実のところ右岸が楽らしいです。

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