2013年6月22日
宮川 大杉谷 西谷 粟谷



秘瀑中の秘瀑・・・


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大台ヶ原の駐車場で車から降りると、思ったより寒い、いや凄く寒い。先ずは、日出ヶ岳へと歩いて行くが、ひこさんも私もジャケットのフードまで被っている状態。



堂倉避難小屋から林道に降り立ち、さあどうするか。予定では、堂倉滝を見た後、西谷を泳ぎを交えて遡行。そして、下から正攻法で粟滝を目指すつもりだったが、泳ぐどころか水に浸かるのさえ躊躇われる感じ。

ひこさんと相談して、上から下降してみようと、当たりをつけた尾根に入って行く。すると、何やら踏み跡があり、その先には朽ちた展望台があった。



ここからは、急斜面と藪との戦い。真っ直ぐ降りたいところだが、粟谷寄りの西へ西へと追いやられてしまう。やがて大きな水音と共に粟谷を見下ろせるところに出ると、ゴルジュの中を滑り落ちる大きな滝が見えてきて凄い眺め。



あの下へ降りられたらと、右へ左へと弱点を繋いで巻き降って行く。うまく川床に降り立つと、そこは大きな壁の上で大きな滝の落口。どうやら目指す粟滝の落口のようだ。流れてきた水が大きくジャンプしていき、なかなかの高度感と格好良さ。



上を見ると、狭まる壁が高く伸び、その狭い中を白泡が躍動していて、ここがゴルジュの中であることを思わせる。



大滝に近付いてみると、あまりの凄さに口あんぐり。狭い壁の中を複雑に落ちてきた水が下部で広がり、大きく美しい壺へと滑り込んでいく。



写真では、どうしても奥の滝が小さくなってしまい迫力に欠けるかもしれないが、実際に見る凄まじさは、そこへ入って行くことなど到底できないと思わせる。





粟滝下へもうまく巻き降ることに成功。下から落口を見ると、さっきまであそこに居たのかと感慨深い。





粟滝も凄い迫力で、たちまち全身びしょ濡れ。流身を捻らせるように向きを変え、大きく水を解き放っていく。迫力と優美さを兼ね備えてた独特の姿が、とても見事。







こんな素晴らしい滝が人知れず落ちているとは、台高恐るべし。粟谷という峻険な渓にかかる滝が、何時までも何時までも輝いていた。











帰りは、藪を避けようと、ルートを変えて林道へと真っ直ぐに登り返したが、途中から垂壁に近い壁で、大失敗。手がかり足がかりがあって登ることができたが、ヘロヘロになって林道へと戻った。

閉まっている粟谷小屋で水をがぶ飲みして、一時間近くダラダラと休憩。さあ帰ろう。まだまだ辛い登り返しが待っている。



ゴルジュにかかる大滝は、川崎実さんが、「秘瀑中の秘瀑」と讃えた大滝。粟滝の秘瀑性も群を抜いている。そんな珠玉の滝との出会いが、とても印象的な一日になった。

ひこさん、どうもありがとうございました。



撮影機材

Panasonic Lumix DMC-GH3
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH/POWER O.I.S.
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6

Panasonic Lumix DMC-FT4

4 コメント

  1. “すぎちゃん”

    西谷の上流にこんな凄い滝が掛かっているとは流石は大高って感じです。
    更にそこへ降り立つパンダさん達は何者?
    滝に賭ける情熱としか言いようがないと思います。

    遠くへ行かれても紀伊半島にしか存在しない美しさの虜ってことでしょう!

  2. パンダ

    すぎちゃんさん

    前から狙ってたんですが、ようやく行くことが出来ました。
    そして、期待以上の滝の登場にびっくりでした。やはり、この地は特別ですね。

  3. 臆崖道

    大変失礼なコメントですが、今年でいちばん感動した絵たちでした。
    樋上さんのホンの遡行図(西ノ谷)を見ますと、堂倉谷出合から淵を2つばかり越えたところに粟谷出合があり、その上部に屈曲した谷形と粟滝が書かれていますが、粟滝のすぐ下が西ノ谷というわけではないのですよね。
    もしそうなら、帰路は堂倉吊橋から戻りそうなもので。

  4. パンダ

    臆崖道さん

    ありがとうございます。実際に素晴らしい滝なんですが、写真ですら殆ど見ることができなかったのもありますからね。

    粟滝の位置は、地形図の滝記号付近でほぼ間違いないと思われます。実際に谷を見下ろしても地形図上でも、滝下はかなり急峻です。秘瀑では、「巨岩帯を喘ぎ登る」とあります。
    下から行くのが正攻法と思いますが、距離的には上からの方がずっと近いので、どっちか楽かは何とも微妙なところです。当日もひこさんと谷を見下ろして「下から来てても相当大変やったやろなあ」と話していました。

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