2013年7月20日
木曽川 柿其川



敗退の川・・・


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暑いので泳ぎに行こうと、はんぺんさんとゆかちゃんを誘って柿其川へ。観光渓で霧ヶ滝までなら半日仕事と安直な考え。

待ち合わせ場所の道の駅賤母で車から出ると、暑いどころか寒い。移動して柿其川沿いの駐車地に着くと、当然ながらさらに寒い。気温が上がるのを期待して、だらだらと用意。かな〜り時間を潰してから入渓。

車の直ぐ横が川なんで楽々だが、テンションは上がらない。(8時52分)



やはり寒くて水が冷たいが、いきなりの綺麗な川が素晴らしい。カエルも寒そうにしているように見えるが、気のせいかも。



前方に壁が見えてきて、できるだけ濡れないように進むと牛ヶ滝の登場。(9時8分)







おぉ〜っと、これは素晴らしい。自然感、岩壁を割って落ちる流身、美しい滝壺とどれをとっても申し分なく、何よりそこを流れゆく水の清らかさに目を奪われる。

こんなに素晴らしい滝だが、滝屋の間では非常に評価が低い。上からちょっと見ただけやからと言うが、滝前に行く対象にもならないということで、不当な評価と思わざるを得ない。





落口から炸裂する二つの流れは、はんぺんさんによれば、普通なら左の方を見ることができないが、今日は、立派に流れていて、かなり水量が多いらしい。







ゆっくりと楽しんだ後は、ここからの脱出。左岸のリッジを登って上に見える滝見台を目指すが、滝見台の足場が手前に張り出していて、ちょっと難儀した。

滝見台からは、上へと続く流れが見え、これまた凄い地形。かつては、左の流れが主流だったが、浸食により右下へと水路が変わり、水量の多い時だけ左上のラインにも水が流れるらしい。(10時27分)



左岸壁をトラバースして巻き進むと、うまく牛ヶ滝の落口辺りへと降りることができた。狭まる壁の間に水が吸い込まれていくのが見える。(10時48分)



上流側も明るく開けた素晴らしい渓相。もう泳がずには進めないが、動いていると、しだいに体も温まってくる。





何故か日が陰り太陽の力が弱くなってきて残念。それでも川が美しさを失うことは無く、水の力は、もちろん衰えない。前に進むだけでもなかなか大変。





















そして、いよいよ両岸立ってきて事の始まり。ちょうど、目の前の深渕に日が差してきて、色濃くなりながらもスコーンと抜けるような透明感は、美しさの極み。(11時58分)



さあ行くぞ、白泡立つ右岸の低いところへと泳ぐが、後少しのところで急に水流が強くなり泳ぎ着かない。一回、二回、三回・・・、何回やっても押し戻されてしまう。





最後の挑戦とザックを降ろして空身で泳いでも、あと僅かがやはり強い。かいてもかいても進まない急流を息も絶え絶え、なんとか泳ぎ切った。

ゆかちゃんをロープで引っ張る途中に写真を撮るからと止まってもらうと、まるで洗濯機に洗われているよう。



はんぺんさんは、水中メガネにシュノーケルまで用意して万全の体制。



左の岩を越えて滝落口へと下降するが、水量多くて流されるとやばい。ハーケンで支点工作して降りて行くが、軽いゆかちゃんは絶えきれずに足を取られて倒れ、またまた天然の洗濯機に洗われてしまう。慌てて降りて、はんぺんさんと二人でなんとか救出、事なきを得た。

なんやかんやとここを越えるだけで一時間もかかってしまった。(12時59分)



まだ淵が続くが、ここは問題なく通過。(13時7分)





しかし、次は、どうにも越えることが難しそうな滝が瀑水を踊らせていた。岩を飛んで左岸に渡り、右の低いところへとジリジリ進んで乗り上げていく。

一見、右から巻くことができそうだが、そこはクレバスのように深い落ち込みになっていて全く無理。おそらく大岩の左を回るように滝の流れの中を進むのだろうが、今日の水量では難しそう。

仕方が無いので、大岩を登って向こうへと降りるが、クレバスもどきが大きな口を開けていて、トラバース気味な下降が、とても恐ろしい。大岩の向こうの壁にハーケンを二枚打ってロープを張ってみたものの、落ちると振られるのは必至。達者なゆかちゃんもここで固まってしまって、どうにも動けない状態になってしまう。本当になんとかなんとか越えたという感じ。(13時59分)





先を見ると、美しい淵の向こうにまたまた瀑水を落とす滝が見える。ねじだるの始まりだろうか。う〜ん、どこから行くのか、まったく見当も付かない。右から近付き落口を越えるしかなさそうだが、それはさっき以上に無理そう。

それではと、滝左の大岩の向こうに突破口があるかもと泳いで行く。しかし、右岸の張り出した岩の向こうへ回ることができずに押し戻されてしまう。回れないなら登って越えるしか無いとトライするが、ボチャンと落ちてしまう。細いクラックにハーケンを打ち、それを手がかりにすると、なんとか岩に乗ることができ、上にもう一枚ハーケンを打ってロープをセット、下のハーケンを回収して向こう側へと降りた。



ゆかちゃんとはんぺんさんをロープで引っ張り全員集合。今度は、右岸壁と滝左の大岩との隙間へと活路を求めて泳いで行く。しかし、しかし、ここも滝となって落ちていて、手がかり足がかりがなく、いろいろと頑張ってみたが、登ることができない。二人のところへ戻り、もうどうしようもない感じ。

ふと、はんぺんさんが後ろを見て、ここからなら巻けるんではと言うので見てみると、際どそうだが何とか巻けそう。ロープを引っ張って登って行くと、しだいに壁が立ってくるが、慎重に慎重に体を上げて抜けた。

ロープをフィックスして巻きルートを探ると、どうやら滝上へ降りることができそう。戻って、ゆかちゃんとはんぺんさんにも登ってきてもらい、右岸上をトラバースで辿り、最後は懸垂で谷に戻った。(16時18分)



2時間以上の大格闘でようやく越えるが、事の始まりから距離的に殆ど進んでいない。半日でやっつけるつもりがえらいことになってしまった。そればかりか、目の前には、またまた白泡踊る滝がかかり、両岸は高く立ち塞がる。

突破は、右のスプーン状の岩に乗って落口を越えるのだろうか。しかし、もうそんなことをやっている場合ではない。なんとか越えることができそうに見える左岸から巻き登っていく。



すると、ねじだる核心部の滝を上から見下ろすところに出て、頑張って懸垂で降りられないことはなさそうだったが、巻いてしまおうと、さらに進んでいく。



大丈夫そうに思えたルートは、途中から壁壁壁になり、巻きも簡単ではない。協議の結果、ここからの脱出を最優先しようと、元へと戻ることに。

さっきの滝前まで降りて、悔しさ一杯で釜を泳いでから右岸を林道目指して登った。(17時42分)



まさかまさか、柿其川がこんなに厳しいとは思ってもみなかった。立ち塞がった壁はもちろん、こんなに強い水は経験したことが無い。その難しさは、あの立合川大滝を目指したゴルジュ突破が、超簡単に思えてしまう程だ。

それでも、この川は、全てが美しさに満ちている。前へ進むのを拒む壁は、磨き抜かれて輝き、流れ降る水は極上の美しさ。泳いでいてこれほど気持ちのいい川も少ないだろう。

とてもとても魅惑的な柿其川。リベンジを誓わずにはいられなかった。今度は、スプーンに乗るぞ・・・

はんぺんさん、ゆかさん、どうもありがとうございました。



撮影機材

Panasonic Lumix DMC-GH3
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH/POWER O.I.S.
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6

Panasonic Lumix DMC-FT4

4 コメント

  1. 臆崖道

    う~ん、サラリと書かれていますが、ものすごく高度なことをされていることが伝わってきます。
    なんちゃって、いやエセ沢屋の分際で、対等なコメントやメールなどを書いていた自分が恥ずかしくなってきました。

    そう言えば過去のプロフにはズブの素○なんて書かれていましたが、今や特捜最前線のナレーションみたいに“熱き心を強い石で包んだ滝屋たち”という表現がぴったりかもです。

  2. パンダ

    臆崖道さん

    いえいえ、やってることに特に変わりはないでしょう。
    ズブの素人という思いは、今でも変わりませんが、人があまり入らないところへ行くにあたり、安全面などなど、研究だけは怠らないようにしてます。

  3. はんぺん

    お世話になりました!
    次に再挑戦するならまた最初の水量の時ですかね(笑)
    今度は足ヒレも持って行きます!

  4. パンダ

    はんぺんさん

    なんか意味深ですが、水量の多い時に突破したいですね。
    あの手この手と名案を考えましょう。

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