2014年5月4-5日
熊野川 立間戸谷
大岩壁に囲まれて・・・
内鹿野の翌日は、立間戸。今日は、屏風滝と牛鬼滝を分ける二又手前までなので、10時過ぎ、ゆっくりと出発。
しばらくで、樹間に見えるのは、カラ滝か。
昨日のメンバーに、まいちゃんも加わって、総勢6人で賑やか。台風の影響か、高度を上げていく谷は、岩で埋め尽くされている。
巻き道を進んでいくと、崩壊した斜面が痛ましいが、その向こうに見える源助滝が、とても見事。以前は、源助の全貌は、木々に遮られて良く見えなかったように思う。
滝前は、広く平坦で、ここも様相が変わったのかもしれない。
右も左も、越えていくことを許さないような壁が立ち塞がり、その中を陽光を浴びた水が、豪快に放射する。
源助の上に高く延びる圧倒的な壁を再び見ると、まるで深く刻まれた立間戸を象徴しているよう。
穏やかな登山道は、しだいに谷に近付き、流れゆく水に目を奪われる。深い色気と透明度を併せ持った水が、何時もながらに美しい。
泊予定地のケヤキ平。テントを設営して、薪を集めて、後は、ゆっくり。
ではでは、屏風滝の下で仰け反りに行こうと、出発。
牛鬼滝の噴射に陽が当たるのが見え、そっちへと引き込まれそうになり、ひこさんと顔を見合わせて悩むが、屏風優先で行こうと左又へと進む。牛鬼は、午前がいいと思っていたが、午後もかなりいいようだ。
とうちゃく〜で、ポーズ。
う〜ん、ちょっとテン場でゆっくりし過ぎたか。陽が当たっているのは、滝頭だけで、ちょっと残念。
それでも、その堂々とした姿は、圧倒的。巨大な滝ながら、その滝水の流れは、どこまでも優しく心地良い。小さな小さな水の粒が、ゆっくりと降り注いでくる。
対岸の壁が圧倒的なこともここの特徴。狭まる谷から覗くV字の空には、雲の勢力が強く、僅かな青空を待って、何度もシャッターを切る。
二又に戻ると、牛鬼は、まだ輝いている。「行くか」とひこさんに声をかけると、当然という感じでうなずく。まいちゃんも嫁さんも顔が笑っている。
前衛滝を越えると、素晴らしい姿で牛鬼が登場。低くなった光を浴びて、暖色に輝く滝姿も格別。
やや水量が少ないが、独特の捻れる水が、駆け下っていく。
臆崖道さんは、屏風滝で水浴びして、先にテン場に戻るからと、山ノ神さんと帰ってしまったが、ちょっと残念だったかも。
牛鬼を満喫してテン場に戻ると、もう焚き火も絶好調。後は、飯食って寝るだけ。
昨日、晩飯の打ち合わせをしていた時に、臆崖道さんが、「山では、そんなに食べへん」と言っていたが、それは、大嘘。次から次へと、いろんな食材が出てきて、ワーワーと楽しむ。枝に食材を刺して焚き火で炙るが、ここには、腰のある枝がなく、なかなかに難しい。
翌日は、予想通りの天気で、ちょっと暗い中を出発。
昨日同様に牛鬼へと前衛滝を越えていくが、以前は、無かったロープが懸かっている。一方で、多くの人が行き来したためか、手がかりになる木や根っ子が少なくなっているのかもしれない。
牛鬼は、今日も立派。雲天で、しっとりとした絵が狙えるが、撮影をさぼって休憩。
左岸の樹林帯を巻き上がり、落口へ。
牛鬼の上は、ナメに続いて、これまた独特のスラブに落ちる滝。
小さな釜がご愛敬。
左岸から巻いて落口。
次の滝は、手前の緑に柔らかい光が注いで、とても綺麗。
前回は、もっと水量が多く、豪快な佇まいだったように思うが、この穏やかな流れも悪くない。
さてさて、この滝の巻きが、一苦労するところ。先ずは、右岸のリッジ状の尾根を急登。
滝の高さを越えたあたりから、細いバンドを落口へとトラバース。
最後は、落ちると滝下からあの世へと続くデンジャーゾーン。何時のものように、私がビレイして、ひこさんにロープを引いてもらいルート確保。
一人ずつ慎重に通過していくが、その頃から雨が降ってきてしまう。
雨は、結構強く、雨具を着たりして、木の下でしばらく雨宿り。小降りになってきたのを見計らい、右へ曲がる谷を進むと、また滝。
さっきのビレイ地点からも見えていた滝上に高く聳える壁が圧倒的。立間戸という抉り取られたような深い谷間にいることを実感できる眺めだ。
斜滝を越えて、最後の大滝の前に立つ。雨は、降り続いていたが、末広がりで優雅な流れを見て、ここまで来て良かったという思いにふける。
その美しい水は、大きく深い釜へと吸い込まれ、我々が辿ってきたナメを滑りゆき、大きな滝となって落ちていく。
ここは、どっちからも巻けるようだが、皆の意見は、誰が名付けたか、ゴジラの背中と呼ばれる左岸。
最初は、そうでもなく、まだ土の上を歩けたが、さっきの滝が見え出す頃には、まさにゴジラの背中と呼びたくなるような岩のリッジの上を行く。
高度感が、素晴らしいというより、思った以上に凄い。
平坦地に登り着く頃には、雨も止み、広がる幻想的な眺めを見て、皆の目には、安堵の色。
ところがところが、この後、登山道を拾うつもりが、大失敗。尾根を横切る登山道を見落とし、かなり上まで登り過ぎてしまう。降り返して、道を見つけたのはよかったが、その道は、こんな所にと思うような急斜面に付いていて、斜めった踏み跡に濡れた落ち葉が積もっていて、気を使う。
無事、ケヤキ平に戻ってきて、ホッと一息。
往きとは、全く違う表情の源助にご挨拶。
立間戸谷、「戸を立てたような谷」が、その名の由来らしい。牛鬼より上部は、まさにそんな深い谷の中で、大岩壁がそそり立つ。
昔々、単独でピストンしたのは、若気の至り。今は、とてもそんなことは出来ないが、今回、皆で安全に遡行でき、とても素晴らしい再訪になった。
臆崖道さん、山ノ神さん、ひこさん、まいさん、どうもありがとうございました。
撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M1
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
LUMIX G X VARIO PZ 45-175mm/F4.0-5.6 ASPH/POWER O.I.S.
Panasonic Lumix DMC-FT3
Panasonic Lumix DMC-FT4
素晴らしい滝に水に岩壁、焚き火を囲んでの楽しい夜、
初めての沢泊、みんなと楽しく過ごすことができて忘れられない二日間になりました。
ありがとうございました!
源助滝、5年前にチャレンジして、上段がどうしてもクリアできず敗退した場所。
次回はギアを充実させて再トライしたいと思うも数年経過。
美麗な写真を見させて戴き、源助滝に拘らず、是非とも再訪したいと思いました。
パンダさん、こんにちは。
いつもいつも、美しい水の色を存分に堪能させていただいております。
今回も、青空と屏風滝のカットに心が震えました。
憧れの立間戸谷、
源助滝(撮影後登山道に戻る)、屏風滝、牛鬼滝の3つは、登山道経由とそれほど危険の無い沢歩き程度で撮影できるという認識でよろしいでしょうか?
いきなりの厚かましい質問で恐縮ですが、
ご教授いただけると幸いです。
源助滝の周辺、すごく変わってますね。。前は樹林帯だったと思います。ゴジラの背中、通らなくても巻けるんですか?!今度は右岸から巻きたいです…。子泊山山頂にも行ってみたいですが、最近は沢に全然行ってないのでまた修行してから行きます(^^;)
まいさん
下山が、ちょっとあれでしたが、とても楽しい二日間でしたね。
水も滝も壁も全てが素晴らしく、大きなスケールと綺麗な眺めが、とても素敵でした。
また焚き火を囲みにいきましょう。
那ぁさん
源助突破にチャレンジですか。さすがですね。
私には、全くもってそんな考えは、浮かばないです。源助の上を見てみたいという思いは、ちょっとだけありますが。
おっしゃるように源助だけでなく、いろいろと楽しめることですし、また訪れてみてください。
ke-n さん
ありがとうございます。
屏風滝は、狭い谷間に落ちてますから、写真的に良い光線状態が難しいです。この時は、15時30分くらいでしたが、ベストな時間は、季節により変わりますし、なんとも微妙です。
また、空と滝との露出差が大きく、ここにも工夫がいるかもしれません。
源助、屏風、牛鬼へは、大きな難所はなく、大丈夫かと思います。ただ、牛鬼の前衛滝の巻きは、それなりに危険ですし、沢に安全なところは、無いですから、行かれるときは、どうぞお気を付けて楽しんできてください。
カオリさん
そうなんですよね。最後の大滝は、実際に行ってないのでなんともですが、複数のレポでは、右岸からの方が巻きやすいらしいです。でも、そんなこと言わずに、またゴジラの背中でギャーギャー叫んでください。
どうもお世話になりました。中間支点の取り方ひとつにしても、Wヌンチャクでの掛け替えで万全を期するなど、勉強になりました。
厳しい縦走形式の山行だと軽量化のため、質も量も落とさざるを得ないのですが、今回のようなBC形式だとそこそこ荷物も
持っていけるので、いつも以上に食いまくりました(笑)。
味醂干しも私がいちばん多くいただいたかもです。
皆さんと焚火を囲んで話が進むとアルコールも食欲も湧いてきます。実はこれ以降、3度の泊沢があったのですが、焚火ができたのは山ノ神が調理中に怪我をした下多古川の帰りのときだけでした。残りの2回はちょっとした事情で・・・
焚火フラストレーションが溜まっておりますw
臆崖道 さん
焚き火ができない沢泊ですか。さてさて、何があったんでしょう。
沢泊は、今回のようにゆっくりと楽しむのが一番かもです。
確かにみんなで焚き火を囲めば、飲み食いも進みますね。いつも以上に食いまくったといのは、一応信じておきましょう。
「うまい、うまい」という雄叫びをまた聞かしてください。