2015年1月3-4日
大峰山脈


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やめられるわけがない・・・


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何時ものように天気の悪いお正月。3日から少し回復しそうなので、もとなかさんと山上に登ることに。

清浄大橋から林道のさらに奥を目指すが、もちろんトレースなど無く、朝7時50分頃、車の横からラッセル開始。


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林道終点からレンゲ坂谷に入る。思った通りというか思った以上に雪が多い。


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もとなかさんが、強いラッセルで雪をかき分けて行くが、深雪のトラバースが続き、簡単には進まない。


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さらに、ラッセルの後も直ぐに崩れて埋まってしまうような大峰らしくないサラサラ雪に翻弄されっぱなし。急斜面に体がずり落ちるばかりで、全く上に上がっていかない。


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もとなかさんのトレースを辿るだけでなく、新しい雪面を進んでみたりするが、どっちもどっちで悪戦苦闘。もうヘトヘトで、このルートを甘く見たのを後悔。


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雪に埋もれた斜面に効率の良いルートを見出すのも難しい。上下二手に分かれたりして進むが、結果は、あまり変わらず、危ういトラバースが続く。


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それでも、じりじりと進んで谷の水が切れ、さらに高度を上げて来ると、頭上高く青空が、ぶっ飛んでいくようになる。遙かに前を行くもとなかさんに「上〜」と大声を張り上げ、僅かな瞬間を捕らえてシャッターを切る。

時計を見ると、もう14時。


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それにしても凄い霧氷。青空が見えるのは、ほんの一瞬、実際は殆ど真っ白な世界だが、浅いV字型に広がる森の美しさは、とても言葉では言い表せない。全てを覆い尽くすような繊細な霧氷が、どこまでも広がっている。


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谷の突き当たりは、氷瀑のような氷の壁。左からレンゲ辻への詰めに入るが、最後まで森の美しさは変わらない。


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15時15分、なんとかレンゲ辻へと乗り上げる。ラッセルで先行してくれたもとなかさんに感謝。途中で、「このままやと、まさかの雪山沢泊か」などと冗談を言い合っていたが、私一人なら本当にそうなっていたかもしれない。


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天気が良くなってきているようで、青空が見える時間が長くなってくるが、ここには陽が届かないようだ。それでも木々を覆い尽くす霧氷の美しさは比類無く、これまで見てきた中でも最高レベル。


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予定では、山上まで達して、できれば朝夕のドラマに期待したいところだったが、ちょっと無理そう。ここから山頂までは、雪が少なくなることが予想されるが、うまくいっても2時間はかかるだろう。

地形図と睨めっこすると、山頂までの間にテントを張れそうな場所が一カ所あったが、そこまで行っても、あまり状況は変わらない。諦めて念仏山の方に少し上がり、風がやや弱まるところを見つけてテントを張った。

翌朝は、空が朝の色に染まり、ここからでもお日様を見ることができるかもと思ったが、雲の中から顔を出すことはなかった。


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起きてみて驚いたのは、空気が乾いていたのか、テントの内壁に結露や霜が全く見られなかった。こんな事は、初めてだ。あれほど見事に着いていた霧氷も殆ど落ちていて、枯れ枯れの眺めに唖然。


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天気も急速に悪化、たちまちにしてガスに覆われてしまった。


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結界門を越えて山上へのルートは、北西面を折り返しながら高度を上げていく。


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ちょっと嫌らしいトラバースに「横着はあかん」と声を掛け合ってピッケルを出す。


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天気が悪く枯れていても、ふかふかの雪面が美しい。まだまだ雪が深いが、昨日に較べたら遙かに楽。


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この尾根の霧氷に大いに期待していた訳だが、今回は不発。これも自然の営みなので仕方が無い。


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それでも僅かに残った霧氷を見つけると足が止まり、駆け抜ける一瞬の青空が何より嬉しい。


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ガスに支配された殺伐とした冬景色。足下には、ごつい霧氷の塊が散らばる。


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益々ガスが濃くなってくる中、お花畑へ。


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予想通りレンゲ辻から2時間。


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モコモコの表参道から下山。


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途中で休憩しながら、昨日の苦しかったことを思い出す。「やっぱり向いてないわ」とポツリと漏らすと、もとなかさんが慰めてくれる。今となっては、そんな考えがあるはずもないが、この時は、冗談抜きで「雪山無理、もうやめよう」と思った。

ただ白いだけの雪を纏ったお山。何故そこに向かうのか。

現代において、唯一原始の姿に触れることができるような世間から隔絶された荘厳な世界。何処までも続く白が、大自然の息吹に染まるとき、繰り返される日常とは違う「生」を感じずにはいられない。

その澄んだ美しき瞬間の数々は、素晴らしい滝達をもってしても敵わないとさえ思える程だ。

いやいや、そこを歩いているだけで幸せになれる。そんな雪の山が好きなんだろう。やめられるわけがない・・・

もとなかさん、どうもありがとうございました。



撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M10
LUMIX G VARIO 14-42mm / F3.5-5.6 II ASPH. / MEGA O.I.S.
LUMIX G VARIO 45-150mm / F4.0-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.

6 コメント

  1. 臆崖道

    4年前の2月に日帰りでレンゲ谷を詰めて山上さんをやりましたが、確かに峻烈といった山行となり、もう二度とやらないと思います。
    屈強メンバー8名ぐらいを立ててそれでしたから、お二人でこの時期、おまけに重荷ではさぞかし峻烈どころではなく、苛烈と激甚の2つまで加わったぐらいかもと想像します。

    「横着はあかん」ところのトラバースは、先輩がステップを切ってくれなければ本当にヤバかった記憶があります。

  2. パンダ

    臆崖道さん

    リハビリ山行含めての三連発の疲れもあったかもですが、とにかく前へ上へと進むのが大変でした。

    それでも、レンゲ谷源頭部近くからの森は、実に見事で素晴らしかったんで、もう少し楽な条件を狙ってまた行きたいなんて思ったりしてます。

  3. COOPER

    パンダさん、こんにちは。

    例の山行ですね、読んでいて熱くなりました!
    なんといっても初日のラッセルが全てを物語ってますね。
    繊細な霧氷が添えてくれてるのも素晴らしいです。
    レンゲ辻から山上までのところはかなり際どい感じですね。

    難しそうなルートですが、いつか歩いてみたくなりました。

  4. パンダ

    COOPERさん、こんばんは。

    苦しい山でしたが、一方で行って良かったと思える良い山行でした。
    レンゲ辻から山上へは、とても魅力的だと思います。慎重な行動が必要なところも長くは続きません。
    レンゲ辻までが問題になりますから、雪が締まっている時を狙うのが良いように思いますが、タイミングを見極めるのが、なかなか難しいですね。

  5. “すぎちゃん”

    これほど一夜にして景色が一変するとは驚きました。
    霧氷ってデリケートとでも申しましょうか?
    青空とセットなんて日は本当に幸運なのでしょう!

  6. パンダ

    すぎちゃんさん

    あれほど見事だった霧氷が消えてしまったのには、本当に驚きました。いろんな条件がありますが、こんなこともあるのかといった感じでした。

    そんな儚く美しいものだからこそ、追いかけたくなるのかもしれません。

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