2015年5月1日
銚子川 光谷
岩峰を越えて・・・
夜が明けたので、テントはそのままにして出発。今日の目的地は、光谷の大滝。どうせなら二ノ俣と合わせてやってしまおうという計画。
林道の終わりから右俣へと入る。
特徴的な斜めった岩盤が面白い。
いくつかの滝を越えると噂の行合。難儀そうにも見えたが、特に問題なく通過。
小滝の連弾を左から越えていくが、その先が、ちょっと嫌らしい雰囲気。
そして、谷が急角度で右へ曲がり、そこには、三段40mとされる滝。事前情報から、この滝の巻きが問題と思っていたので、辺りを良く観察するが、う〜ん、どこも厳しそう。
少し下流の右岸にあるガレルンゼが行けそうにも見える。しかしながら、上部の様子がよく分からない。右岸滝近くの滑った壁にちょっとした溝があり、ここを越えれば、後は楽そうに思えたので、そこから行くことに。
支点がとれそうな上の灌木まで少し距離があり、予め途中まで登って第一支点を工作。谷中に木霊すハーケンを打ちこむ澄んだ音が心地良く、バッチリと決まったことを教えてくれる。そして、昨日に続いてあっきーさんに突破してもらう。
上に出てみると安定した棚になっていたが、その上にも壁が続いている。真っ直ぐはとても無理で、右へ左へと弱点を探し、右に廻ったところの僅かに傾斜が緩いところを登って行く。
ところが、さらに壁は続いていて、登っては壁、登っては壁と同じようなことを繰り返し、どんどん上に追い上げられていく。棘混じりの藪が指先に何度も刺さり痛い。そして、岩のホールドが幸いにして丸くないので、指先がガッチリとかかるが、これまた痛い。
やがて、上流の30m滝とその下の滝が見える小尾根に出るが、先には、左右とも垂壁に近い壁で落ち込むルンゼが下の滝前へと走っていて、30m滝へと降りるには、このルンゼを越えなければならない。細いバンドに乗って、ルンゼの淵まで降りていき、対面の様子をうかがう。しかしながら、ルンゼに降りることはできても対面の壁が登れるかは、なんとも微妙。
ここから見ると、ルンゼが突き上がった先も垂壁となって立ち上がっているが、その上なら緩いように見え、問題なさそう。下からあっきーさんに上に行くことができないかと身振り手振りと大声で聞くが、「無理〜」とポーズしている。どうしたものかと考えながら小尾根まで戻り上を見ると、なんか絶望的な壁。
それでも諦められるはずがない、皆で壁に近付いていくと、遠目には分からなかった弱点があり、うまく上へと抜けることができた。抜け出たところは、ピナクルの上で見晴らしが良い。なんと壁の頂点まで登ってしまったようだ。
ここから先程のルンゼの上を通って斜面を下り、ようやくといった感じで30m滝前へと降りて行く。一生懸命ルーファイしていたのか、巻いている最中の写真を撮るのを全く忘れていた。
結局のところ、30m滝前に立った時は、巻き開始から三時間近く経っていた。身も心も疲れ切っていたが、その美しい佇まいと水色に癒され、ここまでの苦労を忘れてしまう。水量が少ないのだろうが、そんな不満を感じることさえない。
右岸から巻いて谷に戻る。差し込む陽射しに輝く滝が良い感じ。
帰路は、谷を降渓して帰るつもりだったが、あの巻きルートを懸垂で降りるのは、かなり時間がかかりそう。そんな訳で、尾根から帰ることを視野に最後は谷を詰めるのではなく、大滝が見えるポイントへと尾根を乗越す事を提案。
ヨイショヨイショと登り着いたところから大滝が見えるが、豊かな木々に遮られて写真に収めるのは難しい。大滝は、快適に登れるなんて言われているが、ここから見ている限りは、そんな風には見えず、登りたいとはとても思えない。
斜面を降りて滝前へ。上部は見えないが、なかなか素晴らしいではないか。大岩壁を流れ下る様は、やはり巨瀑の貫禄。
降りてきた滝対岸の斜面を登り返し、南西から西へと続く尾根を登って行く。光谷左右出合から北西に延びる尾根と交わる1200mまで登らずに1070mラインから当たりを付けて南へとトラバース。うまく目的の尾根に乗り、後は、ほぼ一直線に出合へと降った。
ベースキャンプへと戻り、林道を歩いて清五郎橋へ。車を走らせると対岸に綺麗な滝が落ちていた。
入渓前から困難さを予想した巻きは、予想以上に大変で壁と藪との格闘が待っていた。それでも、的確であったかどうかは分からないが、力を合わせてルーファイをこなし、目的の滝前に立ったうえで無事戻ることができ、爽やかな達成感に満たされたように思う。指先に残った傷は、その勲章だったかもしれない・・・
あっきーさん、はんぺんさん、WATAさん、どうもありがとうございました。
撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
Panasonic Lumix DMC-FT4