2015年10月3-4日
往古川 狸谷 小木森谷


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清絶・・・



今回は、臆崖道さん家の企画に乗っからしてもらって往古川。事前に相談しているときに、ちょっとしたチョンボ作戦を思いつき、その迷案かもしれない名案で小木森を楽しむことに。

先ずは、車二台で林道を上がり、小木森滝落口へと通じる仕事道の入口に一台デポ。もう一台でハゲオロシ谷下降点へと下る。ハゲオロシ谷だと思って降り始めてた谷は、その枝谷だったようで、大きな違いはないが、少し降ってからハゲオロシ谷に合流。


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途中、岩の下にぶら下がる蜂の巣を見つけてびっくり。スズメバチだろうでっかい巣に刺激を与えては一巻の終わり、静かに慌てて逃げ去る。


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狸谷へと降り立ち、蜂の恐怖から解放されてホッと一息。よく覚えてないが、この穏やかな渓が綺麗だったんだろうか、立ち止まって皆で撮影。狸谷は、新宮山の会の「南紀の山と谷」には、樋ヶ谷との記載があり、かつてはそう呼ばれていたのかもしれない。


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少し進んで行くと、差し込む光と出会う嬉しい時。もちろん、綺麗な水色を見て足が止まらないわけがない。


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そして、右岸枝谷からの大きく立派な滝と出会う。まだ下部は影の中だが、その分、上部は一段と輝かしい。


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両岸狭まりゴルジュっぽくなってきて、その奥には白き噴射。


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どれどれと覗き込むと、見事な佇まい。この碧っぽく美しい水色は、往古川界隈では初めて見るような気がする。


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この滝を越えると、その美しき水は、さらに純度が増したよう。


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奥には、またまた大きな滝が見え、二条の滝から注がれた水が大きな釜に湛えられる。あまりに美しく、まさに夢のよう。


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下から見えていた滝の前。


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この枝谷から落ちる滝も立派。上段は、かなり高い。


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美しき水は、何処まで続いているのだろうか。


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それは、このケン淵滝の大きな壺が源のようにも思えるが、そうではないだろう。


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ケン淵の壺に、ここまで陽が差し込むのを見るのも初めて、躍動する水と美しき壺を前に、思わず雄叫びを上げる。

豊かな植生に彩られ、強固な岩盤に支えられた乱れのない滝空間は、台高を代表するに相応しい見事なものだと思う。


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上部の木々は、色づき始めたばかり。あの深紅に染まったケン淵も懐かしいが、盛夏の姿も気になる。


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なんか泳いでる人が。何時もながらに元気満タン。


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美しい壺を見下ろしながら巻き上がる。


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ケン淵滝の上には湧き水が注ぎ、直ぐにまた大きな滝をかける。


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大淵滝も是非とも見てみたかった滝。もちろん、素晴らしい滝姿をしているが、何か滝名が変。ひょっとして、いつの間にかケン淵滝と名前が入れ替わってしまったのかもと思えてしまう。


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小木森谷に入っても水が綺麗。僅かに進んだだけだが、もう今回の難所と思われるCS滝が見えている。


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そして、CS滝の向こうには、小木森滝の大噴射が見えていて、距離的には短そう。


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さてさてどうしようか。左岸ルート工作をするつもりでカムまで持ってきたが、暗くて寒そうだし、結構濡れそう。そんなことで、右岸から安直に巻いてしまえと取り付いたが、これが失敗。

先ず、一番低いところにあるバンドを探ってみると、少し進んだところで張り出した岩に阻まれる。この岩盤を越えるには、際どいところを少なくとも、もう一段登るしかなさそうだが、その先もまったく読めないので諦める。もっと簡単なルートがあるはずと、それらしきところを次々に探るが、どこも一緒で張り出した岩を越えることができない。一カ所、木々の手がかりがあり、行けるかもと思えるところがあったが、さっきロープをFIXしてフリーになってしまっていたので無理は禁物、ここも諦める。


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結局、どんどん追い上げられてしまい、小木森滝がドーンと見える張り出した岩の上に全員が立った。さてさてさてさてどうするか。ここから懸垂で降りた記録、そのまま右岸を大きく巻いた記録もあるが、懸垂は下の様子が全く分からず、途中で詰まると大変なことになる。右岸大巻も時間がかかりそう。

元々、今回の計画では、小木森滝から車のデポ地まで直ぐなので、泊装備は取りに戻るつもりで、担がずに車に置いてきてある。また、小木森滝の陽当たりを見ると、明朝の方が良い可能性が高いだろう。そんなことで協議の結果、ここまでとしても仕方がないと撤退することとなった。大淵滝まで戻り、そこから林道へ這い上がってデポ地へ。残念ではあったが、間違いのない選択だったと思う。

気持ちを入れ替え、焚き火とおくがけどさん家が用意してくれた鍋料理などなどをゆっくりと楽しむ。元気に帰還できたことが何より。


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翌朝、絶好の天気の下、小木森滝へと降り立つ。昨日の撤退地点と急峻な地形を見ると、今や簡単に来ることができるようになったことが嘘のよう。


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秋の澄んだ空と虹を架けた小木森が鮮烈。


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大水量とは言えないかもしれないが、十分に満足できる水量。大水量の時には、とても撮ることができない所から撮影を楽しむ。


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影に支配されていた滝壺にも、しだいに陽が届いてくる。光が大岩壁を降って行く、この時が好きでたまらない。


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何回か来ている小木森滝だが、この日の滝壺は、かつて見たことがない程に美しい。


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残念ながら下段の滝前は荒れているが、この急峻極まる地形の中において、上段の下には奇跡のような大地が広がる。そこから見ることができる美しくも揺るぎない姿は、小木森が単なる大瀑ではない証。


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落口は遙かに高く、レンズを向けると、まるで空を狙っているかのよう。


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輝く瀑水、壺に湛えられた魅惑の水色、大きな弧を描く虹、強固な岩盤、冴えわたる空、素晴らしき絶景にブラボー!


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続いて、小木森滝落口へと向かう。嫁さんは、嬉しそうにウロウロ。


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落口から何を見たのだろうか。


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さっき降りてきたばかりの小木森滝の上の滝。水の透明感が、昨日にも増して素晴らしく感じる。


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穏やかに続く渓。影の中でも水の透明感が高い。


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そしてそして、この世のものとは思えぬような美しき淵の登場に唖然。


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水の揺らぎの中に見える色を何色と呼べばいいのだろうか。この色は、どこから来ているのだろうか。とても表現しずらい不思議な色に打ちのめされる。


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奥の大滝手前の滝。大きな壺が砂利で埋まり、狭く浅くなってしまったかも。


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それでも、綺麗な水色に変わりはない。


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左岸からの巻きルートにはトラロープが張られているが、最後のところで斜め懸垂が必要。前回は、これを嫌って、もう一段上から真っ直ぐに降りたが、今回は下から斜めに降りる。うーん、水流の中へと振られそうで、ちょいと難しい。


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直ぐに続く奥の大滝も飛び切りの美しさで迎えてくれる。


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大きな壁に囲まれたすり鉢のような中に落ちる特徴的な滝だが、この日の水の美しさには、すり鉢も霞んでしまう。


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前回は、ここからの脱出に左岸を登って花抜峠からの道まで出てしまったが、その時から、もっと低いところに通っているだろう道のことが気になっていた。その道を探してみると、うまく見つかり、最短ルートでダイレクトに林道へと戻ることができた。

今回の計画が持ち上がったのは、随分と前だったと思うが、簡単に実行に移すことはなかった。水量と晴天が合わさる機会を待っていたからに他ならないが、その甲斐あって、とても印象的な沢旅になったと思う。

尾鷲湾からの吹き上げがもたらすといわれる多くの雨は、短い距離に急峻な谷を刻み、海へと還って行く。それらの谷には、魅惑的な多くの滝がかかり、銚子川と並んで往古川にもまた感動が約束されているような素晴らしい滝達が内包されている。往古川の滝には、何回か訪れているが、できれば狸谷から小木森谷へと通しで辿ってみたい。そんな想いをずっと持っていた。それは、滝だけでなく渓谷全体と触れ合えば、滝を単なる点で捉えるというようなことではなく、より深く感じることができると思うからだ。

実際に小木森谷から狸谷へ流れ降る水は、かつて見たことがないような透明感で、新たなる発見であると共に、まさに清絶と呼びたい程の美しさだった。何故そのような水が生まれるのか、答えに近付いたような気もするが、それは必ずしも正しくないのかもしれない…

臆崖道さん、山ノ神さん、どうもありがとうございました。



撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R

RICOH WG-4 GPS
RICOH WG-5 GPS


撮影機材データ

撮影機材データ



2 コメント

  1. 臆崖道

    私の企画というより原案程度のもので、この界隈の地形・ルートに熟知されているパンダさん無しでは、とても通しで行けたものではなかったす。このエリア門外漢的な私が、こんな素晴らしい渓相のときに、小木森谷を堪能できて、感謝感激であります。
    さてさて、この後の山行の記事も興味深いですが、この水の色の由来(どこから湧いてくるのか)、そして季節や気象条件によってどのように移り変わるのか、非常に興味があります。その答えというか方程式は解明されないでしょうけど、この素晴らしいエリアをまた再訪したいというキモチは強いです。

    文言には少しこだわりがあるワタクシですが、“せいぜつ”と言うと“凄絶”が一般的ですが、“清絶”という響きはとてもいいですね。多用はしたくないですけど、今後パクらせていただきます(笑)。でもこの山行の感想と、全くもって合致しているコトバだと思います。

  2. パンダ

    臆崖道さん

    天気はもちろん、いろんなことに恵まれて、本当に素晴らしかったです。
    私なしではなんて謙遜されてますが、そんなことはなく、十分に目的を果たせたんではないでしょうか。

    水というものは、とても不思議ですね。ある意味、同じ水は二度と見ることができないのかもしれません。
    隣の沢は、さらに綺麗との説もあり興味は尽きませんし、この辺りだけでも、まだまだ探究したくなります。

    また面白い計画を練って繰り出しましょう。

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