2015年11月3日
往古川 小木森谷
水色の不思議・・・
前回の小木森から約一ヶ月後、再び小木森滝の前へと降り立った。
小木森滝は、今回も虹を架けて迎えてくれたが、やはり水量が少ない。雨が降ったものの、増量は予想通り僅かだったよう。色々な滝あれど、この滝は何より水量が必要だと感じる。
大した時間もかからないからと、それを覚悟で降りてきたわけだが、次は水量のあるときに来ようと、はんぺんさん、ゆかちゃんと顔を見合わせる。それでも天気が良いのが何より。文句を言うと罰が当たりそうな素晴らしい秋景色を楽しむ。
前回は、そのクリスタル感極まるような水色に驚いたが、今回は、どうも様子が違う。現場でも「なんでかな〜」と思っていたが、写した写真でも、はっきりと違う。
上の画は今回、下の画は一ヶ月前のものだが、先ず目が行くのは、水量の差によると思われる虹の大きさの違いだろう。それは直ぐに分かるが、今回は低くなったお日様が、少し高い位置に虹を架けている。
それより何より注目すべきは、滝壺に湛えられた水の色。低い光線により全体的に暖色になるのは当然だが、この違いは理解の範疇を超えている。現像設定の違いと思われるかもしれないが、それに大きな違いはない。
LightroomによるRawデコードの色温度は、前回の画が5150K、今回のが5000Kで、今回の方が青っぽくなる設定だが、結果は、まるで逆である。
さてさて、小木森滝を巻き上がって上流の遡行。陽射しが谷底に届く領域が狭いのもあると思うが、ここでも水色の違いを感じる。
そして、あの美しき淵。綺麗なのに違いはないが、ここも前回の碧っぽい色ではなく、緑の支配が強い。
ついでに言うと、今回の水色は、Web用にとProPhoto RGBからsRGBに変換しても、それほど気にならないが、前回の水色は、Web用に変換されたsRGBでは、その魅惑的な色の多くを失ってしまう。
カラーマネージメントされた環境はもちろん、文字表現等々、美しく再現するという考えが標準的になれば、Webの世界もより可能性が広がると思うが、そんなことを気にする人は、ごくごく少数であり、そうではない現実が残念である。
言うなれば、魅惑的なデザインの食器に美しき盛りつけられた、おいしい料理を楽しんで食べるのではなく、パックに入ったままの飯を腹さえ大きくなれば良いと食べている。それでいいと思っているのか知らないだけか、そんな環境が支配的である。
谷底は暗いが、上部を見上げれば、秋の雰囲気満点。
見た目に綺麗な紅葉も、写真的に満足に表現するのは難しい。
奥の大滝手前の滝。もっと美しい年もあるかもしれないが、初めて見る小木森谷の紅葉は、十分に美しい。
今回も、すり鉢状の大滝が、最終目的地。生憎、滝壺に陽が届くことは無く、前回に見た夢のような水色を見ることはできなかった。しかしながら、上部の紅葉は、ここまで来て良かったと思わせる程に美しく、それが滝と合わさるこれ以上ないような贅沢な眺めを堪能。
深き谷に流れる美しき水。やはり、紀伊山地に流れる水は謎に満ちている。その解に迫ったようで戻ったり、答えが出ることが無いであろう謎が、この地の水をより魅惑的に感じさせているのかもしれない…
はんぺんさん、ゆかさん、どうもありがとうございました。
撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R