2016年3月12-13日
中央アルプス


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染まらずとも…



2月の宝剣から一ヶ月あまり、またまた千畳敷へとやって来た。今回は、宝剣が染まるのを狙うため、泊装備を担いでえっちらおっちら。


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よく見ると、えらいところを登ってる。


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新しく降ったのか、雪がとても綺麗で刻まれるトレースも深い。


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絶好の天気と思っていたが、なんか雲が湧きすぎかも。


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風を避けて天狗荘の裏にテントを設営。


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夕方まで時間もありすぎるしで駒ヶ岳へ。


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雲が流れて目まぐるしく様子が変わるが、これぞ高山ならではの眺め。


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駒ヶ岳山頂は貸し切り。


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ダイナミックな眺めをゆっくりと楽しむが、雲の動きを見ていると夕暮れ時はどうだろうかと、ちょっと心配になってくる。


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帰りは、中岳西側の巻きルートを少し進んでみる。そこは、荒々しい岩肌が白く化粧された荘厳な世界。


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ますます天気が怪しくなってくる中、テントに戻る。もう誰もいない静かな世界。水を作ると、そこからの待ち時間が長く、何もすることがなく寒い。


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そろそろ行くかと中岳目指して出発。


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雪面が美しく染まり出すが、ガスの支配が強くありゃりゃ。


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吹き抜ける風にガスが払われ、深い谷底から解き放たれてくるような薄紅色。後は、ほうけ〜んと祈るのみ。


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しかしながら、その想いが通じること無く事が終わり、闇へと向かっていく。気が付けば、強い風にさらされて、ジャケットはもちろん、カメラも真っ白。何より、とてつもなく寒い。


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ここなら電波があるはず、明日の天気を確認しようとiPhoneで通信を試みるが、寒すぎるのか電源がたちまち落ちてしまう。


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テントで飯を食っても、あまり体が温まらず、なんか寒いぞと温度計を見ると、まだ20時だというのに良く冷えている。地形のためだろうか、それとも3000m近い高度のためだろうか。


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翌朝。予想通りとはいえ、空は雲に覆われすっきりしない。それでも、お山の上ならではのしんとした空気が気持ち良い。僅かな空間だけが明るく澄んでいて、甲斐駒のシルエットの向こうに広がる美しき色に目を奪われる。


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やがて、お日様が昇ってきて命漲る時。雲に遮られた柔らかな光は、雪面を染め上げることもなく残念。それでも、ただ一人、ここに立っているということが、大げさながら奇跡のよう。感動という言葉が相応しい時が静かに過ぎていく。


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ほんの一瞬、お日様が雲の隙間から顔を出し、美しき夢色で魅せてくれた。


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テントに戻って朝飯を食おうとするが、凍るのを気を付けていたつもりの水が、全て凍ってしまっている。ガスの火で少しずつ溶かし、なんとか水を得て、やれやれ。

撤収してトボトボと歩く乗越浄土は、まだまだ静寂に包まれていた。


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乗越浄土。このお山の交差点から見る眺めは、目前に聳える宝剣をはじめ、どこを見ても素晴らしい。夕方以降になると、日中の賑わいが嘘のように静まりかえり、荘厳なる雰囲気に満たされる。今回の狙いは不発に終わったものの、ここが、とても気に入ってしまったかもしれない…



撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M10 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II

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