2016年5月14日
南アルプス 雨畑川 奥沢谷 武沢
知られざる大瀑…
何か面白いところはないかと探して、やって来たのは雨畑湖畔の老平。
小さな駐車場には既に数台の車が停まっていて、甲斐駒黒戸尾根よりもきついかもなんて言われる笊ヶ岳へと早くに出発した模様。
林道のゲート奥へと歩いて行くと、登山道は奥沢谷から離れ地形図の破線よりも高いところに延びていた。そして吊り橋で武沢を渡る。
殆ど知られていないが、この下流部にはゴルジュとなった連瀑帯があり、上流にも素晴らしい大滝がかかるらしい。
先ずは大滝を目指し武沢へと入って行く。
この辺り特有なのだろうか、ザレの乗った斜面が歩きにくいが、大滝があるなんて思えないような穏やかな渓相。
やがて、木々の向こうに白い噴出が見えてきて心躍る。
見事な大滝が登場。
直線状に放たれた水が、段を打ちながら幾枝にも広がってゆく。
滝飛沫と木霊する滝音に満たされた空間は、とても贅沢。それを只一人ゆっくりと楽しむ。
私は、滝を点で捉えたり、○○瀑などと決めつけるのが好きでは無い。
水は、壮大な旅の中で滝というクライマックスを駆け降り、ここぞとばかりに楽しんでいるよう。恵みの雨はもちろん、季節、光、風、薫りなどなど、周囲の大自然を吸収し自由極まりない落下を演じる。
その姿は一時たりとも同じでなく、そんな大自然の創造を人が作った分類に当てはめる必要があるだろうか。
吊り橋までピストン。下流へと懸垂で降りて行こうかとも思ったが、やはり危ういので元来た道を戻って大きく迂回、沢へと続いてそうな道を辿って奥沢谷に降りた。
そこには作業場所らしきものがあった。
そのまま沢を行こうかどうしようかと悩んだが、奥沢谷左岸を少し上がってみると、道型らしきものを発見。その道型は、なんとか辿れる状態だが、崩れた斜面の上にレールが浮いた状態になってたりして、ありゃりゃ。
結局、この道らしき跡は、さらに崩れが酷くなり、やれやれと急斜面を降ってまた沢へと出る。
難所が無ければ、沢を歩く方が眺めが良いし面白い。
やがて、奥沢谷はゴルジュっぽくなり、丁度そこに左岸から武沢が滝となって出合う。
武沢F1
鬱蒼と茂る樹木の下で美しい軌跡を描き幽玄。
巻くことができるかと左岸を見ると、大丈夫そう。急斜面を登ってリッジ状に張り出した小尾根を越えるとF2の登場。
これまた美しく、壁に囲まれた中の素晴らしい佇まい。
ここからは、さらに急峻。この左岸に張り出したリッジを登って行く。
ところが、高い壁に阻まれてしまい、ちょっと難しそう。取り付いてみるが、どう考えても命がけになるので断念。右から大きく巻けば、上への活路があるかもしれないが、最初の吊り橋のかかる道に出てしまいそうで、あまり良い考えではない。
そんなことで、懸垂2回で安全地帯へと下降。そこは、地形図の破線がある辺りだった。そこから踏み跡らしきものを見つけて辿ると、ほぼ破線通りに続いていて尾根上の廃屋が並ぶところに出た。結局のところ、武沢下流部の滝を見に行くには、この廃屋のところから降りていくのが良いかもしれない。
武沢にかかる滝達は、とても見事な姿だった。その中でも上部にかかる大瀑へは難所もなく、少し慣れた人なら然したる苦労はないだろう。
もっともっと注目されてもいいように思う…
撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R
RICOH WG-5 GPS