2016年6月18日
南アルプス 早川 滑河内
淀みない落水…
ここは、山梨に来た当初から狙っていたところ。しかしながら、ちょいと難儀そうなこともあったりで、そのチャンスを捉えることなく月日が流れていった。今回、不動滝への計画が立ち上がり、ようやくという感じの嬉しい出動。
滑河内沿いの林道を少し入り、取水施設への道を利用して奥へと入っていく。その道には吊り橋が何本かかかっていた。
取水施設を越えて沢に降りると、流れゆく水と頭上を彩る緑が良い雰囲気。
ちょっとしたアトラクションがある程度で難所はなく、ワイワイと楽しい遡行。
そして、両岸狭まって怪しげな雰囲気。ゴルジュとなった中に滝が連続している。
今から思えば、もう少し奥まで入ってみれば良かったかもしれないが、左岸にロープが垂れていたので、ここから取り付いて巻きを開始。写真の辺りまでは難なく登ることができたが、そこから先が切れ落ちていて、上流側にトラバースするのは難しそう。突破口を左上に続く斜度が増した斜面に求める。
先導するあっきーさんにロープを出しましょうと言って、上の壁際までルート工作。そこから足元が良く見えない草ボウボウをトラバースして、またまたロープFIX。さらに斜め下に懸垂してロープFIX。皆で手分けしてのルート工作が続き、壁に何本ものロープが延びていく。
最後に小尾根を少し登り越えて懸垂下降。ようやくゴルジュにかかる滝の落口に出て巻きを終了。
この先は、一転して穏やか。沢に陽が届きだし、キラキラと輝く沢を歩く楽しい時間。
これは支流の滝。
しばらく進むと、前方また怪しげな雰囲気。
近付くと、迫力ある三段の滝がお出迎え。
右岸の崩れやすい土の壁から巻いて行くが、トラバースが、ちょっと嫌らしく、ここでもロープをFIX。
次のポイントは、壁が赤橙色に染まった、ちょっと違う怪しさ。
よく見ると水が壁から噴き出していて、何とも面白い。厳しい遡行の中での、ひょうきんな光景に癒される。
ここからは、連瀑帯に支流から大きな滝が落ちる素晴らしい渓相。
右岸を巻き進み、支流滝の下を通過。
もう不動滝は近いはずだが、この滝の上にも滝が続いていて、簡単ではなさそう。
あっきーさんとBALさんが右岸を登って先の様子を伺ってくれるが、やはり、この滝を越えても上に続く滝が越えられないと降りてくる。
事前予習で、直進が無理な場合は左岸大巻しかないと思っていたが、時間も押してきたし大巻に要する時間も全く読めない。
どうしたものか諦めるか。いやいや、ここで諦められる訳がなく、皆の視線が左岸斜面一点に集まり、もう闇下山覚悟で前進。
巻き進んでいくと、これが意外にも簡単で不動滝が見えてきて一安心。
不動滝手前の左岸支流にも大きな滝が落ちている。下降しやすいのは支流の右岸側で、この滝の頭を越えなければならないと考えていたが、実際には左岸側が緩く、そのまま下降。
それでも、最後は壁が立っていて懸垂で着地。
やっと来たよと不動滝に挨拶。
ぐるりと高い壁に囲まれたそこは、正に大劇場。一点の淀みもためらいもないような水柱が壺へと突き刺さる。
その落水には、もう一本滝が寄り添い、両滝から放たれる飛沫と滝音に大劇場が満たされる。
何時ものようにゆっくりすることは出来なかったが、もう二度と見ることがないかもしれない素晴らしい眺めを目に焼き付ける。
帰路も厳しい道程が待っている。別れを惜しんで、降りてきた壁を登り返す。
帰りは早いと思っていたが、ルート工作で張り巡らしたロープを回収しながら進むのは思った以上に時間がかかる。最初の大高巻きしたところをロープを付け変えて懸垂し、なんとか明るい内に難所を越えることができた。闇の沢降りを経て、全員が無事帰還。
滑河内不動滝。思った通りのような思った以上のような厳しさだった。全員で力を合わせて滝へと到達し、無事帰ってくることができたのが、何より。一度は諦めかけた皆々、滝前での晴れやかな顔が忘れられない…
あっきーさん、おでんさん、BALさん、はんぺんさん、matsuさん、WATAさん、どうもありがとうございました。
撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
RICOH WG-5 GPS
落ち口から壺まで一直線と言う滝も珍しいのでしょうね?
闇の沢を下られてまでの思い入れに頭が下がります。
すぎちゃんさん
闇下山は褒められたものではないんですけど、色々あって今回は到達するぞという強い想いがありました。
ここまでの一直線は想像外でしたが、すっきりスパッと良い滝でした。
不動滝までアマゴが居たのか気になります