2016年7月16日 大峰 北山川 四ノ川 


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ゴルジュに魅せられて…



GWから二ヶ月余り、久しぶりの大峰。

四ノ川は、立合川と同様に笠捨山を源とし、長大な旅を経て北山川へと注ぎ込む大渓谷。その深く刻み込まれた谷底には滝と釜が連続し、悪絶かつ美しい渓谷を形成しているらしい。それは同時に人を容易に寄せ付けない雰囲気を持っているが、それ以上に、そこに入ってみたいと思わせる魅力溢れる地。

今回は、奥へと延びている林道を利用して、その核心部に触れてみようと計画。林道を何処まで進むことができるか心配だったが、得に問題なく終点まで入ることができ、そこにはお地蔵さんが祀られていた。


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林道から四ノ川への一歩。


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谷底が近付いてくると、久しぶりに見る大峰の水に目が奪われる。


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木々の緑が覆い被さる幽玄な谷間。流れゆく水、岩の感触、薫り等々、感じる全てが美しい。


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最初の二俣を左へ。


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左俣に入ると直ぐに美しい滝に出会う。大きな釜にゆらゆらと広がりゆく水に、もう心まで溶けてしまいそう。


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右岸に回り込んで登っていくが、下から見ていると両側から被さる岩に、まるで穴が開いているようで面白い。


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ここからも悪絶というより美しい眺めの連続。光が降り注いでいる訳でも無いが、飛び切りに美しい水だと感じる。


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強固に取り囲む岩盤は、その美しき水を守っているよう。


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そして、側壁向かい合う函の中に左から滝が注ぎ込み、美しさに深き色合いを重ねたような水を湛える。


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その水に身を委ねる至福の時。泳いだ後に岩を越えるが、手がかり少なく微妙なバランスを強いられる。


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次の二俣を右にとって最奥へ。高い壁が続くが、淵を泳げば楽々。


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そして、一際美しい滝が姿を現す。四ノ川の記録は殆ど見ることができないが、この滝は故川崎実さん他による初遡行時の記録で「一級の美人」と讃えられ、わらじの会の強きご夫婦による記録でも「深窓の美女」と喩えられ賞賛されている。


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実際に目の当たりにしてみると、それは誇張でもなんでもない。岩盤を滑り落ちる軌跡が美しいのは無論、周囲には一点の汚れすら無く、釜に湛えられる水は、言葉で表すことが出来ないほどに美しい。

周囲を高い壁に囲まれて、ひっそりと落ちる滝。殆ど人の目に触れること無く、繰り返されてきたであろう営みを想い、静かな静かな感動に満たされてゆく。


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さてさて、この滝を越えていかねばならない。左岸に張り出す嵓の上を目指し、気合いを入れて大きく高巻いて行く。

沢に戻っても相変わらず美しい佇まい。何処までも夢のような遡行。


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前方を見ると、沢が右に急転回し何やら怪しげな雰囲気。ひこさんがしゃがみ込んで撮影し、ゆかちゃんも、その奥にある何かに釘付け。


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そこには美しき滝が美しき釜に注ぎ込んでいたが、それとは裏腹に、奥は極端に狭まりながら屈曲していて、いよいよかといった感じ。


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左岸の壁を登って奥へと入って行く。紅い岩盤はベニマダラだろうか。


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滝頭を乗越すのが恐いので少し上に出ると、両岸立つゴルジュに唖然。

先に降りたゆかちゃんが前方を覗き込んでいたが、両手でバツマーク。ここで終わりか、左に曲がって行く先には何があるのか。 どうやら突破口は、正面に見える岩溝しかなさそう。ひこさんに「泳いで下からどんな具合か見てきて」と言うと、下まで泳いで行っただけでなく、そのまま上まで登って行ってしまった。拍手。


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追いかけてみると、なるほどというかやはりというか、滝がかかっていて通せんぼ。それにしても美しすぎる見事なゴルジュ。

後続は、ひこさんが垂らしてくれたロープで安全に登って行く。


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この滝を越えても、両岸は空すら見えないほどにそそり立ち、今度は右へと曲がって行く。先の様子は全く分からず、壁に塞がれているようにしか見えない。


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先が見えない不安感と井戸底にいる圧迫感が半端ではないが、心の高揚が、それを越えてゆく力を与えてくれる。


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最後のチョックストーン状の滝を越えると空間が広がり、前方圧倒的な壁の右から落水が迸る。慌てて奥へと掛けより、右に曲がって遙か高見から落ちる滝を見上げる。

両岸に聳立する嵓は、滝を越えて高く突き上がって触れ合わんばかり。ゴルジュの中を捻るように落ちる上部から中部で広がり、腰を打って飛び出した落水が、浅いながらも美しい壺へと注ぎ込む。 ぐるりと壁に囲まれた中を滑るように跳ねるように落ちる姿は、ありえへんと思えるような滝風景。


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名残惜しいが帰る時がやってくる。またまたゴルジュの底へと吸い込まれてゆき、同じルートのピストンながら、その感動は色あせることがない。


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期待を持って訪れた四ノ川は、その期待を裏切ることのない素晴らしさに満ちていた。

ゴルジュにかかる滝は、近付きがたく美しく圧倒的で、とても他では触れることができない素晴らしいもの。しかしながら、それだけではなく、ゴルジュという異空間にある全てのものに魅せられてしまう。

高き壁の間を流れ下る水と磨き抜かれた岩盤が作る美しき景観。その清冽極まりない水と乱れの無い空間は、まさに宝物。ゴルジュが好きだ…

はんぺんさん、ひこさん、ゆかさん、どうもありがとうございました。



撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R RICOH WG-5 GPS


撮影機材データ

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