2016年7月30日
大峰 池郷川 小又谷
宙からの贈り物…
小又谷といえば、滝メグラー的に知られているのは、林道下の不動滝。沢屋さん的には、取水施設から上のゴルジュが遡行対象。しかしながら、この不動滝と取水施設の間にゴルジュとなって落ちる凄い滝があり、そのことを最近まで知らなかった。
その滝は、アメ止め滝30mとされることがあるようだが、古〜い記録や昨秋の探索からも、とてもそんな規模で収まるものではない。
我々に、ここを下から辿るのは絶望的。上からの下降作戦として、先ずは巡視路を辿って最上段の落口へ。下を覗き込むと、なかなかの高度感。
どこから下降しようかと落口付近をウロウロ。落口から水線付近を降りるのが一番スッキリしてそうだが、支点構築が大変そうだし、できれば岩に穴を開けたくないところ。少し左岸寄りに、しっかりとした支点を発見し、ここから降りることに決定。
何回もロープを投げるが、滝の途中から強烈に抉れていて、闇の奥にロープが吸い込まれてしまう。ロープ長から考えて届いているはずだが、途中から空中懸垂必至なこともあり、安易な下降は禁物。
何回もやった末、ひこさんが少し巡視路を戻った所から覗き込んで、なんとかロープの着地を確認。
滝下へと下降を開始。ところが、落石が酷いだけでなく、後で大変なことになり、ここからの下降は失敗やったかも。
ある程度距離のある空中懸垂を想定し、カラビナを二枚追加した折り返しシステムを使ってみたが、これまた失敗。
簡単な事前テストではOKだったものの、実際には宙づりにも関わらずロープを送ってやらないと下降できないほどにフリクションが強い。ロープを操作する度にコメツキバッタのようにガクンガクンして苦しかった。
続いてひこさんも下降。
軽いひこさんは、さらにゆっくりと降りてくる。降りてきて一言「これあきません。」
一発目の下降を終えてやれやれ、そして、目前に展開する絶景に唖然。
ところが、ここから大変なことの始まり。ロープを抜こうとするが、ピクリとも動かない。どうしたものかという感じで、ロープが抜けなければ、ここからどうやって脱出するのか。
ひこさんが手を伸ばしてロープを巻き付け、しゃがみ込んで体重をかけると、僅かながらに動いたよう。代わる代わる雄叫びを上げながら体重をかけると、たしかに動いている。ただ、ロープの伸びもあり、動くのはほんの少し。泳いで対岸から引っ張ってみたり、あの手この手を駆使した作業が延々と続き、手の皮もむけてしまって痛い。
もう力尽きそうになってきた頃、ようやくロープの動きが軽くなり、何とか回収に成功。これで本当にやれやれ。
滝裏から左岸へと張り出す壁は、何者をも寄せ付けないような雰囲気で覆い被さり、右岸に立ち上がる壁とで特異極まる空間を形成。そんな暗く息も詰まりそうなところに、まるで宙からの贈り物のように眩しき水柱が降り注いでくる。
その圧倒的なコントラスト感で描かれる夢のような世界に酔いしれる。
滝は、さらに続く。今度は巨大な壺に向かって水線を下降。
なんやかんやと時間を食ってしまって、その大きな壺の殆どが影の中に入ってしまっている。僅かに光りが当たっているところを見ていると、また来るかと思わずにはいられない。
下流側へと泳ぎ渡る。まだまだ大岩壁に囲まれているが、さっきまでと違い随分と開放的。ここでゆっくりと遊ぶのも悪くないだろう。
最後の滝を覗き込んで、あと一回懸垂。
ここも大きな壺。対岸に泳ぎ着いても、滝が見える所には、まともに立てるところがない。岩にしがみつき、体をひねった変な態勢でブルブルと震えながら撮影。
ここから見ると、最上段のあの空間や二段目の巨大な壺のことは、全く分からない。
穏やかな流れの中を歩いて林道へ。
思えば、昨年だっただろうか、ひこさんに「この滝はどこですか」と質問され、そこにある画像を見て驚いた。ちょうど私もその画像を見ていて、どこだろうかと考えていたところだったからだ。二人とも凄いなあという同じ感想を持っただけでなく、それが何処にあるのかが分からないのも同じだった。
その後、それを探し当て、今回、実際にそこに入ってみることができ感慨深いのはもちろん、その凄さに圧倒された。こんな素晴らしいながらも知られざる滝は、まだまだ隠されているのかもしれない…
ひこさん、どうもありがとうございました。
撮影機材
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
RICOH WG-5 GPS
珍しい光景に見とれています。
今までにない雰囲気が素晴らしいですね。
スケーリングを変更しても最適な表示を確認しています。
“すぎちゃん”さん
なかなか魅力的なところでした。
まあ、夏ならではの遊びでしょうか。
スケーリング関係はアルゴリズムや対応しだいで変わり、一概には言えないみたいですね。