2017年5月4日
大峰 前鬼川 沢登り
代表…
前鬼川
大峰の孔雀岳から釈迦ヶ岳あたりを源とするこの川は、大峰を代表する美しい渓であり、それだけでなく、美渓という点において日本を代表するに相応しい渓かもしれない。滝メグラー的に補足すると、前鬼川は、奈良県の下北山村を貫く屈指の渓谷であり、あの不動七重の滝がかかる。
奈良県は滝王国などと言われることもあり、全国から多くの滝メグラーが訪れるが、残念なことに前鬼川は滝メグラーに相手にされることが少ない。大瀑に人気が集まるのは分からないではないが、それらの滝は、この地に特有のものではなく他所でも見ることができる。
しかしながら、紀伊山地を流れる渓の美しさは、なかなか他の地域では見ることができないものであり、大瀑ではなく、そんな美しき渓谷美こそ、紀伊山地の特徴であることを知っておいて欲しい。
GW6日目、最終日になって何処からmatsuさんが登場したのか、行き先が何故に前鬼になったのかを覚えていない。ただ、天気があまり良くなかったのと、特に難所がないことにホッとしたのを覚えている。
ブルーな釜の滝。前回に来た時は泳いだが、今日はとても泳ぐ気になれない。
不動七重の滝の水色を見て前鬼ブルーなどと書いてあるのを散見するが、不動七重にそのような水色はない。もちろん、不動七重の滝の水色も極上ではあるが、この辺りの碧き色とは全く違う。
この滝を越えるには、トラロープがかかっているところではなく、岩の上がフリクションが効いて意外と登りやすい。
ナメを流れ降る水は、釜に湛えられて絶妙な色となり、その美しさを際立たせる。
雲のベールで拡散した光は、カメラのセンサーにも穏やかな光を届けてくれる。晴天時には極度に難しいような対象でも簡単に写すことができるかもしれない。但し、劇的な表現が生まれる余地は少ない。
左岸から三重の滝の一番下、不動滝をかけて滝ノ谷が出合う。60m級の大瀑であるが、誰もメインカメラを出すことはなかった。
さてさて、前鬼の中でも、とりわけ美しいところ。ここぞとばかりに、メインカメラを出して、あーやこーやと言いながら徐々に核心部へと近付いてゆく。
直ぐ先で大量の水が湧き出していて、本流の流れと合わさったり、違う滝となったりして、箱状廊下と呼ばれるプチゴルジュに流れ込む。湧き水のためか、沢床の色のためか、湛えられる水の色と透明感を、とても言葉では表現できない。
腰まで水に浸かって奥へと進む。冷たすぎる前鬼の水に体の芯まで震えてくるが、同時に目前に揺らぐ水が心の奥まで染みてくる。それは、深き深き神秘なる水の営み。
本流の水量を凌駕する程の湧き水の水量。
修験者が身を清めるという垢離取場。湧き水帯を過ぎると碧き色が失われるが、グリーンな色合いは定番の美しさ。ここから、前鬼宿坊まで山道が続いている。
前鬼川
夏に泳ぐもよし、秋の美しさも格別、そしてこの時期もとても美しかった。晴天のきらめき、雲天のしっとり感のどちらも極めて美しく、天候を選ばない。大峰の誇るこの美しき渓を愛してやまない…
はんぺんさん、matsuさん、ゆかさん、どうもありがとうございました。
M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO