2017年7月30日
大峰 池郷川


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圧倒的…




池郷川は、大峰において、一に池郷と詠われてきた屈指の大渓谷。
しかしながら、その神秘的な魅惑のゴルジュは人の侵入を拒む悪渓であり、入谷を許されるのは限られたパーティのみ。
また、「関西起点沢登りルート100」では、数々のゴルジュや廊下が長く横たわり圧巻だが、熟達者向きとなるので対象から外したとある。

一方で、できる方達からは、ゲレンデ化しているなどと揶揄されることもあり、林道が通っていることやルートが確立されていることなどからだろうが、果たしてどうなんだろうか。

何れにしても池郷は、私のレベルを遙かに超えたところにあるのは間違いなく、憧れ以上に恐怖や諦めが勝っていたのが正直なところ。
そんなことから、これまでに知る池郷は、冬小屋谷出合少し下流の堰堤〜コンコン滝までの容易とされる区間のみだった。

さてさて、今回は遡行ではなく下降に活路を求めて、ネジ滝を有するゴルジュの中部を目指す。
車一台をコンコン滝近くに下っていくモノレールのあるところにデポ、もう一台で林道終点へ。
林道を少し奥に歩いたところから踏跡を辿って大又谷へと下降。
そして、大又谷を池郷川へと降って行く。


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大又谷もゴルジュ地形を形成していて美しい。
ゴルジュといっても最後の方まで泳ぐことなく降ることができるが、池郷川との出合が近付いた滝のところで、それは終わりとなり、覚悟を決めて釜へと飛び込む。


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池郷川に出て、さあ行くぞと気合いを入れるが、下流ではなく上流方向に伸びるスケール感のある眺めに、いきなり度肝を抜かれる。

僅かに見える白泡は、右から落ちてきている滝だろうか。
敬語さんと顔を見合わせ、体は自然に上流方向に。


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泳いでゆくと、その素晴らしい景観に畏敬の念を抱かずにはいられない。
磨かれた固い岩が天に向かって突き上あがり、何より、そこに湛えられる豊かで美しい水が体の芯まで浸みてくる。
目の前で揺らぐ深き色に、そのまま吸い込まれてしまいそう。

これぞ、狭いだけの所とは一線を画す大ゴルジュの証。


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左岸から這い上がって、そのまま岩を登れば、滝を拝むことができる。
高い壁の基部を削り、隠れるように水を迸らせる流れが、直角に壺であり淵である深みへと注ぎ込む。


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滝の落口からまた直角に曲がり、両岸に守られた狭き通路には美し過ぎる水が穏やかに流れる。
立派な木が引っかかっているが、荒れた時には、あそこまで水嵩が増すのだろうか。


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この先も気になるが、また別の機会に譲るとして大又谷の出合に戻る。

う〜ん、何か元々良くなかった天気がさらに悪くなってきたぞ。
お〜っと、雨ちゃうん。

今度はテンションだだ下がりで敬語さんと顔を見合わせる。
撤退という選択肢もあったが、覚悟を決めて発進し池郷川に身をゆだねる。


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この異空間を雨が叩けば、それはまるで魔の空間。
何故にここを泳いでいるのか。


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そして、左岸側が狭くなって、その先が落ち込んでいるのが見えてくる。


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滝の落口らしいところに吸い込まれないように右岸に這い上がる。
すると、ネジ滝が深く彫り込まれたところから水を噴射していた。

目を奪われるような造形は、全てが強固な岩で形成されていて安定感の極み。
広大な壺は、一切の堆積物などに邪魔されることなく美しき水を満々と湛える

想像を超える圧巻の空間に立っている喜びと、ここから脱出しなけらばならない恐怖が交差する。


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ところで、ネジ滝という名前は、どのような経緯で何時頃に付けられたのだろうか。
古文書を紐解いてみても、それを見つけることはできなかった。


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さあ行こう。
ロープをセットして下降に入る。
最初に振り出すように出るところが恐かったような。

私から下降したのは間違いないと思うのだが敬語さんが下にいるので、途中で交替したのだろうか。
記憶が曖昧だが、途中に何ヶ所か立てるテラスがあったような気がする。


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間近で見るネジ滝の迫力は相当なもの。
ブレまくった写真しか撮れなかったが残念。


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最後はフリーで飛び込んでもよかったが、途中の残置支点にロープを掛け替えてシングルロープテクニックの練習。
ロープから解放されて着水する瞬間がなんとも気持ち良い。

陽が差してきたのは、何かのご褒美か。
巨大な釜の向こうへと敬語さんがロープを引っ張って泳ぐ。
この美しき釜を泳ぐことができたことに感謝。


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このご褒美は何時までも続かないだろう。
一息つく間もなく、カメラをセットする。

陽が届いたり陰ったりするが、ひとたび光が広がりゆけば、それを追いかけるように、水色が得も言われぬ色へとうつりゆく。
大歓声が深きゴルジュに木霊したのは言うまでもない。


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滝の感銘は、その大きさに比例しない。
ネジ滝の淀みない流れと、それを包み込み広がる造形、前代未聞のような深くて広い壺。
神秘性に満ちた美しさが、高い品格をもって迫ってくる。


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立ち去りがたい思いを振り切り、再発進。


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さわナビさんの遡行図を見ると、ネジ滝のあたりを凄い廊下、その下流は狭い廊下、そしてさらに下流は圧倒的な廊下と書いてある。
またまた敬語さんと顔を見合わせ、凄いと圧倒的の違いはなんだろうか、もう十分に凄くて圧倒的なんだがなんて話していた。


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そして、その狭い廊下を泳ぐ。


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そしてそして、突き当たり状の壁の先は、吸い込まれるまでは見ることができない未知なる空間。
ゴルジュ特有の怪しさに支配されてゆく。


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怪しい先には、なんとも凄まじい光景が待っていた。


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ここからの下降は、頼りなさそうな残置支点を使うことを選択。
衝撃をかけないように慎重に降りて行くが、とても恐ろしい。


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背後や左右の壁は限りなく高く、奈落の底に落ち込んでしまったように感じる。


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流れ降る水は、ゴルジュに橋を架けるように横たわる大岩で振り分けられ、強烈な水音を木霊しながら通り過ぎてゆく。


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さらに、ゴルジュの底に挟まるように積み重なった大岩が複雑極まりない流れを作り出し、そこに居るだけで何処かに迷い込んだよう。


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このゴルジュは、屈曲を繰り返して落ち込んでゆく故に、その姿を写真に写し止めることは不可能だと思える。
その魂を揺さぶられるような素晴らしい空間は、実際にここに入って見なければ分からないだろう。

正に圧倒的なゴルジュ。


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ややこしいところを抜けて安息地から振り返る。
当然ながら、ここから見てもその中味は全く分からない。


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この先、谷はまだ深いが、比較的穏やかな流れになる。
巨岩ポイントがあったりして、左岸上を巻いて進む。


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そして、モノレール軌道を辿って林道まで登り出た。


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かつて、このゴルジュに初めて入った人達に尊敬の念を抱く。
今でも、人工でないと辿ることができないゴルジュやネジ滝を前にして、何を感じ想ったのだろうか。
燃え上がる闘志、それとも絶望感…

流れ降る美しき水、逃げ場を見出すことが難しい高い側壁、磨かれた岩が造り上げる造形、それら全てが圧倒的。
深き淵となって連なるゴルジュの底には、歩いて通過することが許されない豊かな水が湛えられ、そのことが池郷の格調をより高めているように感じる…

敬語さん、どうもありがとうございました。

 

撮影機材

OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.

RICOH WG-4 GPS

 

撮影機材データ

撮影機材データ


 

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