2017年8月27日
大峰 前鬼川 沢登り
ここもまた不動七重の滝…
この日は8月12日に探索した不動七重の滝F7~F6を目指す。あの時は舐めた考えに準備不足を痛感したが、今回は何とかF6直下に立ちたいところ。
さあ、頑張ってい行こうと、上流部に入渓し流されてゆく。
美しい淵
そして、まだ陽当たりが部分的なF7の落口に立つ。
下流方向へと巻き進み、前回に目星を付けたポイントから懸垂開始。長いロープを持ってきたのでF6下まで一気に降りる算段。
下降ポイントはF7落口よりも高く、これまでに経験したことがないような高度感のある懸垂。
放り出され感が強いが、眼下に見下ろす眺めは、まさに絶景。
やがて壁に囲まれたF7とそれに続くF6が間近に迫ってくる。もちろん、立つところがないようなF7の前に立ちたいと思うが、事はそう簡単ではなく、当初からそれは諦めている。
無事にF6左岸側の滝横に着地。幸いにも壺ポチャではなく、立つスペースがある。ロープ長65m程の大懸垂。
敬語さんも降りてきて、巨大な壺を下流側へと泳ぎ渡る。
ここへ来たかった。想い続けていた。
最高の天気の下、美しすぎる眺めを前に自然と笑みがこぼれる。
不動七重の滝F7、F6にもF5~F1同様に奇跡のような壺があり、そこに湛えられる不純物ゼロのような水は、F5の大噴射となって解き放たれてゆく。
乱れのない空間に、深く大きな壺が連続し、白き落水で繋がる様は、そうそうあるものではないと思う。
さてさて、圧倒的景観を満喫し、良かったと言いたいところだが、実のところ下降してきたロープが抜けなくて困った状態。あれこれやったが、このままでは回収が難しそうなので、意を決してF6左岸を登り返す。
しかしながら、下部は何でもなかったが、上部に行くにつれて登れなくなってくる。ここは、実力のある滝登攀家でさえ登るのを断念したというレポが少なくないところ。
私には、ロープが通っていても簡単ではない。
廃版になってからも履き続けている沢靴は大峰アクア。このラバーソールと、ここの岩肌(見た目にはそれ程でも無い)との相性が悪いのか、フリクションが全く効かない。まるで岩の表面に潤滑剤でも塗られているように滑ってしまう。結果、手だけで登るような感じになるが、それではとうてい登れない。
なんとかなんとか頑張るが、足に荷重がかかった瞬間にスコーンと抜けてロープにぶら下がる。1回、2回…5回、6回… 何回やっても落ちてしまう。
う〜ん、休憩しながら考えて、ふと思いつく。最初からやっとけと言われそうだが、フリクションノットを追加し、そこからスリングを伸ばして足にかける。そして、ぎこちない尺取り虫の動きで、ジリジリと登って行く。
やがて、木のあるところに到達。そこから見上げるとロープが引っかかっているところが確認できたが、まだ随分と上だ。さらにあそこまで登るのは厳しいぞと、ロープを持って振動を与えたり、左右に強く振ると、幸いにも引っかかりが外れて回収に成功。
ロープをかけ直して、再びの懸垂で下に降りた。あ〜、めちゃくちゃ疲れた。
次は、F5の下降。見下ろすと、当然ながらの圧倒的高度感。
左岸の樹林帯にある木を支点にするが、スリングとマイロンを使い、スムースに回収できるようにロープをセット。慎重に慎重に事を運んで下降開始。(したつもり)
もちろん、F7~F6以上に不動七重の滝主瀑であるF5の下降はエキサイティング。
曇ってきてしまったのが残念だが、F5の瀑水を間近に感じて楽しむ。
続いて敬語さんも下降。こちらも、F7~F6同様に、途中の棚まででロープ長65mの大懸垂。滝壺までは、さらに落差が残っている。
さあ最後の一仕事、ロープを回収しようと引っ張るが???まさかまさか、あれほど念を入れてセットしたにも関わらずロープが全く動かない。色々と頑張るが、伸びるだけで動かない。
全く以て情けないが、80mもの長いロープが二本繋がっているのが、どういう状態であるのかが理解できてなかったのかもしれない。ロープが長くなると当然のように気をつけねばならない点があるようだ。
もちろん、ロープ登攀で登り返す技術も気力も体力もなく、ひたすら抜けることを祈って頑張るしかない。2時間くらいだろうか、考えられる限りの手を尽くして格闘したが、全くもって活路を見出すことができなかった。
ここに、このように長いロープを残置することに情けなさと申し訳なさで胸が一杯になる。できるだけロープが滝身から離れるように端に寄せて固定し、不動七重の滝を後にした。
このままでは終われない…
敬語さん、どうもありがとうございました。
LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm / F2.8-4.0 ASPH.
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.