2017年9月3日
大峰 前鬼川 沢登り
夏を惜しんで…
一週間前にも来た不動七重の滝にまたやって来た。これで今シーズン三度目。前回、ロープを残置してしまったので、なんとしても回収しなければならない。
道路から遠望でロープを確認しようとするが、あれれ〜という感じで、あるはずのロープがない。望遠レンズを付けたカメラで探すと、たしかにロープの存在が確認できるが、そう言われればあるような気がする程度であり、あまり目立ってなかったことに、少し救われた気がした。
さて、この日の朝はとても寒く、なんかもう晩秋かと思える程に空気が冷たく感じる。過去天気の概況では、「この秋になって一番気温の下がった所が多かった。最低気温が10度を下回った所もあった」と伝えている。
こんなに寒いのに、水がとびきり冷たい前鬼で泳ぐのかと躊躇するのが本音だが、そうも言ってられないので、意を決して三回目の入水。
前回、ともに下降した敬語さん、応援に来てくれたひこさんの三人で、流されるというより必死で泳ぐ。何時ものように前鬼を楽しむなんて余裕はなく、気がついたら不動七重の滝F7の落口。天気が悪くお日さまのパワーが欲しいところ。
私は何時になく着込んで泳いでみたが、それほど冷たさを感じなかったし、水から上がっても大丈夫だった。比較的薄着の敬語さんとひこさんは、ちょっとブルブルしているように見える。
「寒い」と聞くと、もちろん「寒い」と言っていたが、「前鬼でこの感じやったら、普通の沢で10月一杯くらいまで泳いでも大丈夫ちゃう」と聞くと、「いけるんちゃいますか」との答え。
まあ大丈夫であろうが、我々にとって、それが面白いかどうかはまた別の問題なように思う。
今回も不動七重の滝F7の左岸を下流方向に進み、そこからF6下へと60mを一気に懸垂。ロープ回収を考えて、ルートを見極めながら慎重に下降。そして、勝手が分かっている事もあり、懸垂しながらメインカメラで撮影。
F7~F6、強固極まる壁と美しすぎる水が織りなす素晴らしき世界。もう少し光が欲しかったが、美しく圧倒的な景観に酔いしれる。
F6が釜に注ぐ際のジャンプ。
全員が無事下降し、ロープ回収も問題なく終了。一旦乾いた体で大きな壺を泳ぎ渡るのは辛いところ。曇っているので、前回のようなきらめきはなく、寂しい雰囲気が漂う。
F5落口、ここでゆっくりしていると、時たま林道の遠望ポイントに人が現れる。あっちからも見えているのかとか色々と考えていると面白い。それでも、それは本当にまれなことであり、これほどの滝でも見に来る人は少ない。
前回にロープをかけた支点付近を三人で探り、抜けなかった原因を特定。なるほど、そういうことかと納得するが、それを事前に排除できなかったのが問題。そして、考え得る最良の方法でロープをかけ直し、引っかからないように下降することを確認。
そうこうしていると、日が射してきて辺りの雰囲気が一変。水、緑、岩、空、あらゆるものが一斉に輝き出す。
らしくなった不動七重の滝は、まるで眠りから覚めたよう。やはりここは晴れが似合うと感じる。
さあ行こう。眼下に見える連続する壺が、とても美しい。
不動七重の輝く瀑水が、我が身を飛び越えてゆく。普通では体験できないような圧巻の眺め。
激しく拡散する水粒は、分厚く白きベールとなり、極限的な表情を描く。ベールの向こうに見える抜けるような青空と相まって、最高に爽快。
そして、虹というご褒美が浮かび上がる。
滝水に滝風、それをビショビショになって感じる。
ひこさん、敬語さんと続いて下降。二人とも、この時が終わるのがもったいないかのように、ゆっくりゆっくりと降りてくる。
ロープは難なく抜けて、回収作戦が完了。
展望台に上がって、ゆっくりと休憩。続けてF4から下も下降しようかなんて話も出るが、もう光が届かないことを考えて、またの機会に譲ることに。それでも、何か物足りない感が残ってたのか、夏を惜しむように前鬼川で飛び込み泳ぎまくった。
この夏だけで三回も訪れた不動七重の滝。多くの点で、うまく事が運ばなかったからだが、振り返ってみても後悔は全くない。前鬼川と不動七重の滝、そんな苦労を重ねても、対峙するに相応しい素晴らしき地であると思う…
敬語さん、ひこさん、どうもありがとうございました。
LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.