2018年3月24-25日
北アルプス
苦しき先に…
かつて、大峰の岩屋谷を一緒に遡行したS君とひさ〜しぶりの山行。岩屋谷へ行ったのは2008年の夏、苦労に苦労したことが思い出される。あれからもう10年近く経ったのか。
今回は、冬期限定ルートとされる東尾根から爺ヶ岳山頂を目指す。登山口は鹿島山荘裏からということで、ウロウロと探して適当に進み、どこから取り付こうかと、またウロウロ。のっけからズルズルと滑りやすい急登にヒーヒーするが、穏やかな尾根に出て一息。
しばらくすると爺ヶ岳を見上げる絶景が続く。
そして、一等地が空いていたのでテントを張ってまったり。これ以上ないと思えるような最高のロケーション。
夕暮れ時。もちろん、目前のお山には期待できないが、頸城山塊が微妙な色合いになってきて美しい。
あの鮮やかに染まっているのはどこだ。南アルプスかな。
静かな朝。
澄んだ空気の下、徐々に明るく鮮明になってくる。絶景の予感。
そして、僅かに染まり出した瞬間から、あっという間に事が過ぎてゆく。
低い位置からの光が雪面を照らした時の色には、いつ観ても感銘を隠せない。その不思議な美しき色は、止まる事なく変わりゆき壮大なる絵巻を描く。
鹿島槍にまとわりつく雲が光を拡散させ、これまた見事な眺め。
最高潮を過ぎると終息へ。
それではと出発。
ナイフリッジと言われる細尾根となっているところもあるが、トレースに助けられて普通に通過。
最近降っただろう雪のためか、雪面がとても美しい。
どこまでも続くような白き眺めが圧巻。最高と言いたいところだが、どうしたことか体の調子が良くなくて苦しい。
ちょっと霞んでるけど、針ノ木かな。
そして、前に進むことがとても困難になってくる。足がとてつもなく重く、続けて歩けるのは僅かに三、四歩。度々止まっては肩で息をする。
そしてそして、急登で心が折れそうになる。一歩、また一歩、確実に上昇してはいるものの、本当に苦しい。原因がまったくわからないので、さらに苦しさが増す。
主稜線は風がありそう。後少しが遠い。
爺ヶ岳南峰の向こうは立山か。本当に本当に後少し。
ついに、大袈裟ではなくそんな感じで爺ヶ岳中峰へと登り出る。うぉ〜っ、大絶景。素晴らしすぎる眺めが、疲労困憊な体を癒してくれる。
劔のギザギザが凄い。
風がビューッと吹き抜けてゆき、長くは止まっていられない。それがまたアルプスらしい。
鹿島槍まで行きたいが、私には果てしなく遠い。
黒々ととんがってる槍から北ア南部。
珍しく記念撮影。素敵な素敵な山頂だった。
降りは大丈夫と思ったが、登りと同じようになかなか進むことができない。なんとかテントまで降りてきてホッとする。
しかしながら、下山には、まだ長い道程が待っているし、さらに荷物が重くなり負荷も増える。それでも降らないと帰ることができないので、撤収して出発。すると、驚くことにさっきまでの苦しさがまったくなくて、あれれ〜。う〜ん、何故だろうか。
二日ともお天気に恵まれて、とても印象深き山旅となった。苦しかった思い出もあるが、何よりあの壮大なる美しき眺めを決して忘れないだろう…
S君、どうもありがとう!
LUMIX G VARIO 14-140mm / F3.5-5.6