いちばん大切な願い
2016年が暮れようとする頃
堪えがたき哀しみに時が止まる
一歩たりとも動けない 心
とめどなく溢れゆく 涙
まだ 生きている意味があるのか
直ぐに追いかけたい
今すぐ嫁さんを追いかけてゆきたい
堪えがたき哀しみに時が止まる
一歩たりとも動けない 心
とめどなく溢れゆく 涙
まだ 生きている意味があるのか
直ぐに追いかけたい
今すぐ嫁さんを追いかけてゆきたい
どこかのお山に登った時
俺が逝ったら こうこうしてくれ
それを聞いた 嫁さんは 怒ったように
何言うてんの
私より 先に逝ったら 許さへんで
私の方が 先やから
私こそ そうしてや
俺が逝ったら こうこうしてくれ
それを聞いた 嫁さんは 怒ったように
何言うてんの
私より 先に逝ったら 許さへんで
私の方が 先やから
私こそ そうしてや
何故 そんな話になったのか 思い出せないが
それは ないやろと
まともに相手にしなかった あの日
それは ないやろと
まともに相手にしなかった あの日
あれから 幾年か経ち
まさか 私より先に
そんなこと
受け入れられるわけがない
まさか 私より先に
そんなこと
受け入れられるわけがない
ボロボロになりながら
ありがとう
ほんとうに ほんとうに ありがとう
ただ それだけを 繰り返していた
ありがとう
ほんとうに ほんとうに ありがとう
ただ それだけを 繰り返していた
あまりに 見ていられないような姿だったのだろう
私より 哀しいはずの娘が 呟く
おとうさん 大丈夫やで
私が おかあさんの代わりになってあげるから
水色
何時の頃からか 盛夏は 泳ぎを楽しむようになった
滝見を楽しむのが 目的なら
泳ぐこと それ自体も 目的になってゆく
滝 沢
原始の香り 色 営み 等々
大自然が切り開いた道は 何処までも続いているよう
降り注ぐ 木漏れ日に歓喜し
深く透明な冷たい水に 脳みその芯まで 洗い流してもらおう
分かち合った 夢のような 瞬間
いつまでも いつまでも 続いてほしい
夏山
それほど 足を向けることは なかったが
大峰はもちろん 北ア 南ア 八ヶ岳 白山 など
これらの山行も かけがえのない タカラモノ
雪山
もちろん 甲乙付けるようなものではないが
嫁さんが 最も愛したのは
白きお山だったかもしれない
大峰
何処へ行こうとも
二人の想いは ここにあったと思う
紅葉
短い秋を追いかけたことは
その色彩以上に鮮やか
高峰
雪の高山にも足を運んだ
嫁さんは 沢でもそうだったが
高度感のある際どいところも 丁寧で確実な足取りで進み 何の心配もない
大峰のような静かさとは違ったが 荘厳な景観に抱かれ とっておきの場所を見つけることができた
前鬼
そこは 美しい紀伊の沢の中でも
とびきりに美しく とびきりに冷たく とびきりに癒されるところ
そして 嫁さんの とびきりのお気に入り
霧氷
儚き夢の世界
それに初めて 打ちのめされたのは 2010年1月の明神平
嫁さんと 初めて 雪のお山でテントを張ったのも この時
あれ以来 ずっと二人で追いかけて来た 儚き夢
これからも 追いかけてゆこう
弥山
嫁さんはもちろん 私にとっても 特別なお山
大峰の中でも ひときわ冷たい空気 ひときわ多い雪 ひときわ分厚い霧氷
どれだけ寒くても ここにいると いつも暖かだった
私より 哀しいはずの娘が 呟く
おとうさん 大丈夫やで
私が おかあさんの代わりになってあげるから
新雪
嫁さんと初めて踏跡のない雪のお山を進んだのは 釈迦だったと思う
それは 二人で一生懸命に歩いた 忘れられないお山
二人でといっても 重い私は なかなか進めず
嫁さんが 何時も雪山でルートを刻んでくれるのは この時から既に決まっていたのかも
山頂まで届かないと思ったけど お山は 二人に微笑んでくれた
このお山も 嫁さんが愛したお山
嫁さんは 殆ど山頂というものに拘りが無かったが
この時ばかりは 大粒の涙で頬を濡らし
娘に向かって大声で呼びかけた
それから 何処へ登っても 娘に呼びかけることを忘れず
それもまた この時に決まったように思う
豪雪となった 2011年 冬の大峰
それは 聖宝ノ宿 理源大師さまが 全く見えなくなるほどで
弥山にも稲村にも達することができず 果てしなく遠いように感じた
それでも はっきり言って 山頂など二の次
二人で この白き世界に包まれているだけで 限り無く幸せだった
そればかりか 汚れ無き雪面に刻んだ幾本もの軌跡は 二人にとって かけがえのないもの
理源大師さまへの挨拶を試みて
まだ 山頂の展望台の手すりより高い程に雪があったが しまった雪質に助けられて稲村に登頂
3月 ひな祭り寒波がやってきて 大峰は また冬景色
明星から八経へと続く稜線
立ち枯れを覆い尽くすような霧氷に歓迎され スノーシューで新雪を踏みしめる
そして 二人して 同じ事を想っていた
2012年も新雪をかき分ける
冬の大普賢
夏のルートが雪に覆われれば 現れるのは 素晴らしき一面の雪壁
ここを辿ったあの日も まるで昨日のことのよう

嫁さんと初めて踏跡のない雪のお山を進んだのは 釈迦だったと思う

それは 二人で一生懸命に歩いた 忘れられないお山


二人でといっても 重い私は なかなか進めず
嫁さんが 何時も雪山でルートを刻んでくれるのは この時から既に決まっていたのかも




山頂まで届かないと思ったけど お山は 二人に微笑んでくれた
このお山も 嫁さんが愛したお山
嫁さんは 殆ど山頂というものに拘りが無かったが
この時ばかりは 大粒の涙で頬を濡らし
娘に向かって大声で呼びかけた
それから 何処へ登っても 娘に呼びかけることを忘れず
それもまた この時に決まったように思う


豪雪となった 2011年 冬の大峰
それは 聖宝ノ宿 理源大師さまが 全く見えなくなるほどで
弥山にも稲村にも達することができず 果てしなく遠いように感じた


それでも はっきり言って 山頂など二の次
二人で この白き世界に包まれているだけで 限り無く幸せだった

そればかりか 汚れ無き雪面に刻んだ幾本もの軌跡は 二人にとって かけがえのないもの

理源大師さまへの挨拶を試みて


まだ 山頂の展望台の手すりより高い程に雪があったが しまった雪質に助けられて稲村に登頂

3月 ひな祭り寒波がやってきて 大峰は また冬景色
明星から八経へと続く稜線
立ち枯れを覆い尽くすような霧氷に歓迎され スノーシューで新雪を踏みしめる
そして 二人して 同じ事を想っていた

2012年も新雪をかき分ける
冬の大普賢
夏のルートが雪に覆われれば 現れるのは 素晴らしき一面の雪壁
ここを辿ったあの日も まるで昨日のことのよう










水色
何時の頃からか 盛夏は 泳ぎを楽しむようになった
滝見を楽しむのが 目的なら
泳ぐこと それ自体も 目的になってゆく




















滝 沢
原始の香り 色 営み 等々
大自然が切り開いた道は 何処までも続いているよう
降り注ぐ 木漏れ日に歓喜し
深く透明な冷たい水に 脳みその芯まで 洗い流してもらおう
分かち合った 夢のような 瞬間
いつまでも いつまでも 続いてほしい

















































































夏山
それほど 足を向けることは なかったが
大峰はもちろん 北ア 南ア 八ヶ岳 白山 など
これらの山行も かけがえのない タカラモノ


















雪山
もちろん 甲乙付けるようなものではないが
嫁さんが 最も愛したのは
白きお山だったかもしれない































大峰
何処へ行こうとも
二人の想いは ここにあったと思う












紅葉
短い秋を追いかけたことは
その色彩以上に鮮やか














高峰
雪の高山にも足を運んだ
嫁さんは 沢でもそうだったが
高度感のある際どいところも 丁寧で確実な足取りで進み 何の心配もない
大峰のような静かさとは違ったが 荘厳な景観に抱かれ とっておきの場所を見つけることができた





























前鬼
そこは 美しい紀伊の沢の中でも
とびきりに美しく とびきりに冷たく とびきりに癒されるところ
そして 嫁さんの とびきりのお気に入り




霧氷
儚き夢の世界
それに初めて 打ちのめされたのは 2010年1月の明神平
嫁さんと 初めて 雪のお山でテントを張ったのも この時
あれ以来 ずっと二人で追いかけて来た 儚き夢
これからも 追いかけてゆこう


















弥山
嫁さんはもちろん 私にとっても 特別なお山
大峰の中でも ひときわ冷たい空気 ひときわ多い雪 ひときわ分厚い霧氷
どれだけ寒くても ここにいると いつも暖かだった






























一緒に歩んできた 長い道程を振り返れば
それは その瞬間に感じていたよりも 輝いていた日々
それは その瞬間に感じていたよりも 輝いていた日々
巡り逢う季節の中で
鮮やかに彩る景色を 一緒に 見たい
まだ 知らぬ景色を 一緒に 見に行きたい
鮮やかに彩る景色を 一緒に 見たい
まだ 知らぬ景色を 一緒に 見に行きたい
もっと 聞きたいことがある
もっと 話したいことがある
もっと 話したいことがある
さわやかな風になれば 嫁さんに触れることができるだろうか
可憐に咲く花になれば 嫁さんと話すことができるだろうか
儚き雪になれば 嫁さんを包むことができるだろうか
流れゆく水になれば 二人の場所に行くことができるだろうか
可憐に咲く花になれば 嫁さんと話すことができるだろうか
儚き雪になれば 嫁さんを包むことができるだろうか
流れゆく水になれば 二人の場所に行くことができるだろうか
目覚めるたびに 溢れる想いが 増えてゆく
もし 同じように感じているなら そっと 教えてほしい
嫁さんを蝕んだ病は 思ったよりやっかいだった
そして その進行の早さは 想像を超えた
自分のことでもないのに 自信満々で高をくくり
ベストを尽くしたつもりだったが
それは 大きな 大きな 間違いだった
そして その進行の早さは 想像を超えた
自分のことでもないのに 自信満々で高をくくり
ベストを尽くしたつもりだったが
それは 大きな 大きな 間違いだった
そんなものに負けるはずが無い
私の頭の中には 勝利以外の考えは無く
事実
それを 疑うことはできなかった
嫁さんの全てを わかっているつもりだった
私の頭の中には 勝利以外の考えは無く
事実
それを 疑うことはできなかった
嫁さんの全てを わかっているつもりだった
現実を突きつけられた私は
完全に魂が抜け
無念と後悔にさいなまれた
誰かのために生きた 嫁さん
どうして守ってあげることができなかったのか
完全に魂が抜け
無念と後悔にさいなまれた
誰かのために生きた 嫁さん
どうして守ってあげることができなかったのか
娘に残した 最後の言葉は とても とても 力強かった
自分の信じるとおりに生きるんやで
自分の信じるとおりに生きるんやで
娘は
精いっぱいの気持ちで 自分の想いを伝える
おかあさ〜ん
世界でいちばん好きやで
精いっぱいの気持ちで 自分の想いを伝える
おかあさ〜ん
世界でいちばん好きやで
幸か不幸か 年末年始の時が止まるとき
娘と私は
嫁さんに寄り添って数日間を過ごすことができた
お別れの会の準備など 全てをこなしてくれた娘は
何時の間に こんなに鍛えられたのだろう
その しっかりとした様子を見ていると
まさに 嫁さんの生き写し
おとうさん 違うよ
おかあさんは
わたしたちの心の中に ずっと一緒に生きてるよ
そうや 二人で交わした約束は 消えることは無い
二人の願いが 消えることは無い
これからも
かけがえのないものを
たったひとつでも ひとつずつでも
重ねてゆこう
これからも
ずっとずっと 一緒に 歩いてゆこう
嫁さんを想う 胸の奥の震えが 止まることは無い
娘と私は
嫁さんに寄り添って数日間を過ごすことができた
お別れの会の準備など 全てをこなしてくれた娘は
何時の間に こんなに鍛えられたのだろう
その しっかりとした様子を見ていると
まさに 嫁さんの生き写し
おとうさん 違うよ
おかあさんは
わたしたちの心の中に ずっと一緒に生きてるよ
そうや 二人で交わした約束は 消えることは無い
二人の願いが 消えることは無い
これからも
かけがえのないものを
たったひとつでも ひとつずつでも
重ねてゆこう
これからも
ずっとずっと 一緒に 歩いてゆこう
嫁さんを想う 胸の奥の震えが 止まることは無い
I will love you longer than forever