2009年10月31日-11月1日

三重県 大台町 大杉谷


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悠久の流れ・・・

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初めて入った大杉谷、悔しい敗退の帰り道、脳裏をよぎるのは早くもリベンジの計画。今度は上から降ってみよう。1200m程高低差があるが、七ッ釜滝までなら下から堂倉滝まで往復するよりも短く、時間的には余裕がありそうに思える。


散策を楽しむハイカーに交じって大台ケ原駐車場から出発。周回路は、すっかり紅葉が終わってしまったようで、ちょっと寂しい雰囲気。


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輝く海が見えると直ぐに日出ヶ岳山頂。今日は前回と違い雲一つない青空が広がっている。


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ここからは、シャクナゲ坂の急坂を降っていく。その名の通りシャクナゲがいっぱいで、季節には花で埋め尽くされるのだろう。途中の分かれ道を直進し粟谷小屋へ寄って、前に流れる豊富な水を確認。


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粟谷小屋

林道を少し歩き堂倉避難小屋にも寄る。単独行なので帰りのことを考えて万全を期した。


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堂倉避難小屋

そして、いよいよここから大杉谷への降り、こちらの関門は容易に突破、さらに急勾配になる道をどんどん降りていく。


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谷が近くなり西谷沿いの道を少しでひん曲がった吊り橋と堂倉滝が見えてきた。


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評判のような迫力はそれほどでもないと感じるが、その流身と広がる釜の水が美しい。周りの紅葉はやや盛りを過ぎてしまっているようだ。


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堂倉滝吊り橋を慎重に渡り、直ぐにもう一本堂倉吊り橋を左岸へと渡る。


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美しい流れを見ながら進んでいくと対岸の支流から与八郎滝が注ぎ込んでくる。落差70mらしいが、ここではかなりしょぼく見えてしまう。


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次の吊り橋は、隠滝の深く大きな釜を越えていく。


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そして右岸の急な道を進んでいくと、下にワイドに広がる流れが見え、「なんと素晴らしい」と思っていると道が不明瞭に、崩れた斜面を降りるとさっきの広がる流れは光滝の下部だった。


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上部から逆光線が差し込み眩しいが、物凄い迫力で圧巻。40mとは思えない堂々とした姿で、岩盤を滑る水の一部が砕けて吹き上がっている。


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この先少しで道が不明瞭になり、砂利の堆積した河原に降りると谷は穏やかな表情、透明極まりない水が本当に美しく、ようやく届き出した光が、その美しさをいっそう輝かせている。


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しかし、前方に見えてくるのは、ちょっとありえないような眺め。高いところから山を大きく削った岩なだれが谷を埋め尽くしている。そして、美しい水はこの崩壊の底に吸い込まれていく。


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近付くと、目の前はとてつもない大岩、隙間を潜ったり、つっぱりでの登り降りで崩壊地を越えた。


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右岸に復活した道を拾い、鎖の付いたルートを慎重に進む。


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七ッ釜吊り橋から上流方向

またまた穏やかな美しい流れを見ながら歩いて七ッ釜吊り橋、左岸に渡ると七ッ釜滝への急な降り、深い谷に付けられた急傾斜の道が大きなスケールの中に続いている。

七ッ釜滝の展望地には立派な東屋があり、ゆっくりくつろぎながら撮影、期待した以上に水量があり、その整った姿は、やはり絵になる風景。


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この東屋で泊まるのもよいかもと思ったが、あまりに時間が早いので、やはり戻ることに。左岸の道を巻き登って行くと、雨になるという予報通りだんだんと曇ってきた。


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下流側から見る崩壊地

谷がしっとりとしてきて、光滝の辺りでは全く違った雰囲気を見せてくれる。燃えるようにとはいかないが、節度のある紅葉と滝の白さが織りなす美しさも格別。


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行きも帰りも泊適地を探したが、良さそうな場所がなかなかない。寝れそうなところはいっぱいあるが、増水時はどこもやばそうだ。


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堂倉滝まで戻ると重そうな雲が早く流れ、今にも降り出しそうになってきた。西谷を少し遡ってテントを張るか悩んだが、大雨の撤収も辛いので避難小屋まで登り返すことに決定。


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登って行く途中、大きな滝が見える。

急坂をいつになく速い足取りで登り、暗くなる前に粟谷小屋に到着。水を汲んで堂倉小屋へトボトボと歩いていると、上から団体さんが降りてきてびっくり、粟谷小屋に泊まるみたいだ。


避難小屋での夜は、ある意味テントより不気味。寝苦しい夜が明けると雨どころか何故か良い天気。出発して粟谷小屋へ水を補給に行くと、たくさんの人が体操したり小屋の方と挨拶を交わしている。予約制とのことだが、昨夜はかなりの人が泊まっていたみたいで、粟谷小屋は今でも元気そう。


さあ帰ろう。覚悟した雨ではなく、今日も絶好の天気。素晴らしい青空に迎えられ日出ヶ岳に登り返した。


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日出ヶ岳はもう目の前。

大自然の猛威は、巨大な谷を埋め尽くし、大杉谷の姿を変えてしまったとも言われる。しかし、歩いて感じるのは、それをものともしない大自然のさらなる力。悠久の時を越え流れ続ける姿がそこにあった。


美しい水と躍動する滝、そして深くえぐられた大きなスケールの谷は健在。大杉谷が一般道として復活するのを祈るばかりだ。




撮影機材

PENTAX K-7
smc PENTAX DA18-55mmF3.5-5.6AL WR
smc PENTAX DA50-200mmF4-5.6ED

Panasonic Lumix DMC-FT1


6 コメント

  1. ヒロ

    単独行、お疲れ様でした。
    この時期はドボンすると辛いので慎重に行かなければなりませんね。
    それにしても恐ろしいような崩壊地ですね。
    美しい水と対照的な荒廃した風景ですね。
    自然の猛威を感じます。
    天候には恵まれたようで良かったですね。
    しかし、相変わらず行動力があって素晴らしいですね。
    冬眠中の私はただただ脱帽です。

  2. パンダ

    ヒロさん

    寒波襲来で寒いですね。
    今週末は雪もありそうだし、アイゼンでの歩行練習でもと思っていましたが、どうかなあと考えています。

    当日は軽くドボンしてしまいました。
    ほとんど濡れるようなところはないのですが、一ヶ所徒渉が必要なところがあり、浅いと思って渡ったら見事に靴の中まで浸水しました。上から見てるだけでは水深は分かりにくいですね。

    最近、仕事が忙しかったり、他にもMac関連のトラブルと格闘が続いたりで外には行けていません。そんなわけで私も冬眠直前状態です。

  3. ふぇるめーる

    パンダさん
    紅葉のいい時期に力のこもったレポを拝見し、改めて自然の凄さ、危険な道中のご苦労をお察しいたします。
    お写真を拝見いたしますに幸い、7つ釜や光滝は以前のままのすばらしい景観ですね。
    数万トンを超える崩壊の現場、そして谷の紅葉と静謐さ感無量といった風情です。

    日本で2番目くらいの多雨地域の自然に畏怖すら感じます。

  4. パンダ

    ふぇるめーるさん

    崩壊地は凄まじい状況ですが、滝はもちろん全体的にも素晴らしさは変わらないのではと感じました。
    今月号(2010/01)の「山と渓谷」に環境問題という視点から大杉谷の詳しいレポが載っています。今後の展開等も含め興味深い内容だと思います。

    氷の風景の季節がやってきますね。氷瀑の出現に期待したいところです。

  5. nikkor14d

    こんにちわ!
    ブログ参考にさせていただき、堂倉滝までですが行ってきました(^o^*)/
    夏になったらまたトライしたいと思ってます。
    ありがとうございましたm(_ _)m

  6. パンダ

    nikkor14dさん

    コメントをいただいていたのになぜか止まっていたようです。申し訳ありません。

    ブログ拝見しました。
    私が行った時と違い、登山道を彩るシャクナゲや新緑が美しいですね。楽しませていただきました。

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