2011年1月22-23日
奈良県 大峰山脈

あまい考え・・・
お正月に行けなかった明神平でゆっくりしようと家を出発したが、車を走らせていると思ったより天気がいいみたい。こんな日は、大峰も微笑んでくれるかも、気がつけば、母子堂の駐車場に来ていた。予定外だからか、いつものことか、ゆっくりと10時30分にスタート。
思った通りトレースがあって、それを辿って進んでいくが、そもそもトレース頼りの安直な考えが通用するわけがない。やがて雪が多くなり、登山道を跨ぐように雪崩まで発生していた。
壊れかけたトタン小屋を過ぎると自然林となり、美しい眺めに変わっていく。
ここからは、斜面の傾斜も急になり、ちょっといやなトラバースが続く。トレースがあるので、特に問題ないが、それでも雪が多く、ペースは遅い。
やがて、男女二名のパーティが降りてきて、「小屋までもとても無理」と言って下山して行った。その後も、次々と戻ってこられるが、皆さんダメと言って、どうも疲れてる様子。
そして、「もう少しやから頑張って」と最後だという方から声をかけられるが、全くもう少しではないところで、突如トレースが消えた。
この時点で14時20分、ラッセルラッセルでじりじりと進んでいくが、深雪はもちろん、滑落の危険がある急斜面ばかりで気が抜けない。尾根に乗れないかと試みるが無駄な努力。先を目指して際どいトラバースを続けるしかない。
橋が落ちている例のポイントを鎖を掘り出したりしてようやく越え、さらにラッセルを続けるが、時間の進行と進む距離のギャップがどんどん大きくなってくるような気がする。
このまま進んでいても急斜面の途中で日が暮れかねない。非常に残念だったが、山上辻に行くのを断念。
なんと安易で愚かな考えだったのか。小屋までは、楽勝だと思っていたが、大きな間違いだった。しかたがないので、自分たちの付けたトレースを戻り、ちょっとした小場所を見つけてテントを張った。
朝になるとガスに覆われていて、天気が良くない。テンションも上がらず、もう下山するつもりでまったりと過ごしていた。
ところが、ガスがだんだんと晴れてきて青空まで覗いてきている。やっぱり上に行こうと慌てて準備するが、後の祭り。またまた9時30分と遅いスタート。そして、昨日のトレースを伸ばせばいいものを、気になっていた尾根筋からいってみようと稜線に向けて伸びる小尾根に取り付いてしまった。
テントを張るところを探すのに少し登っていたので、なんとなく行けるような気がしていたが、直ぐに傾斜がきつくなってくる。おまけにワカンを付けていてもズボりまくりで、夏道を行くよりさらに悪い。それでも白い木々と青空の織りなす眺めが素晴らしく、さらに上が見たくなり必死で登っていく。
雪に埋もれながらも登っていくと稲村と大日の雄姿が見えてくる。でも、それはまだまだ遠く、とてもとどかない。せめて稜線まで上がろうと、重いザックをデポして、最後は空身で登っていく。垂れ下がった枝を潜り、ズボったらワカンが根っこに挟まる。
四つ足歩行を駆使して急傾斜を這い上がり、深雪をかき分け、ようやく稜線に辿り着いた。そこは、もっこりと厚化粧した木々に埋め尽くされた不思議な景観が続いていた。
時計を見ると12時前、もういい、もう十分がんばった。なんとなく、ちょっとした達成感すらあって、それは、嫁さんも同じように感じているらしく、すがすがしい表情をしていた。
大雪に覆われた今シーズンの大峰、深雪を越えた先には何があるのだろうか。それへの挑戦は、まだ始まったばかりかもしれない・・・
撮影機材
Canon PowerShot S95
Panasonic Lumix DMC-FT2
空の青と雪の白さ、美しいですね。
とんでもな雪と、それも予定外に格闘されてる姿
羨ましい限りです、いいなー:-)
純白ですね~☆☆☆
今冬の雪は本当に手強く特に降雪後は「手に負えない。」って言葉がピッタリだったんじゃないでしょうか?
中でも稲村ヶ岳は急斜面トラバースが続く困難なルートと思います。
良くココまで登られましたね!
流石です。
この白い世界が素晴らし過ぎ!!!
たぶん結果論になりますが、夏道トラバースを続けた方がよかったと思います。何故なら一度踏まれたところは、さほど沈まない可能性があるから。
・・・ん~でもその(踏まれたことのある)ポイントを辿れるかどうかは難しいですが。
ところでラッセルは交代でなされるのですか?
ピッケルの使い方からして奥様は、タダモノではないような気が。
今晩は~
先日の稲村ヶ岳はありがとうございました。
あの時の記事かと思ったら、どうも雪の量が違う・・・?
と思ったら、1ヶ月前の話があったのですね。
写真の様子からすると、雪がほんと多いですね。
でもそれにチャレンジする気持ちが凄いです。
来週はまた寒波がきそうです。
また雪山が呼んでいる~ ですね。
nikkor14dさん
たしかに予定外で、無理もありましたが、雪とたわむれて美しい景色に出会えたので、よかったです。
心の底では、リベンジを誓ってましたが・・・
すぎちゃんさん
小屋まではトレースがあって、とりあえずそこまでは行けるだろうと、ちょっと安易に考えすぎていました。
稲村も雪が多いと難しくなりますね。際どいところのトラバースは、最終的にカニ歩きで行くしかないですが、それなりに長いので、気持ちを持たせるのがポイントかもです。
とにかく行き当たりばったりの突貫になってしまいましたが、ある意味有意義だったかと思っています。
臆崖道 さん
たしかに夏道をそのまま行った方が、結果的にはよかったと思います。でも、いやになってしまってたのと、尾根筋から行ってみたいという・・・ 失敗でした。
嫁さんは、タダモノですけど、交代でラッセルしてもずっこけまくりの私なんかより、軽いし身のこなしもよいしとなくてはならない戦力です。
tekapoさん
稲村では、こちらこそありがとうございました。
この頃は、まだまだ雪が増えている時で、かな〜り大変でしたが、雪が減ってきた今から思い返すと、こんなに素晴らしいシーズンもなかったのではないかと思います。
また寒波が来るらしいのは、本当に楽しみです。
白一色に染まってほしいです。
最後のパンダ顔ツーショット
思わずモニターに拍手しましたw( ̄ー ̄)
いーじゃないすか、見方によれば無意味な尾根越え
それもお二人には達成感
登山なんて、そもそも、そんなモノかもしれませんよね
お疲れ様でした♪
スロートレックさん
たしかにたしかに、
山で大雪とたわむれる、こんな贅沢なことはありませんし、それでええやんと思います。
今シーズンの大雪には苦しめられましたが、それ以上に楽しませてもらった感が強いです。
でも、悔し〜いのもたしかなんですよね〜