2012年8月13日
三戸川 北又谷
獣の感覚・・・
天気の悪いお盆休み。紀伊半島南東部なら大丈夫かもとR169をもとなかさん号が南下していく。七色貯水池を見て三重県に入るが、さっきから降り出した雨は、弱まらない。
目的の谷は諦めて、空が明るい東を目指してどんどん走る。尾鷲辺りまで来ると雨も降ってなくてひと安心。さらに北上して、ようやく辿り着いたのは、長島の三戸川、宮川第一発電所近くの北又谷出合。
ところが、晴れ間の覗く空からまたまた雨が降ってきて、目指す北又谷を見るとガスに覆われている。しばし悩むが、もう選択肢もないので、とりあえず行こうとゲートを越えて舗装された林道を歩いていく。
林道が九十九折になり、木々の間から目指す大滝が見えてくる。下にも滝があり、その間は、かなり急峻なように見える。
二股近くまで来ると、崩壊気味で道がはっきりしなくなる。
見ると右股に立派な滝があり、滝屋の習性でふらふらとその滝に近付いていってしまう。
この滝を右岸から巻くが、後で敬語さんが、「沢登りではなく岩登り」と言ったように、ちょっといやらしいところを登って行く。
さらに遡行を続けるが、沢が開けて平流になってくるしで、どうもおかしい。地形図を確認すると、先へ進むと急な壁があり、そこかもしれないが、左股は、もっと近くに急な壁がある。もとなかさんが、「秘瀑」に左股て書いてあったような気がすると言うが、私は全く記憶に無い。
そんなこんなで、どうするか考えていると、左股を偵察に行ってくれていたひこさんが戻ってきて、「滝が続いてる〜」。で、二股近くまで下降して仕切り直し、崩れてて分からなかったが、左股には、不明瞭ながらまだ道が続いていて、最後は、朽ちた梯子を登ると大滝が現れた。と言いたいが、巨漢の私は、梯子を登るのが恐いので、横から登った。
例によって上の方は良く見えないが、なかなかの美瀑で、落ちていく水が、最後に作るカーテンが殊の外美しい。
川崎実さんの「秘瀑」によると、「この滝は右岸を大きく回り込むように巻いていく。思い切りが肝心だ。獣の感覚になれば、先行する獣の歩いた跡が見えてくる。」とある。
ところが、右岸の小尾根に乗って登っていき、滝頭へ近付くための獣の歩いた跡を見極めようとするが、それは全く見えてこない。立った壁が続いていて、簡単には近づけそうにない。どこかにルートがあるのだろうか。
地形図を見ると、この小尾根を傾斜の緩むところまで登り、そこからなら谷へ戻れそうだし、上の大滝の少し手前な感じだ。皆に「もっと上へ真っ直ぐに登ろう」と声をかけ、四足歩行でひたすら登っていく。
傾斜が緩み、北東へと向きを変えると、直ぐに川床が見えてきて、横に流れる支流の滝がとても美しい。
支流沿いに降りると、予想通りに開けた空間にワイドな壁。そこから大滝が落ちていた。
帰りは、巻き上がってきたルートをズルズルと降って下の大滝の前で休憩。ヘルメットを脱いで顔を洗うと、すごく気持ちいい。左岸に続く道を降り、途中にある湧き水で喉を潤す。
そのまま降って対岸に渡ると道が続いていて、二股が見えるところに出てきた。行きは、ここから右股の滝に行ってしまったのが失敗。
ふと気づくと、頭にあるはずのものが無い。さっき顔を洗ったところに忘れてきたようだ。
「僕が取ってきます」と元気な敬語さん。そこへ、もとなかさんが、「一人で行かすわけにはいかないと」二人で競うように大滝へと駆け上っていってくれた。たちまち戻ってきた体力自慢の二人の勝負は、今回は、もとなかさんが制した。今シーズンの思い出一杯のヘルメットが帰ってきた。本当にありがとう。
それにしても、下の滝の巻きは、大変な大高巻きだった。林道を歩きながら「まだまだあまいな。獣になられへんかったな。」と呟くと、敬語さんが、「いやいや獣になるというのは、四つん這いになることとちゃいますか〜」と言う。おぉ〜、そうか、そういうことにしておこう・・・
敬語さん、ひこさん、もとなかさん、どうもありがとうございました。
撮影機材
Panasonic Lumix DMC-GH2
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
Panasonic Lumix DMC-FT3
獣と沢屋さんの凄さを再確認出来た日でした。
滝前でスヤスヤ眠る敬語さんがブヨ被害なしとゆう事には
まだ納得がいかないですが、良い滝行でした。
自分の写ってる写真を見るとトレーサーヘルメットは
やはり少し全体的に張り出しが大過ぎ感がありますね。
エルキャップ欲しいです。
ありがとうございました。
また明日も。もう今日か。よろしくお願いします。
ありがとうございました!
中々厳滝…しんどかったです。
まだまだ、沢靴に慣れていなくてこけまくりですが、少しずつ歩き方がわかってきたように思います!
これからもよろしくお願いします!
ほんまに紀伊半島の沢に入られると生き生きされると申し上げましょうか?
気持ちが他の場所と違うってダイレクトに伝わってきます。
今年の沢シーズンももう少し、行けるだけ行って下さい。
もとなかさん
人の踏み跡、獣の歩いた跡、見極めるのは難しいですね。でも、あそこには、そんな形跡は全くなかったような気もします。
ニューヘルメット楽しみです。
敬語さん
あっ、ひこさんがうまく命名したのを忘れてました。
本当に中々厳しい巻きでしたね。
ゴム底もいいですよ。
すぎちゃんさん
はい、たしかに紀伊の沢に行くと、他とは違う自分がいるような気がします。
厳しいことや、面白いことや、勉強になることなどなど、まだまだ終わらないです。