2012年8月16日
上多古川 大栃谷



滝滝滝〜


PHOTO GALLERY


ひこさん号を伊坪谷出合にデポして、私の車で奥へと進むと林道が完全に崩壊していてアウト。しかたがないので、適当なところに駐車して、今回も林道歩きからスタート。

大滝が見えるあたりから上多古川へと下降。パズルを解くように対岸へと渡ると、二条の滝が落ちる大栃谷出合。



右から巻き越えて大栃谷に入っていくと、直ぐに二条の滝。上には、巨大な滝がもう見えている。



左寄りの壁を登って大滝の前に立つと、高くから落ちてくる姿が、最高にかっこいい。



今日は、良い天気で大滝を中心に全てのものが輝いている。





右岸の大きなテラスの上に乗ると、あまりの気持ちよさに長居をしてしまった。

まだまだ先は長い、頑張っていこうと左岸より巻きにかかる。水が流れるルンゼ状のところを登って、行けそうなところをトラバースすると、うまく落ち口に出た。



上流に続く滝は、虹を架けて輝いていた。





行けるかもと、ひこさんが偵察がてら登っていくが、上にはつるつるの岩を滑る斜滝が続いているらしい。あきらめて左岸から巻いていく。



次の光が透過する滝も最高の美しさ。生憎ワイヤーが垂れていて、残念だったが、二人で一生懸命引っ張って端っこへと追いやった。









どっちからどう巻いたか覚えてないが、ピタリと落口に出られるのが気持ちいい。




また直ぐに次の滝。



これを越えるとまた大滝。



また一生懸命巻いて、ピタリと落口へ。



ようやく滝が切れて、しばしの沢歩き。滝の前を横切るだけで、全く水と戯れることなく巻き登ってきたので、本当にほっとする。森も最高の輝き。





しかし、長くは続かず、前方に滝が見えてくる。



連続して落ちていく見事な滝だが、途中に倒木が詰まっている。滑りそうな岩盤の上には、いい撮影場所がなく、ここしかないという感じで、その倒木の上に登り、なんとか撮影。どこかサスケ滝を思わせる見事な姿。



右岸から巻いていき、上に続く連瀑も一緒に越えていく。





ミニミニゴルジュのようなところを直進すると、突き当たりには、美しい流れが見事に合わさる。





右から落ちる二条滝を越えると、これまた素晴らしい絶景空間。聳立した壁から飛び出した水が、美しく広がり滑り落ちてくる。







大きな滝音が谷に響き渡るが、曇ってきた空模様とも相まって、ひっそりとした雰囲気に満たされていた。



下段を登って上段に近付くと、覆い被さってくる姿が圧倒的。





両岸高く、突破は簡単ではなさそう。右岸の壁際を登っていくと、その先にも壁が立っていて、右岸壁との間で浅いチムニーとなって上に続いている。

途中まで登ってみるが、支点がとれそうになく、なんとも微妙。登れそうだが、落ちると下まで転げて行きそうで、ちょっとやばい。よく見ると、汚れまくって朽ちたような残置スリングが見える。そこには、ハーケンも残置されているのだろうが、信頼できるかどうかは分からない。壁に張り付いて疲れてきたし、やっぱりしっかりした支点がないと危ないと判断し、断念。ひこさんも取り付いてみるが、やはりダメと降りてきた。

この滝の右岸巻きは、幾つか読んだレポでは、「垂壁をモンキークライムで登る」と書いてあったような気がするが、ここには、モンキークライムができるような木がないし、どうも違う感じ。

それでも、ここまで登ってきたしで、あきらめきれずに、今度は左の凹角に活路を求めてしまう。途中で右へ振って支点を取り、また左へ戻って、僅かに一本だけ生えている頭上の頼り無い灌木に、体をズリ上げて二つ目の支点をとる。

あと5mくらいか、太い木がある所まで行きたいが、手がかり足がかりに乏しい。おまけにブヨとアブの総攻撃を受け、どうにもこうにも大変。しかたがないので、支点をとった灌木に足を乗せてゆっくりと体重を乗せると、バキッと音がしてびっくり。ここで落ちたら、この支点は絶えられそうにないし、下の支点で止まっても軽いひこさんは、巨漢の私に引っ張られて、吹っ飛ぶかもしれない。

無理は禁物、あきらめて、上段の下まで懸垂で降りていく。下段まで降りずに、そのままトラバースして回り込むと、下から伸びてきているところにうまく着いた。なるほど、ここも垂壁だが、手がかりが一杯あって簡単。

そんなこんなで、ようやく落ち口に立つことができたが、大幅に時間を食ってしまった。



前方には、また直ぐに高い壁から一直線に水を落としている滝。ひこさんが、雨具を着ているのは、別に寒いわけではなく、めちゃくちゃ暑いのだが、ブヨ、アブ対策。



前衛の滝下から見る姿も美しく、これが最後の大滝か。



その前衛滝を越えて大滝下に行くと、これはどう見ても白傘の大やということで、ひこさんと意見が一致。白傘よりも高く、前方への落下距離も遠く、どうやと言わんばかりに水を噴射している。







左岸ルンゼより巻きにかかるが、時間も押してきてるしで、地形図とにらめっこ。ひょっとして滝を巻かずに勝負塚山へと直登できるかもしれない。

ルンゼを詰めると、小さな滝がかかる壁になっていた。この壁沿いを右へと少し登り、ここから伸びる尾根に取り付くと、うまく勝負塚山へと登り着いた。



時刻は、17時。もう闇下山必至なので、通信を試みるが、繋がりそうで繋がらない。ようやく、ひこさんのドコモがメール送信に成功した時には、30分も経っていた。

伊坪谷へと降っていく尾根は、明瞭で問題ないように思えたが、植林帯に入るとジグザクを切った道の上に伐採した木が被さり、だんだんと不明瞭になってくる。暗くなると、ますます分かりにくく、何度も道を外して、その度に戻って修正。伊坪谷沿いの水平道も取水施設に降りて行くところが、ちょっとややこしかった。

それでも、無事出合にかかる橋に着き、滝と壁と虫と格闘した暑〜い夏の一日が終わった。



急峻に突き上がる大栃谷は、噂どおりに滝で連なっていて、その個性的な滝達は、どれも魅力的。また行きたいような行きたくないような、そんな風に思える凄い所だった。

ひこさん、どうもありがとうございました。



撮影機材


Panasonic Lumix DMC-GH2
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6 ASPH./MEGA O.I.S.
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6

Panasonic Lumix DMC-FT3

9 コメント

  1. ふぇるめーる

    ぱんださん

    無数に滝を要する急峻な谷、お疲れ様でした。
    虫が多かったとのこと、サルやヒルはどうでしたでしょう。
    以前サルの襲撃があったという話も聞きます。

    パンダさんの撮り方も良いのでしょうが、一つ一つの滝の姿がカッコいいですね。

  2. “すぎちゃん”

    晴れるとやっぱり美しいです。
    夜遅くまでのサバイバル、流石です。

  3. まい

    どの滝もめっちゃかっこいいです!
    滝がいっばいで最高ですね\(^o^)/
    アブとブヨはほんといやですね!

  4. パンダ

    ふぇるめーるさん

    サルは見なかったです。襲撃まであったとは驚きです。
    ヒルは、不思議と大栃谷にはいなかったですが、下山路の植林帯に入ると大群で襲ってきました。

  5. パンダ

    すぎちゃんさん

    そうですね。水や森が輝いて綺麗でした。
    でも巻きばかりの沢は、暑くてヘロヘロになりました。

  6. パンダ

    まいさん

    滝ばかりで最高でしたが、アブとブヨの攻撃も、これまでの最高だったかもです。

  7. 匿名

    パンダさん
    先日、最初の大滝を下調べなしで見に行った後、
    検索するとこの記事に辿り着きました。
    あの上にもまだこんなにあるとは素晴らしいところですね。
    行きたいですがパンダさんが手をこまねいているようですので
    難度が相当高そうですね。
    自重^^

  8. えだ2

    不慣れものですみません。
    上記コメントえだ2でした。

  9. パンダ

    えだ2さん

    ここは最初から最後まで見応えのある滝が連なっていて、滝好きには相当面白いところだと思います。

    技術的には急峻な谷なのは間違いないですが、滝近くに突撃せずにルートを選べば、それほど難しいところはないと思います。
    ただ、滝の数が多いので、ゆっくり撮影していると時間がなくなってしまうのが悩みどころでしょうか。

    健闘をお祈りします!

コメントを送信